就活支援ジャーナル

send シーズン6 慶応義塾大学 大学生記者が元気に訪ねる「仕事の現場」

2017年4月13日 木曜日

I T を駆使してBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を企業などの法人に提供するビジネスを展開しているのが、トランスコスモス株式会社(本社東京・渋谷区)だ。東京証券取引所の第一部に上場している有力堅実企業であり、国内グループで1万7,994人の従業員が、強い使命感と社会的責任を持って日々業務遂行に全力投球している。

今回は、慶應義塾大学(東京都港区)に在籍する上出さんと香西さんの2人が、同社・人事本部の採用担当者に取材を敢行。大学生目線から見た同社の魅力に迫る。

 

「チャレンジ精神」と「主体性」を兼ね備えた学生に強い魅力

上出 御社の事業内容について詳しく教えていただけますか?

名倉 弊社は「人」と「技術」を融合したアウトソーシング事業を手がけています。大学生のみなさんにはなかなかなじみのない考え方かもしれませんが、例えば新しい技術が社会に出回るようになると、それを使いこなしていかなければいけませんよね。そうした技術を使いこなせる人材を育成して、顧客企業が行うよりも弊社が請け負うほうが生産性が高くなるような案件を受注・契約して利益を上げています。

具体的な例を挙げると、LINEやTwitterを使ったカスタマーサポートをはじめ、中国市場で日本の人気商品を販売するECサイトの構築、数万人もの社員の給与計算と支払い業務の代行、最先端のネット広告を駆使した広告キャンペーンなどがメインの業務です。

グローバル化の急速な進展など、今日の社会的・世界的な流れを受けて、現在は31カ国・地域に169の拠点を構えています。国内よりも海外の人材やノウハウを活用したほうが廉価にサービスを提供できるケースも少なくありませんので、大局的な視点を持って社員一同日々の仕事に邁進しています。

香西 日本と世界をビジネスフィールドとするスケールの大きな事業展開をなされているのですね。差し障りがなければ、御社の顧客企業数を教えてください。

名倉 日本はもちろん、全世界で約3,000社の企業と取り引きがあります。

金融をはじめ、公共、情報、サービス、流通、製造、小売・外食、医薬品など、業種は非常に多様です。最先端企業や世界的プロジェクトを推進する企業も数多くあり、業務を通じて社員はさまざまなスキルや技術を身につけることができます。
上出 御社が求める新卒者の人物像についてお聞かせください。

名倉 これは弊社に限らないのでしょうが、「チャレンジ精神」と「主体性」がある学生は非常に魅力を感じます。まずは、そうした素養を感じさせる若者を積極的に採用しています。

現代社会はさまざまな領域や分野で急速な変化を遂げており、ビジネスモデルや仕事の進め方なども、臨機応変に変化・工夫を積み重ねていかなければ、企業体としてこれから先の未来を切り拓いていくことはできません。

ですから、一緒に働きたいのは、チャレンジ精神や主体性を持ち、大きな変化に柔軟に対応することができる、自分の殻を打ち破って新しいものを創り出していけるような人材です。

もちろん、仕事をする上では意思の疎通が欠かせませんから、「コミュニケーション能力」も必要です。その意味では、大学時代はゼミナールや研究などの学びはもちろん、部活動やサークル活動、アルバイトなど、さまざまな活動を通して、コミュニケーション能力も磨いて欲しいと思います。

香西 グローバル・カンパニーの御社では、語学力は求められるのでしょうか?

名倉 弊社は世界に拠点を多数構えていますので、語学力は間違いなくあったほうが望ましいでしょう。特に海外事業部では英語力が必須になっていますし、近年の売上の推移を見ても、これからは海外のほうが大きく伸びていくものと予測しています。日本のマーケットはこれ以上大きな成長は見込めなくなってきていますので、語学力は大学生のうちに身につけておいて欲しいスキルの一つだと考えています。

 

女性が働きやすい職場環境。「えるぼし」認定の最高位を取得

上出 2016年に全面施行された「女性活躍推進法」を受け、女性の働き方に注目が集まっています。御社における女性の働く環境についてお答えください。

名倉 従業員の約4割を女性社員が占めています。会社設立当初はデータ入力やコールセンターといったサービスを展開していたこともあり、女性が多い会社としてスタートした背景があります。

その後業容が拡大し、またビジネス自体が多角化していく中で、男性社員も次第に増え、現在は男女が共に協力し合いながら会社の売上目標や目指すべきビジョンに向かって日々頑張っています。

しかしながら、女性には女性ならではのライフイベントがあるということは十分に認識していますので、2007年10月には「女性の活躍推進」に関するプロジェクトを立ち上げるなど、女性が働きやすくて復職しやすい職場環境を実現するべく、議論や改善を重ねてきました。

会社としてのそうした取り組みの成果は、15年度は135人(うち男性5人)が「育児休業制度」を活用し、その後の復職率が約95%と高い数字を維持していることでもお分かりいただけると思います。女性の働きやすい環境づくりはかなり進んだものと自負しています。

香西 女性の活躍推進に関する状況が優良であるという企業を厚生労働大臣が認定する「えるぼし」を取得していらっしゃいますね。

名倉 その通りです。女性が働きやすく活躍できる会社であることの証明である「えるぼし」には、評価基準を満たす項目数に応じて"一つ星"から"三つ星"までのランクがありますが、弊社は最高位の三つ星を取得できました。

