大学+専門学校等で就職力を上げるキャリア進学の魅力
2015年3月13日 金曜日
目指したい業界の就職にに直結する教育環境がある
産学連携の就職支援が加熱
大学・短期大学を卒業した後、専門学校に再進学し、その後に就職を目指す「キャリア進学」。この「学び直し」は、実社会で求められる直接的な実務能力を身につけられると評判を集めている。
専門学校の場合、職業訓練校としての要素が強い関係から、ほぼ例外なく就職指導には特に力を入れている。具体的な就職分野を意識したカリキュラムを編成しているのはもちろん、徹底的な就職指導がなされているため、即戦力を求める企業からの需要は根強いものがある。
専門学校では、早期から企業との連携を取ったプログラムを設けているものも少なくない。
日本電子専門学校(東京都新宿区)では、IT人材の研修(新入社員研修)・教育などを手掛ける株式会社ウチダ人材開発センタ(本社東京・墨田区)とのコラボレーション企画として、キャリア教育教材「SBLでまなぶ『コンピュータ・ジャパン専門学校物語~就職活動編』」を共同開発。2014年12月4日より、同校情報ビジネスライセンス科での運用を開始した。
SBL(StoryBasedLearning)とは、その名の通り、物語(ストーリー)を基盤とする学習方法を意味する。学生たちはテキストと挿絵による物語を通し、主人公とその他の登場人物が繰り広げる物語を読み、「誰の」「どんな考え/感じ方」に共感するかを考える。
今回用意された「コンピュータ・ジャパン専門学校物語~就職活動編」では、就職活動において想定されるさまざまな場面をもとに物語を展開。物語は「準備編」から「行動編」までの5段階構成となっており、物語の登場人物と一緒になって一歩ずつ就職活動を進めることができる。
さらには授業内でのグループディスカッションを通してより理解を深め、問題解決に向けた主体的かつ能動的な姿勢をスムーズに引き出す効果を見込む。こうした意見発表やグループディスカッションの経験を積むことは、発信力・傾聴力・柔軟性・働きかけ力などの「社会人基礎力」の養成にもつながる。
学生一人ひとりに早期から就職への意識を高めさせ、社会人として求められる素養を磨くことでスムーズな就職実現を支援するとともに、企業・学生間のミスマッチを防ぎ、ひいては近年社会問題の一つでもある早期離職率の上昇を抑えることを狙っていく。将来的には日本電子専門学校全体での導入・運用も視野に入れていく方針だ。
同じく、株式会社ウチダ人材開発センタでは高等教育機関に向けキャリア教育教材として同教材を2015年1月より展開していくことを計画しているという。また、教材提供とともに学内で活用することのできる講師育成支援事業なども進めていく。
企業との「産学協同」で設立された専門学校も存在する。学校法人国際ビジネス学院が運営する国際サイクル専門学校(石川県金沢市)は、自転車の販売などを手掛けるイオンバイク株式会社(千葉市)との協同で設立された、新しいカタチの専門学校だ。
環境への配慮や健康への関心が高まる中、今後の急速発展が見込まれる自転車業界をリードする人材を育成するため、同校ではイオンバイク株式会社の社員養成学科を設置している。「プロがプロを育て、企業のニーズと学校教育のギャップを埋める」ことを教育目標に設定し、就職直結型のカリキュラムを組んでいるため、しっかりと勉強に集中することができるという仕組みだ。
実習を同社の店舗で行うなどの実践的なカリキュラムで学びながら、「スポーツバイクメカニック養成講座」を受講し、就職後の「自転車安全整備士」「自転車技士」資格取得、そしてイオンバイク社員登用試験の合格を目指す。
こうした環境での学習を通して、全国400店舗を超える同社の自転車専門店において即戦力として活躍する実力を身につけることができる。
また、多くの専門学校で用意されている企業との連携 制度の一つに「就職進学制度」がある。これは働いて収入を得ながら学ぶことで、学費の負担を軽減しながら「自力進学」を可能とする制度だ。制度については専門学校ごとに細かな差異はあるものの、昼間にアルバイトとして働いて収入を得ながら、夕方からは夜間部で正社員就職を目指して勉強に取り組むという形が一般的だ。昼間の仕事についても、学校の提携企業の紹介で、医療系の専門学校であれば医療機関での仕事など、学びの内容と密接に結びついた仕事に従事し、現場感覚を身につけることができる見込みが高い。
このほかにも、大学卒業者を対象とした学費減免制度や単位互換制度など、「キャリア進学」を支える制度を用意している専門学校は数多い。その詳細は各学校のウェブサイトで確認して欲しい。