“美しい生活文化を創造’’する、日本を代表する伝統企業
2015年3月23日 月曜日
大学生記者・白井 御社の最近の採用状況について教えてください。経済環境に大きく左右されることもあるのでしょうか？
三輪 採用に関しては景気に大きく影響を受けることはほとんどありません。2016年度新規大学卒業予定者の採用については、技術系50人程度と事務系40人程度を予定しています。ここ最近は、100人前後を採用するパターンが続いています。
大学生記者・小関 化粧品というと、どうしても“女性のもの”というイメージがありますが、御社はやはり女性社員の方のほうが多いのでしょうか？また、男性社員の方はどのような理由から御社に入社しているのでしょうか？
三輪 主軸が化粧品であることは変わりありませんが、弊社はメーカーですから、他社メーカーがそうであるのと同じように、企画や製造、販売、財務、経営管理など、さまざまな部門があります。メーカーとしての資生堂に興味を持ち、入社に至る社員が多いのは事実ですが、化粧品だからといって女性ばかりの企業というわけではありません。部門によっては、男性社員のほうが多くなっているところもあります。
弊社の仕事の目的は、「人々を美しくしたり、幸せにしたり、豊かにすること」です。これには男性だから女性だからといったことは関係ありません。第一にこの目的があって、これを達成するために扱っているものが化粧品なのだと考えていただければ分かりやすいでしょう。
小関 御社を受けるに当たり、取得しておいたほうが良い資格はありますか？
三輪 特に資格の有無で採否を決めることはしていません。ただ、結果を左右するものではありませんが、グローバル化が進展する企業社会の中では、英語が必要な領域や職種もありますので、そういった部分を見ることはりあります。
小関 採用する上での理想の人材像はありますか？
三輪 弊社は昨年、2020年に向けての中長期戦略「VISION2020」を策定し、2020年の売上目標に1兆円を掲げました。現在は7600億円程度ですから、目標達成のためには飛躍的な成長が必要です。そのためには、これまで通りの発想だけでは難しいでしょう。ですから、発想が既定路線的でない、チャレンジングな方にぜひ弊社の門を叩いていただきたいと思います。
2016卒の採用は「常識をぶっ壊せ」をコンセプトに掲げ、常識にとらわれない人を求めるとのメッセージを発信しています。面接では、マニュアルや型通りではなく、その人らしさや個性を見せていただき、本音で話したいと思っています。気楽な気持ちで来ていただき、自分自身の気持ちを素直にぶつけてもらえたらと思います。
白井 採用面接の場で注目しているのはどのような点ですか？
三輪 これまでどういう経験をしてきたのかを「語れる自分」のある人が良いですね。きちんとした軸を持って語れる人は、話していて安心感があります。
また、弊社で何をやりたいのか、これまでにチャレンジした経験があるのか、あるいは入社後もチャレンジしてくれるのかといった資質や姿勢の有無を見るようにしています。どのような人が良いのかと具体的な人材像について質問を受けることがありますが、「○○な人」というような定義はしていません。アグレッシブな人や地道にコツコツと取り組む人など、さまざまな人がいたほうが良いと考えています。
白井 就職活動の時期が変更されました。これに伴う大きな変化はありますか？
三輪 新しいスケジュール通りに動くため、後ろ倒しになることのほかは、特に変わりません。
白井 インターンシップをさらに充実させた会社もあるようですが、御社のインターンシップはどのようなことをされていますか？
三輪 純粋に弊社の仕事を体験するものです。ただ、インターンシップは仕事体験の場だけではなく、「交流の場」とも考えていますので、学生と社員が一緒になって何かをすることで、私たちは学生のことを知り、学生は社員を通して資生堂がどのような会社なのかを知っていただけるように心がけています。
白井 入社後の研修制度について教えてください。
三輪 入社すると、まずは新入社員全員を対象にした3週間程度の集合研修を実施します。弊社やお客様について理解してもらうと共に、業務遂行上必要となるマーケティングスキルやロジカルシンキングといったビジネススキルを修得してもらいます。この期間で、学生から社会人へと意識も変えていただき、社員としてのベースを醸成します。
その後は各部門に配属されて、配属先・領域別の研修となります。研修内容や期間、形態等は配属先によって異なります。
白井 新入社員が配属されやすい部門はありますか？
