ⅠT 業界の現状 ⅠT利活用の高度化・多様化
2018年5月23日 水曜日
■身近なⅠT ってなに?
日本の産業成長において重要な役割を担うことが期待されているI T(情報技術)業界。日常生活の中でI T にふれる機会は増え続けている。
例えば、ネットショッピングやパソコン・携帯電話・スマートフォンでインターネットが利用できる環境もすべてIT の技術によるものだ。そうしたI T をベースに展開する企業もまた、増加傾向にある。
例えば、検索サイト「Google」やインターネットショッピングサイト「Amazon」、あるいはSNS「Twitter」など、みなさんも日常的に利用しているのではないだろうか。これらを運営する企業は、ITを活用することで、従来は存在していなかった新しい製品・サービスの提供に挑戦し、現在はそれぞれの領域においてトップブランドを築き上げている。
そのほかにも医療現場で活用されている電子カルテや教育・行政でのタブレット導入など、日常生活のさまざまな要素でIT は取り入れられてきている。
■どのような仕事があるのか
IT 業界と一口に言っても、多種多様な仕事がある。
コンピュータを使って業務をスムーズに行うシステムやソフトを設計する「システムエンジニア(SE)」や、SE が作成したシステム設計にしたがって、コンピュータを動かすためのプログラムを作成する「プログラマ」などはよく耳にすることがあるのではないだろうか。
このほかにもSE のように〝エンジニア〞と呼ばれる職業の中には、企業の情報システムの構築と運用を専門に行う「インフラエンジニア」、情報漏えいや不正アクセスを防ぐ「セキュリティエンジニア」というように専門分野によって細かく職種が分かれている。さらに、顧客である企業から経営や業務上の問題点をヒアリングし、その問題の解決策を提案する「IT コンサルタント」、ウェブサイトやウェブコンテンツの制作作業全般を行う「WEBクリエイター」など幅広い業務がある。
■ⅠT 業界の最新動向
日本の産業界では、I Tへの大規模な関連投資が続いていることや近年の情報セキュリティ等に対するニーズの増大を契機に、人材の不足が喫緊の課題となっている。また日本の労働人口、特に若年人口は減少傾向にあり、人材の獲得が現在以上に難しくなるという指摘がある。I T に対する需要が拡大する一方で、国内の人材供給力は低下し、人材不足は今後一層深刻化するだろう。
しかし、その反面ビッグデータやIoT などを使用した新しい技術やサービスの登場により、今後ますますIT 利活用の高度化・多様化により、世の中を大きく変革し得るビジネスの創出に向けた流れの加速化が予想されている。
■ⅠT人材の確保に向けて
経済産業省が調査した「IT 関連産業の産業人口に関する将来推計(マクロ推計)」の結果によると、日本の人口減少に伴って、2019 年の92 万3,273 人をピークにI T 関連産業への入職者は退職者を下回り、産業人口も減少し、人材不足数が拡大することが予測されている。
今後より一層深刻化するであろうI T 人材の不足をいかに乗り切るのか―。
経済産業省は、その対策として❶多様な人材(女性、シニア、外国人)の活躍推進❷人材の流動性の向上❸個々のスキルアップ支援の強化❹ I T 人材への処遇やキャリアなど、〝産業の魅力〞の向上❺先端I T人材、情報セキュリティ人材、I T 起業家などの重点的な育成強化―を掲げ、人材確保を目指している。
一方で、IT と聞くと理系や情報系のイメージを強く持つ人も多いのではないだろうか。しかし近年では、入社後にIT に関する知識を基礎からしっかりと学べる研修制度を一定期間設けるなど、多くのIT 企業が文系出身者やIT に関する技術・知識がない人を受け入れる体制を整えているケースも少なくない。
独立行政法人情報処理推進機構(本社東京・文京区)が制作した『IT 人材白書2017』の調査によると「新卒採用について重視している学生の専攻」についての問いでは、246 社のうち、半数を超える57.3%の企業が「こだわらない」と回答している。これらの結果から見ても、文・理を問わず高い意識を持った若き人材が社会に貢献できる土壌が整っている魅力にあふれた業界であることは間違いのないところだ。
■注目すべき先端ⅠT 技術
クラウドやビッグデータ、IoT のほか、現在は人工知能(AI)やロボット、デジタルビジネスなどの新技術の実用化・普及に加え、デジタル化の進展により、第4 次産業革命と呼ばれるような時代の変わり目を迎えている。
これまでも社会に大きな影響を与えてきた先端IT技術は、これからも大幅に市場を拡大すると見込まれている。また、情報社会の中核となるIT 業界だけに留まらず、あらゆる業界に影響をもたらしてきており、従来の産業構造や働き方にも変化をもたらしている。
数年前までは想像できなかった人工知能を搭載したロボットが、店頭で受付や案内、接客を行い、会話をしている光景も珍しくはない時代だ。さらには、ITを使って家庭内のエネルギー消費を最適に制御し、外出先からでも照明や冷暖房器具などを操作できるスマートハウスが登場したり、レジのないコンビニエンスストアがオープンしたりするなど、I T 業界の新たな挑戦は続いている。
●ⅠT 業界を構成する主な分野
<ソフトウェア分野>
ソフトウェアは、WindowsやMac といったOS(オペレーティングシステム)などの基本ソフトウェアと特定の目的のために設計された書類作成や電子メールソフト、モバイル機器向けのアプリケーションソフトの大きく二つに分類される。
現在、インターネットの普及率は非常に高く、インターネット上でソフトウェアを購入することも増えている。そのため、セキュリティソフトにも注目が集まっている。これからも需要が高まっていく分野の一つと言えそうだ。 開発を通して便利な世の中を実現できるだろう。
【主な職種】
・システムエンジニア ・プログラマ ほか
<ハードウェア分野>
ハードウェアとは、パソコンや携帯電話といった電子機器や、これらの回路や周辺機器のこと。ソフトウェア分野と合わせて一緒に取り扱う企業も数多くあり、インターネット全盛時代の寵児と言えるだろう。
近年では、インターネットに接続できるテレビや冷蔵庫、エアコンなどの「情報家電」が登場し、技術的な性能だけではなくデザインや使いやすさを重視したさまざまな製品が開発され、また現に支持を集めている。そのため、競争はさらに激化しつつ、発展へとつながっていくことが予想される。
【主な職種】
・ハードウェア設計技術者 ・組込みシステムエンジニア ほか
<SⅠ分野>
SⅠ(システム・インテグレーター)とは、顧客に対し最適な情報システムの企画・立案・設計やプログラム開発、最適なハードウェアの選定・調達、完成したシステムの運用・保守に至るまで、社会に必要なあらゆる「仕組み」をⅠT によって構築するサービスを提供する企業群だ。
また、情報の高度化・複雑化に伴い、巨大データ群「ビッグデータ」の分析・活用に力を入れている企業も少なくない。専門的な技術はもちろん、多くの知識が必要とされるため、総合的な能力が身につくと言える。
【主な職種】
・ⅠT コンサルタント ・セールスエンジニア ほか
<インターネット分野>
企業向けのサービスでは、ウェブサイト作成やネットワークの構築、インターネット広告代理店など委託業務を中心に行っている。
一方、一般消費者向けのサービスでは、オンラインショップやブログなどのウェブサイト作成、SNS やソーシャルゲームの開発・運営等が挙げられる。
日々利用している検索サイトもこの分野におけるサービスの一つであり、その幅広さがうかがえる。
ほかの分野と比べると事業内容が大きく異なるため、個別企業のウェブサイトに目を通すことをオススメしたい。
【主な職種】
・WEB クリエイター ・WEB デザイナー ほか