最高位は、「採用」や「継続就業」「労働時間等の働き方」、また「管理職比率」や「多様なキャリアコース」など、五つの評価項目をすべて満たしていなければなりません。

弊社では、育児休業制度や短時間勤務制度が整備されていますし、可能な限り残業が発生しないよう支援も行っています。また、有給休暇の取得率や女性の管理職の比率も高く、そうしたさまざまな要素が総合的に評価されたのだと思います。

さらに、次代の経営を担う女性マネジメント層向けの研修「キャリア塾ベーシック」をはじめ、ワーキングマザー同士の交流会や家族で参加できる社内イベント、仕事と家庭の両立をサポートする説明会の開催など、多彩なメニューを用意して、女性が働きやすい職場環境の実現に向けて全社で取り組んでいます。

ただし、一つ残念なのは、男性の育児休業が十分に浸透しているとは言えない状況にあることです。これからは男性の育児休業も後押しできるような支援を積極的に実施していくつもりです。

 

何か一つでも"やり切った経験"を学生時代に持って欲しい

香西 学生時代にしておいたほうが良いことがあれば教えてください。

濱邉 何か一つでも結構ですから、"やり切った経験"を持って欲しいと思います。何かに一生懸命になったり、情熱を傾けたりすることは、どことなくカッコ悪いという印象があるのかもしれませんが、人事・採用担当者から見れば、そうした泥臭く頑張った経験というのは、人生においてとても意味のあることだと思います。

自分なりのやり切った経験を自分の言葉で面接官に伝えることができる学生は、ピカピカに輝いて見えるんですね。ですから、大学生活の中でしっかりと目標を決め、頑張った経験を積んでから就職活動に臨めば、骨太の活動がきっとできるのではないでしょうか。

上出 就職活動に臨む際の具体的なアドバイスをお聞かせください。

江口 面接試験に関して言えば、例えばサークル活動のピーアールだとほかの入社志望者とかぶってしまいかねないため、違うことを話したほうが良いのではないかと考える人が少なからずいます。

しかし、本当にそうでしょうか。取り組んでいることや感じ方は一人ひとり違います。同じサークルの所属であっても、部長をやっていたのか、会計係をやっていたのかで、役割や経験はまったく違うはずです。そうした経験を自分の中で消化して、そして自分の言葉で伝えるだけで、面接の評価が違ってきます。

特に苦労したことや、それをどうやって乗り越えてきたのかという視点に立てば、成長の度合いや受け取り方が人によって違うため、差別化しやすい。あとはそれをきちんとアウトプットすることができれば、就職活動でもきっと良い結果がついてくるのではないかと思います。

 

トランスコスモス株式会社は、顧客企業の事業パートナーとして、売上拡大とコスト削減を総合的かつグローバルに支援するアウトソーシングサービスの提供を行っている。アジア地域を中心に世界31カ国・169カ所に拠点があり、日本を代表するグローバル・カンパニーとして知られている。顧客満足度を非常に重視しており、経営理念には「お客様の満足の大きさが我々の存在価値の大きさであり、ひとりひとりの成長がその大きさと未来を創る」を掲げている。

 


忙しい日々の合間を縫って、人事本部の採用担当者三人の方々に今回ご協力を仰ぐことができた。

学生記者の取材に同行して強く感じたのは、トランスコスモス株式会社が女性の働きやすい職場環境を整備しているということだった。近年は長時間労働などが社会問題として取り沙汰されているが、同社では労働環境の整備に積極的に取り組み、男性・女性といった性別に関係なく活躍できる土壌がすでにできあがっていた。私自身、非常に風通しの良い会社だと実感することができた。

一方、普段の学生生活ではなかなか経験ができない取材とあって、当初こそ、やや緊張した面持ちの学生記者ではあったが、社員の面々がとても協力的で、ていねいに質問に答えてくれたこともあって、次第に会話が弾んでいき、気がつくと1 時間半近くも取材時間が経過していた。

学生記者にとって、自分の〝取材力"で日本を代表するグローバル・カンパニーの採用担当者からさまざまな話を深掘りできたことは貴重な経験となったに違いない。学生記者にはこれからの大学生活、そして将来訪れる就職活動の中で、今回の取材で吸収したものを大いに役立て、大学卒業後も社会の第一線で活躍してくれることを願っている。

 

世界を舞台に存在感を発揮するアウトソーシング企業の人事本部の採用担当者のみなさんに取材をさせていただき、非常に貴重な経験を積むことができました。

特に現在は、I Tなどの技術進歩が目覚ましく、変化の激しい時代に突入しています。そうした時代においては、「主体性」のある人材がより一層求められるという内容のお話は非常に感銘を受けました。主体的に行動ができる人材は、あらゆる業界で求められる人材だと思いますので、自分の中で「今後の学生生活をどのように過ごしていきたいのか? 」ということをしっかりと考え、主体性と明確な将来のビジョンを持ってこれからの大学生活を送っていこうと決心しました。

また、「何か一つでも学生時代に"やり切った経験"を持って欲しい」ということと、「大学生活から得られた経験を自分の言葉で説明できるようにしておいたほうが良い」という二つのアドバイスは、漠然と日常生活を過ごしていた私にとっては日々の意識を変えるきっかけにもなりました。

今回の素晴らしい経験を糧として、大学生時代に"やり切った経験"を実現させることはもちろん、何事も深く考える癖をつけ、長く続く人生にも活かしていけるよう精一杯努力していきたいと思います。

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