大学+専門学校等で就職率を上げる「キャリア進学の魅力」
2015年5月21日 木曜日
新規大学卒業者の就職率は景気のバロメーターとも言われ、その時々の経済状況によって変化している。文部科学省が発表した『学校基本調査報告書』をもとに、平成17年度から平成26年度までの10年間を例にとると、最低だったのは平成17年度で59.7%。一方、最高だったのは平成20年度の69.9%と、10㌽以上の開きがある。
他方、専門学校卒業者の就職率は景気変動の影響を受けることは少なく、大学卒業者と同時期で見てみると、最低だった平成22年度の74.7%に対し、最高だったのは平成26年度の81.2%。
就職率の高低の開きは大卒者の就職率よりも小さい6.5㌽で、おおむね80%弱と高い就職率で推移している。平成26年3月の大学新卒者の就職率は69.8%で、ここでも専門学校新卒者が大きく上回る結果となっている。
専門学校卒業者の高い就職率を受けて、大学や短期大学で一般教養を学び、その後専門学校でより実践的なスキルを身につけ、社会で活躍する若者も少なくない。文部科学省が公表した『平成26年度学校基本調査報告書』によると、平成26年度に専門学校に入学した大学・短期大学卒業者は1万8935人で、入学者全体の7.2%を占めている。ここ数年は2万人前後、7~9%前後で推移しており、専門学校生のうち約1割が大学・短期大学の卒業生の計算になる。
特に興味深いのが、一般的に大学生の就職率が下がると、キャリア進学を選択する学生が増加するという事実である。リーマン・ショックが起こり、新規大学卒業者の就職率が60.8%と、前年より8㌽近く落ち込んだ平成22年度には、2万4863人がキャリア進学し、前年より4305人も増加するという結果が出ている。不景気時には手に職をつけて、安定した仕事に就きたいと考える学生が増加傾向にあることが明らかになった結果と言うことができるだろう。
キャリア進学では、国家資格が取得できたり、国家試験の受験資格が得られたりする医療系や福祉系の学科が特に人気だ。医療系では、独立開業のチャンスがある「はり師」「あん摩マッサージ指圧師」や「柔道整復師」、福祉系では「社会福祉士」などの資格を目指す学科に多くの大卒生が入学している。
進学に当たっては学費の捻出が最も大きな懸念事項だろうが、働きながら学ぶことを想定して夜間部に入学するのも有力な選択肢の一つだ。また、日本学生支援機構の奨学金はもちろん、専門学校によっては大学・短期大学卒業者対象の奨学金制度を設けているケースもあるため、キャリア進学を希望する場合は事前に必ず確認するようにしておきたい。