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2020年5月26日 火曜日

どのような進路があるんだろう?大学卒業後の進路の実際

文部科学省の『平成30年度学校基本調査報告書』によれば、平成30年3月の新規大学卒業者は、56万5,436人。進路内訳のトップは「就職者」で、以下「進学者」「臨床研修医」「一時的な仕事に就いた者」「専修学校・外国の学校等入学者」と続いている。ここでは、さまざまな業界・分野・領域への入職に直結する「キャリア進学」にフォーカスを当て、大学卒業後に「スペシャリスト」を目指す新しい学びのカタチを紹介する。

 

大卒者等1万4,727人が専門学校に再進学!!

平成30年3月に大学を卒業した56万5,436人のうち、「正規の職員等」(41万9,037人)と、「正規の職員等でない者」(1万7,060人)を合わせた「就職者」は43万6,097人に達している。率にして77.1%という数字が示すように、かつ次位の「進学者」ですら10.9%に過ぎないことでも分かるように、大学を卒業した後の進路内訳は、例年ほとんどが「就職」というのが現状だ。

こうした傾向は、短期大学の場合はより顕著になっている。5万4,598人の新規卒業者に対して、「正規の職員等」(4万1,327人)と、「正規の職員等でない者」(3,124人)を合わせた「就職者」は4万4,451人。実に81.4%もの卒業者が「就職」を果たしており、就職率で言えば、大学よりも4.3㌽も上回る高い実績を残していることが分かる。

一方、興味深いデータとして注目したいのは、大学や短期大学、高等専門学校といった「高等教育機関」の卒業者で、「専門学校」に「再進学」を果たした者が1万4,727人(平成30年5月1日現在)もいるという事実だ。この数字には、過年度の卒業者が含まれているため、単年度の傾向としてとらえることはできないものの、先の「10.9%」を構成する「大学院研究科」「大学の学部・専攻科・別科」「短期大学の本科・専攻科・別科」への進学者6万1,655人と比較しても、無視できるほど小さな数字ではない。「再進学」を果たす若者の多くは、自身の「キャリアアップ」や「自己実現」が目標であるため、こうした学びのスタイルは、特に「キャリア進学」と呼ばれて、新しい「キャリアデザイン」の具体的な取り組みとして注目を集めている。

 

9割超が志望業界就職の圧倒的に高い〝夢実現率〞

「キャリア進学」層は、平成22年度の2万4,863人を頂点に、近年は2万人前後で推移しており、専門学校入学者に占める割合は例年7~9%前後と、専門学校新入生のうち約1割が大学・短期大学、高等専門学校の卒業生で占められている現状がある。

専門学校はもちろん、類似した教育を行う「専門教育機関」では、就業上必要とされる専門知識や技術を身につけるためのカリキュラムが編成されており、実技・実習の時間が豊富に設けられているのが大きな特長となっている。

専門学校や専門教育機関で学ぶ上で特に注目したいのは、就職につながりやすいとされる各種資格の取得指導の充実度だろう。国家資格・公的資格・民間資格の別を問わず、これらの学校では、将来の仕事に直結する有力資格・難関資格の取得を念頭に、行き届いた教育を展開している。

大学・短期大学がある程度広範な領域を理論的に学んでいくのに対し、これらの教育機関は、将来目指す職業や目標に向けて効率良くアプローチできる実践教育が充実している。そのため、「就きたい仕事」が明確である若者にとって、これらの教育機関への「キャリア進学」はキャリア形成の意味で有効な選択肢の一つとなっている。
また、〝職業教育に強い〞〝資格取得に有利〞〝就職が万全〞とされてきた専門学校は、一般的な大学・短大に比べて企業等との連携が緊密で、それゆえ企業や産業界が期待する即戦力として実践力のある人材を送り出してきた実績がある。

文部科学省の『平成30年度学校基本調査報告書』によると、実際に就職した専門学校新卒者の93.6%が〝(学んだ内容の)関係分野〞に就職を果たしていることが分かっている。このように、卒業者の多くが関係分野に就職するという雇用環境と実際の就職先とのマッチングの度合いの高さや、目指す業界や職種に直結した専門性が専門学校の大きな魅力となっている。また、大学新卒者の就職率が景気によって変動を受けやすく、この10年で60~77%と幅があるのに対し、専門学校新卒者全体の就職率は景気の変動に対しても安定的に80%前後を維持していることは、押さえておきたいところだ。

