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2022年6月28日 火曜日

冬場を目前にして再拡大している新型コロナウイルス感染症が、来春の新規学卒予定者の就職活動に深刻な影響を及ぼしている。この時期の就職内定率として70%を下回るのは、実に5年ぶり。就職市場の悪化が鮮明となった現在、取るべき次の一手は。

5年ぶりとなった70%割れ「就職氷河期」再来の様相

厚生労働省と文部科学省は11 月17 日、「令和2 年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査」(令和2 年10 月1 日現在)の結果を発表した。

新型コロナ禍を受けてその集計値が注目されていたが、今回発表された令和3年3 月に卒業を予定している大学生(学部)の就職内定率は69.8%(前年同期比7.0㌽低下)と、5 年ぶりに7 割の大台を割り込むこととなり、関係各方面に衝撃となって伝わった。

今回の調査対象は、国立大学21 校、公立大学3 校、私立大学38 校、短期大学20 校、高等専門学校10 校、専修学校(専門課程)=専門学校20 校の合計112 校。調査対象となった人数は6,250 人だった。

学校区分別に見ると、国・公立大の就職内定率は71.9%(前年同期比7.5㌽低下)、私立大は69.1%(同6.8㌽低下)。また、短大の就職内定率は27.1%(同13.5㌽低下)、専門学校は45.5%( 同 14.9㌽低下)という驚くほどの急落となっている。特に、短大と専門学校はいずれも過去最大の落ち込みようだ。

大学の男女別就職内定率では、男子が68.8%(前年同期比7.3㌽低下)、女子は70.9%(同6.7㌽低下)だった。同様に文理別では、文系は68.7%(前年同期比7.5 ㌽低下)、理系は74.5%(同4.8㌽低下)と、理系のほうが5.8㌽高い結果になった。

地域別では、関東地区が74.4%(前年同期比6.1㌽低下)でトップ。以下、近畿地区が71.5%(同8.1㌽低下)、中部地区が67.9%(同6.5㌽低下)、九州地区が64.4%(同2.5㌽低下)、北海道・東北地区が64.2%( 同10.3 ㌽低下)、中国・四国地区が59.7%(同10.4㌽低下)だった。

本紙でも断続的にリポートしてきた通り、ここ数年の就職戦線は、企業側の旺盛な採用意欲を足場にして、学生側が優位とされる「超売り手市場」 で推移してきた。それが新型コロナウイルスによって、様相は一変した。

 

日本経済に深刻なダメージ経済指標が示す環境悪化

新型コロナ禍一色となった今年、新規学卒者を採用する企業の活動状況はどのように動いたのか。

財務省が12 月1 日に発表した「四半期別法人企業統計調査(令和2 年7 〜9月期)結果の概要」によれば、「金融業、保険業」を除く全産業の「経常利益」が前年同期比28.4%減となっていた。企業社会が現在置かれている厳しい経営環境を象徴している。

この減少幅は、46.0%減となった「4 〜6 月期」からは縮小しており、その視点では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が5 月に全面解除され、経済活動が再始動したことを示しているものの、改善の進度としては鈍い。

日本全体の経済指標である国内総生産(GDP)について、内閣府が11 月16日に発表した令和2 年7〜9 月期のGDP 速報値に目を向けてみよう。春先に制限された経済活動の再開や戦後最悪の落ち込みとなった4 〜6 月期の反動から、物価変動の影響を除く実質GDP は前期比5% 増と大幅なプラスになった。しかし、経済環境の実態は、4 〜6 月期に生じた約43兆円の減少に比べ、7 〜9月期の増加は約24 兆円止まりで、前期急減分の半分余りしか戻っていない。新型コロナ来襲前の水準にはほど遠く、回復傾向と言うには違和感がある。

そうした社会的・経済的背景を受け、飲食・観光・旅行・ホテル・不動産・建設・娯楽サービス等の業界を中心に、採用人数を抑制したり、あるいは採用自体を中止したりする企業が目立っている。看過できないのは、それらの業界のリーディング・カンパニーや大手企業なども例外ではなく、既存社員の雇用維持すら困難な局面と隣り合わせのため、この状況が長引けば、就職活動時期の新規学卒予定者にさらに一段と影響が及ぶのが不可避であるという点だ。オンラインやリモートを中軸に据えた採用活動・就職活動に戸惑う学生が少なくないとの指摘もあり、内定状況は低調だ。特に、将来の仕事に直結する有力な国家資格取得などを目指す実学系短大生や専門学校生にとっては、その専門性ゆえに、志望業界を簡単には変更できないという事情もあり、活動方針を修正する場面もありそうだ。

明暗を分ける業種間格差情報を多様なチャンネルで

わずか一年前は、「超売り手市場」を背景に大手・著名企業に学生は殺到し、中堅・中小や地方の企業では人手不足が顕在化している状況があった。その意味で、採用市場全体を見れば、数年来続いて来た「人材不足」が完全に解消されたわけではなく、チャンスはあるとの見立てはできる。

この社会的混乱の中にあっても、IT・情報・電気・通信・飲食料品小売・金融など、業績にプラスがあると見込まれる業界では、人材が枯渇し、意欲ある有為な若者を求めているケースが少なくない。この新型コロナ禍の渦中にある就職戦線で待望されるのは、人材を望むそうした産業界と就職先を模索する学生の両者を機能的にマッチングする仕組みや情報だろう。本紙の巻頭特集に示すように、規模は小さくても優良成長・堅実経営な企業は多い。そうした諸企業の情報を就活生がいかに上手にキャッチしていくか。

『就活支援ジャーナル』を熟読したり、就職支援イベントに参加したり、あるいは、大学等の就職相談員と新卒応援ハローワーク等のジョブサポーターに相談するのも有効だろう。また、各都道府県労働局による就職面接会や企業説明会などが活用できる場合もある。経済産業省は、現時点でも「21新卒」としての採用を継続している全国の企業の情報を「新卒採用継続企業」としてウェブサイト上に公開している。そうした複数の制度や仕組み、そして情報などをしっかりと精査して自分なりに組み合わせていくことで次の展望が開ける可能性が高まるはずだ。

新型コロナウイルス感染症の収束は見通せておらず、先行きは極めて不透明だ。仮に、今後、「第3 波」とも「第4波」とも言われる感染拡大が発生し、緊急事態宣言が発令されるなど、さらに深刻な状況に陥れば、企業の経営体力が続くかどうかも分からない。場合によっては、数年間にわたって新規学卒者に限らず新規採用が抑制されたり、雇用環境や採用条件がより厳しくなったりする可能性も十分に考えられる。だからこそ、いまの時間を浪費してはならない。

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