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2015年5月18日 月曜日

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大学生記者・松村  御社の芸能ビジネスにおける事業内容について教えてください。
取締役副社長・鈴木  弊社はもともと、モデル事務所としてスタートしました。現在は、女優やタレント、歌手など、多彩な才能を持った人材をマネジメントし、幅広く芸能ビジネスを展開しています。
 芸能界というと華やかなイメージを持たれがちですが、一般的な民間企業と何も変わりません。
 企業のイメージキャラクターとして起用されたり、文化・芸術活動の一環として演劇やテレビドラマに出演したりする一方、制作活動やタレントグッズの販売など、ビジネス展開は考える以上に多岐にわたります。
松村  御社の企業理念である「美文化の創造」について詳しくお聞かせください。
鈴木 「美文化の創造」とは、日本がこれまでの歴史で育んできた美意識や日本女性の美しさなどを文化として次の時代に継承したいという考え方です。いまや国民的なイベントに成長したと自負している「全日本国民的美少女コンテスト」を開催した背景にあったのも、そうした美文化の追究でした。初めて開催した1987年当時は、「正統派美人」と言われるタレントが少なく、「このままでは日本の伝統的美意識が損なわれてしまう」と懸念していたのです。イメージキャラクターの「後藤久美子」の登場は、それまでの女性タレントに世間が抱く「可愛らしい少女」のイメージを、「凛々しく美しい日本女性」へと昇華させることができたと思います。以降、私たちが打ち出した「美文化」に基づく日本の女性像は、現在の米倉涼子や上戸彩の活躍などをご覧になれば、しっかりと根づいているということがお分かりいただけると思います。
 いま、日本の芸能分野は、国内のみならず、アジア圏を中心に注目されています。その視点に立てば、弊社の企業使命は日本の芸能分野を世界に発信できる文化として醸成していくことだととらえています。そのためにも、容姿端麗であることはもちろん、人間としての魅力を併せ持ったタレントの育成に力を注いでいます。
松村  所属タレントの方々に対する人間教育はどのようなことをされているのですか?
鈴木  まずは挨拶の徹底を指導しています。
 弊社の代表・古賀誠一は「芸能界は『礼に始まり礼に終わる』と方針を示しており、人と人とのつながりを重視しています。弊社に所属するタレントは13歳頃からレッスンを開始しますので歌やダンス、お芝居などの芸事だけではなく、言葉使いや立ち居振る舞いなど、普段の私生活から厳しく指導していきます。そうした取り組みが「教育のオスカー」と言われるほど、弊社の社風にもなっているのです。
 みなさまにご支持をいただいている剛力彩芽や吉本実憂なども、初めて所属した当時は10代前半の、言わばまだ子どもでしたので、礼儀や所作などは徹底して仕込みました。「人に会ったら挨拶」「お礼は大きな声でありがとうございます」「自分で飲んだお茶は自分で下げる」など、当たり前のことを意識できるように教育することで人間的な魅力がぐっと高まります。こうした日常生活の積み重ねがタレントの人間性の部分の魅力を高め、結果、コマーシャルやドラマ、イベントなどの出演者に選んでいただくことはもちろん、お茶の間のみなさまからもご支持いただける存在になっていくのです。
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松村  オスカープロモーションの社員として必要な資質を挙げてください。
鈴木  タレントをマネジメントする仕事においては、“縁の下の力持ち”としての要素が強く求められますので、ある部分は引き下がることが大切です。もちろん、そういったタイミングや現場の雰囲気を読む力は欠かせません。
 新卒者であれば、タレントと同じように、まずは社会人としてしっかりとした挨拶ができるか、礼儀をわきまえているかといった点を重視します。いくら能力が高くて仕事ができる人であっても、挨拶ができず、礼儀やマナーが身についていない人は厳しく指導していきます。タレントを指導するからこそ、社員教育を重視しているのです。
松村  一人前の社会人として認められるには、礼儀が大切だということですね。
鈴木  そういった意味では、部活動などで頑張っていた学生は評価しています。中でも「万年補欠」だったような学生は試合に出られない葛藤を乗り越えた強さやチームワークなどを身につけていることが多く、実社会でも順応性が高い印象があります。スポーツで鍛えた根性を秘める一方、一歩引くところは引くといった姿勢が備わっていますから、スポンサーやタレントからの信頼が自然と集まるのです。
松村  華やかな世界である分、そのイメージとのギャップもありそうです。
鈴木  「芸能界」というきらびやかなイメージに憧れて、入社を希望する学生も少なくありません。しかし、実際は地道な営業活動や事務的な業務が数多くあるのが実態です。これは芸能界に限らず、いかなる仕事においてもイメージと現実のギャップは存在します。だからこそ、学生時代にしっかりと業界研究を行い、「働くことのイメージ」を養って欲しいと思います。そして、社会貢献の視点から自らの仕事の価値について考え、深めていただきたいのです。
松村  御社も社会貢献を掲げていらっしゃいます。どのような取り組みをされていますか?