 

産業界が待望する有為な「キャリア人材」を育成

専門学校・専門教育機関のカリキュラムのもう一つの特長は、時代の要請に柔軟に対応している点だろう。例えば、目前に迫った2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて活況を呈しているホテル・観光業界を意識した学科・コースの新増設や、AI、VR、ゲーム系専攻の新規開講など、社会的ニーズの吸収に極めて意欲的だ。設置学科の具体例を挙げれば、「起業実践」「ベンチャービジネス研究」「キャリアサポート」「グローバル教養」「ワーキングスタディ」「ホスピタリティサービス」「ヘルス・プロモーション」「スマホアプリビジネス」「IT・クラウド」「ネットショップ構築・運営」「エコ・コミュニケーション」「ドルフィントレーナー」など、まさに社会的な動向や経済情勢をダイレクトに反映した学びがタイムリーに用意されているのも、「キャリア進学」を目指す有力な動機の一つになり得るに違いない。

一方、最近になって大きな期待を集めているのが、「職業実践専門課程」だ。職業実践専門課程は、企業等と密接に連携して実社会の最新知識・技術・技能を修得できる職業教育に取り組む学科を、文部科学大臣が認定するというもの。

産業界のニーズをキメ細かく反映した、より実践的なカリキュラムが編成されているとあって、その注目度は高い。最新の認定分は平成30年2月27日、文部科学省により発表されており、認定を受けているのは、専門学校2,822校のうち、954校・2,885学科に過ぎない。その意味では、職業実践専門課程の認定学科を持つ専門学校は〝専門学校の中の専門学校〞というようなイメージを描くとより分かりやすいだろう。

大学・短大で培った教養をベースに難関資格の取得を目指すも良し、あるいは、専門性の高いスキルをさらに身につけるのも効果的だ。各校の詳細は学校案内書やウェブサイト等で確認できる。

 

〝なりたい〞〝やりたい〞をあきらめない「キャリア進学」

「自己表現」や「キャリアデザイン」をキーワードに、大学・短大卒業後の「キャリア進学」を目指す志望校を決めたら、オープンキャンパスや体験入学等を活用し、自分の目的に合っているかどうかをぜひ見極めるようにしたい。

その際に留意しておきたいのが、「キャリア進学」に伴う学費だ。特に「入学金」と「年間授業料」を合わせた「初年度納入金」は、学校や分野によって大きく異なるのに加え、実習費や教材費といった諸経費が別途必要になることも少なくないため、入学案内書や募集要項などで必ず事前に、納入時期・方法を含めて確認しておく必要がある。
東京都専修学校各種学校協会が発表した「平成30年度学生・生徒納付金調査」によると、専門学校昼間部進学の場合、平均的な初年度納入金は約125万円前後となっている。

こうした学費やそのほか必要となる生活費を工面するための方法として挙げられるのが奨学金制度の利活用だろう。代表的なのが日本学生支援機構の奨学金だが、最近は個別学校が独自の奨学金として、返還する必要がない給付型のものを拡充させているほか、地方自治体・民間育英団体・企業などの奨学金制度もある。可能であれば〝学費ゼロ〞で学びたいところだ。

しかし、大学・短大時代にすでに奨学金を活用していたという人も少なくないに違いない。〝もうこれ以上奨学金を頼りにしたくはない〞という場合に考えたいのが、例えば「日本版デュアルシステム」や「学生社員制度」など、「学びながら働く」学生を支援する諸制度の利用だ。興味や関心がある場合には、志望校に問い合わせをして確認することが大切だ。

不本意な就職で一時的な安定を求めることの是非や価値観は、もちろん人によって違うはずだ。
しかしながら、「憧れの職業に就きたい!」「どうしても目指したい資格がある!」というキャリアアップ志向のみなさんであれば、専門性の追求を決してあきらめることなく、意欲的にチャレンジして欲しいのが「キャリア進学」という、〝もう一つの進路〞だと言える。道は目の前に大きく拡がっている。

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