就活支援ジャーナル

send TOPが語る就活成功のカギ 内定につながるアドバイス

2014年3月6日 木曜日

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PROFILE

ふくだ・としゆき。1957 年生まれ。80 年、明治大学政治経済学部卒業。同年、明治大学に入職。2011 年、就職キャリア支援部部長就任、現職。13 年、全国私立大学就職指導研究会会長就任。

 

 全国の私立大学就職指導担当者の情報交換の場である「全国私立大学就職指導研究会」の会長を務める福田敏行氏(明治大学就職キャリア支援部部長)を訪ね、就職指導の最前線に立つ大学の就職課やキャリアセンターの職員が就職の現状をどのようにとらえているのか、お話をうかがった。

 

依然根強い「大手志向」

 全国私立大学就職指導研究会の福田敏行会長は「近年、企業の採用意欲は高まっているのではないかと強く実感している」と語る。

 

 ただし、福田会長は「企業は誰でもいいから採りたいと思っているわけではありません」と楽観視はできないことを強調する。「企業は依然として厳選採用を行っており、まだまだ厳しいと言わざるを得ません」

 

 福田会長は現在の就職希望の学生が共通に抱える問題点について次のように分析する。「いわゆる大手志向にはいまだに根強いものがあり、社風や仕事内容などではなく企業の知名度を基準にしているような印象の学生が少なからずいます。人気企業にチャレンジすることを否定するわけではありませんが、しかし同時に中堅・中小企業にも目を向ける必要性を感じ取って欲しいのです」

 

 福田会長は中堅・中小企業の魅力を「若いうちから会社の全体像を常に把握しながら働くことができる点にある」と話す。「経営者のメッセージが身近で分かりやすく、自分が会社でどのような立ち位置にあるのか比較的把握しやすいため、高いモチベーションを維持して業務に取り組むことができます」

 

強まりつつある保護者の影響

 近年、福田会長が気になっているのは、保護者の影響が強くなっている点だ。我が子を心配するあまり、就職活動に悪影響を与えてしまうケースも少なくない。「企業説明会や選考会に関する連絡を本人ではなく保護者が入れるなど、過保護とも思える行動を起こす方もいます。企業の人事・採用担当者からすれば、自分では何もできない学生なんだと思われてしまいかねません」

 

 もちろん、人生の先輩として保護者のアドバイスに耳を傾けるのは重要なことだ。しかし最終的には、学生には自分自身で決断して行動することが求められるだろう。

 

 キャリアセンタ-のアドバイスを活かす

 現在、大学新卒者を対象とする企業の選考は4 月ごろに始まり、夏ごろには一段落するという流れが一般的だ。この時期は多くの企業が内定を出し、採用活動を終了しているところも少なくない。

 

 その間、複数の内定を手にする学生がいる一方で、内定をなかなか得ることができない学生もいる。一体、何が明暗を分けているのだろうか。

 

 福田会長は、内定が得られる学生の特徴を「大学4年間の生活で、勉強をきちんとしつつ、そのほかに積み重ねてきたものがあること」と話す。その反面、「私の長所は成績の良いところです」というように、成績のほかに獲得してきたものをうまく言葉にできない学生は、なかなか内定を得ることができない傾向があるのだという。

 

 福田会長は効率的に就職活動を進める方法として、大学のキャリアセンターに相談することを挙げる。「学生の相談があって初めて、キャリアセンターとしてもアドバイスが可能になります。自分だけのやり方に固執するのではなく、ほんの少しでもアドバイスを受けることが、内定を勝ち取るための大きな助けになるはずです」

 

 キャリアセンターを活用することの有用性はそれだけにとどまらない。大学・短期大学内では頻繁に学内合同企業説明会が開催されており、その中には面接や書類選考を同時に実施するケースもあるのだという。事実、それをきっかけに内定を手にした学生も少なくない。「開催日程などはキャリアセンターで告知していますから、学生のみなさんに積極的にそうした情報をキャッチして欲しいと思います」

 

身体を使った就職活動を

 また、現在の就職活動はインターネットを活用したものが主流であり、求人情報を掲載したウェブサイトはもちろん、情報交換を行う電子掲示板や、企業人が運営しているブログサイトなど、その発信形式もさまざまだ。だが、そうした手法に関して、福田会長は「インターネットに頼り切ってしまうのは危険」だと、警鐘を鳴らす。

 

 そのように語る福田会長が重視しているのはもちろん、実際に行動を起こし、企業の情報を自ら集めるということだ。「OB訪問で社会人に話を聞くのは有効ですが、そのほかにも、実際に社屋の前に足を運んで人の出入りを観察してみたり、可能ならば社員食堂といった社員の素の姿が見える場所にも入ってみるなど、身体を使って情報を得るのが効果的でしょう」

 

最後まであきらめない

 就職活動に成功するための何よりも重要な要素として、福田会長は「あきらめずに就職活動を継続すること」を強調する。

 

 「夏までに決めることができなかった学生は次第に焦りを感じてくるとは思いますが、卒業までまだ半年あり、採用活動を継続している中堅・中小企業もたくさんありますので、しっかりと企業研究を行い、選考に臨んで欲しい。正社員を目指すのならば、そこがふんばりどころだと知るべきです」

 

 福田会長がそう力説するのには理由がある。それは、日本の企業が新規学卒者を大量に一括採用する、「新卒至上主義」とも言える独特の採用スタイルを導入しているからだ。

 

 「現在の就職市場は、新卒者には大きなアドバンテージがあります。もちろん第二新卒採用などほかのルートもありますが、せっかく企業が広く門戸を開いている“新卒キップ”を手にしているのですから、それを活かしていくことを考えていくべきではないかと思います」

 

 だからこそ、あきらめずに秋以降の就職活動に挑む学生に寄り添ったサポートに徹底するキャリアセンターの存在感は、今後ますます大きくなるに違いないだろう。

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