鈴木  環境保全活動やボランティア活動など、イベント事業を通じた社会貢献に積極的に取り組んでいます。イベントの主催団体から依頼を受けた際に、その社会貢献性が高ければ無償で出演することもあります。例えば、「公益財団法人日本盲導犬協会」のイベントなどには毎年、弊社のタレントが出演しており、盲導犬の重要性を説いています。こうした地道な活動が、実は世界展開を進める上でも欠かせません。
松村  グローバル社会を考えると公共性の高い事業展開が望まれているのですね。
鈴木  国際競争が活発な現代だからこそ、これまで以上に中国や韓国などの近隣諸国と良好な協力関係を築き、国家間の壁を超えた作品づくりを進めていきたいと考えています。利益だけを優先せず、公共性の高い作品を制作することで国際社会の橋渡しになることを目標にしています。
松村  そうした世界規模の展開に、強いやりがいと魅力を感じます。
鈴木  デビュー前は普通の少女だった子が世間から注目を浴びて、日本はもちろん、国際的にも人気が高まり、文字通り「スター」としてステップアップしていく姿は、マネジメントする上で最大のやりがいにつながっていきます。その意味で、マネジャーの仕事とはタレントと二人三脚になって、多くの人々に喜びを与えることだと言えるでしょう。
松村  タレントの「売れる」「売れない」の判断はどのようになさっていますか?鈴木芸能界は「椅子取りゲーム」であるとよく言われます。どのような逸材であっても、売り出すタイミングを逃してしまうと日の目を見ずに終わってしまいかねません。また、「早咲き」「遅咲き」という言葉もあるように、年齢と本人の持っているキャラクターが時代とマッチした瞬間に「売れる」という現象が起きるのです。中には10年かかるタレントもいますので、本人のモチベーションを維持しながら、そうしたタイミングを見抜いたマネジメントが重要です。松村タレントを支え、共に成長していく仕事なのだと分かりました。
鈴木  スケジュールなどの業務管理はもちろん、送り迎えや生活面でのアドバイスなど、求められる役割は実に多様です。仕事が増えれば、移動も増えていきますので、運転免許証は必須になります。時にはワゴン車のような大きな自動車で都内を走り回ることもありますので、安全に運転できる技術力は身につけていたほうが望ましいと思われます。
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松村  男性が多い印象がありますが、男女比はどのくらいになりますか?
鈴木  女性タレントのマネジメントをすることもあって、女性を3分の1ほどの割合で採用しています。もちろん、マネジメントに限らず、多くの女性スタッフがキャリアを積んで活躍してくれています。
松村  就職活動に取り組む学生に激励のメッセージをお願いします。
鈴木  「有名だから」「人から評価されたいから」といった理由で会社を選ぶのではなく、自分が何をやりたいのかをしっかりと考え、その上で就職活動に挑むことが大事だと思います。
 例えば、その仕事を目指す上で、3年後、5年後、10年後の自分をしっかりとイメージし、続けていくことができるのかどうかということを考えて欲しい。自分の好きなことや興味があることに仕事で関われれば、充実した社会人生活を送ることができるでしょう。自らの価値観と向き合い、何が最も大切なのかを考え、就職活動に挑んでもらいたいと思います。仕事を通じて人間的に成長することで豊かな人生が待っています。
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