三輪 事務系の新入社員の多くは営業部門に配属されます。マーケティングは事業の根幹となるものですから、お客様のことを知り、常にお客様を意識して仕事ができるようになることが求められます。
白井 企業人にはどのような能力が必要ですか？
三輪 ビジネスですから情熱はもちろん必要ですが、冷静さも大切です。また、ファイナンスやアカウントといった数字的な知識やマーケティング、問題解決能力などに加えて、弊社では、ゴールに向かって一定の成果を引き出す手法としてのファシリテーション力にも重点を置いています。
白井 どのような姿勢で働くことが大切でしょうか？
三輪 最も大切なのは、お客様はどう思うのかを考える力だと思います。弊社は人を幸せにしたり綺麗にしたりするものを扱っています。仕事には大変なことがたくさんありますが、楽しみながら取り組まないと人をワクワクさせる製品を生み出し、届けることはできません。その意味では、何事も楽しみながら取り組む姿勢というのは社会人としてとても大切になります。
白井 社員の方が御社の仕事を好きな理由をいくつか挙げてください。
三輪 「お客様に何かを提供する仕事が好き」というのがベースにあるのだと思います。「自分たちのサービスや製品を通して、誰かが喜んでいる姿を見ることが好きだ」という人が多いのでしょう。例えば、ご高齢の方にメイクをして差し上げた時に、とてもはつらつとした表情になっていただけるととても嬉しい。弊社の社員はそういうことに大きな喜びを感じる者ばかりです。端的には「人を幸せにしたい」という考え方を持って働いている社員が多いということなのだと思います。
化粧品は単にメイクを目的にしているのではなく、メイクをすることで人に与える印象を良くしたり、自分自身が元気になったりすることが目的です。弊社は「美しい生活文化の創造」を企業理念に掲げているように、“化粧品”とは謳っていません。レストラン事業や食品・医薬品ブランドなども手がけており、実はとても領域の広い会社です。現在は化粧品が中心ですが、これは、新しいビジネスにチャレンジできる環境が大いにあるということでもあるでしょう。
白井 つまり、新分野に挑戦できるフィールドがあるということですか？
三輪 新規ビジネスや新領域に取り組む体制も強化し、今後はより積極的に新分野に挑戦していく方針です。こういった場面では、さまざまなキャリアを持つ人材がいたほうが良いだろうと考えています。マーケティングの視点からお客様のニーズを考え、企画から研究開発、生産、アウトプットに至るまで、多種多様な職種がありますので、さまざまな人が活躍できる場がたくさんあるのと同時に、多くのキャリアを身につけられる環境が整っています。
小関 学生に対して大学生活を送る上でのアドバイスはありますか？
三輪 何かにチャレンジしている人は、とても魅力的であるということはお伝えしたいと思います。面接では、成功した体験を話してくださる学生の方が少なくありませんが、失敗談でも構いません。「こういうふうに挑戦したら失敗してしまったので、次はこうしたいと思います」と考えることができれば良いのではないでしょうか。結果はもちろん大切ですが、結果から振り返って反省することができる力を持った人とは、ぜひ一緒に仕事をしたいと思います。
小関 私は1年生で就職活動はまだ先なのですが、いまの時点ですべきことはありますか？
三輪 会社に入ると、答えのない問題や複雑な状況など、相手がいる中でどのように対処したら良いのかを迫られる場面に何度も直面します。しかし、学生のみなさんを見ていると、とにかく答えにたどり着きたいと考える人が少なくない印象があります。厳しいことを言うようですが、そういった考え方では小さな仕事しかできません。学生時代は比較的価値観の近い人が集まっていますので、複雑な問題に直面することは多くはありませんが、社会ではそうはいかないことのほうが圧倒的です。だからこそ、学生時代には多くの人と出会い、さまざまな経験をしていただけると良いですね。
小関 学生に接している中で感じていること、メッセージをお願いします。
三輪 質問に対して、私たちが望む答えを返してくれるなど、学生のみなさんの理解力やまとめる力の高さにはとても驚いています。ただし、就職活動や社会人生活をスタートするに当たっては、もっと自分の素直な意見を表現して、相手にぶつけて欲しいと思います。型にはまった答えや相手が期待しているであろう意見ではなく、恐れずにもっといろいろな考えを聞かせてください。上手に小さくまとまることなく、相手が驚くような人物になっていただければ好ましく思います。
