就活のNew Style『就職力を上げる学び【キャリア進学】の魅力』
2015年12月11日 金曜日
■堅実な職業教育が特長
職業に直結した教育を実践する専門学校や短期大学、専門教育機関などへの「キャリア進学」が注目されている。就業上必要とされている知識や技術、資格等を身につけるためのカリキュラムが編成されており、実技・実習の時間が豊富に設けられているのが特長だ。
大学がある程度広範な領域を理論的に学んでいく反面、これらの教育機関等は、将来目指す職業や目標に向けて効率よくアプローチできる実践教育が充実している。そのため、「就きたい仕事」が明確である若者にとって、これらの教育機関への再進学はキャリア形成の意味で有効な選択肢の一つとなっている。
特にその傾向が顕著なのが専門学校だ。例えば、文部科学省の『平成26年度学校基本調査報告書』によると、専門学校新卒者の93.5%が“学んだ内容の関連分野”に就職を果たしていることが分かっている。とりわけ医療分野ではその割合が高く、卒業生の98.7%が医療業界に就職している。
データはやや古くなるが、以前文部科学省が発表した『専門学校教育の評価に関する現状調査報告書』によると、企業が専門学校卒業者を採用する理由のトップは、「専門の職業教育を受けているから」(57.8%)だった。採用した人材をじっくりと時間をかけて育成する余裕がかつてほどなくなったとされる産業界は、就職希望者が「何ができるのか」という実力を重視しているため、現場ですぐにでも通用する実践力を身につけているメリットには大きなものがある。
さらに、充実した資格取得指導が受けられるのも「キャリア進学」のメリットの一つだ。各校では、将来の仕事に直結する有力資格・難関資格の取得を念頭に、行き届いた教育を展開している。仕事によっては資格保有が必須だったり、特定の検定に合格していることで技術や知識といった専門性を備えている証明となったりするなど、就職活動のアドバンテージの一つと考えることも可能だ。
■時勢に応じた実践教育
大学新卒者や社会人など、キャリアデザイン志向が高い人材を受け入れている各教育機関のカリキュラムの特長の一つは、時代の要請に柔軟に対応している点だろう。例えば、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて活況を呈する建設業界やホテル・観光業界を人材供給先として意識した学科・コースの新増設など、社会的ニーズの吸収に意欲的だ。
また、平成26年4月、専門学校に導入された新制度「職業実践専門課程」に向けられる期待は大きい。これは、企業等と密接に連携して実社会の最新知識・技術・技能を修得できる職業教育に取り組む学科を、文部科学大臣が認定するというもの。産業界のニーズを反映したカリキュラムが編成されるとあって、大いに注目を集めている。
■キャリア進学の「費用」
入学・通学に関しては、当然のことながら学費が必要となる。その中でも留意したいのが、主に「入学金」と「年間授業料」を合わせた「初年度納入金」だ。この金額は学校や分野によって大きく異なる。また、実習費や教材費といった諸経費が別途必要になることもあるため、入学案内書や募集要項などで必ず詳細な納入金の額や納入時期・方法を確認しておきたい。
こうした学費や生活費の負担を軽減するための方法として挙げられるのが、奨学金制度の利活用だ。代表的なのが日本学生支援機構の奨学金で、原則的に学業成績や所得等の基準を満たせば利用できる。
このほか、地方自治体・民間育英団体・企業などの奨学金制度や学校独自の奨学金制度、特待生制度、国の教育ローンなどを検討してみるのも良いだろう。
■「自力進学」支える諸制度
経済的支援を必要とする学生のため、個別学校でも多種多様な独自制度を設けている。具体的には、特に大学等卒業者を主な対象とする、返済自体が不要の「給付型」や「減免型」を含めた独自の奨学金などが挙げられる。
また、近年では「学びながら働く」学生を支援する制度が用意されているケースも少なくない。企業における実習をカリキュラムの一部として組み込み、実践力を身につけると共に労働報酬も得られるように配慮する「日本版デュアルシステム」や、昼間に提携企業に勤務し夜間は学校で勉学に励む「学生社員制度」などがあり、実社会で経験を積みながら、労働の対価を学費に充てることが可能となっている。
経済的な理由で専門性の追求をあきらめず、ぜひチャレンジして欲しい。