【企業家に聞く】採用がベンチャーを変え、ベンチャーが世界を変える
2015年3月27日 金曜日
私は大学を卒業後、リクルートグループの求人広告代理店に営業職として入社しました。名古屋勤務だったこともあり、トヨタ自動車系列のメーカーや部品製造会社の採用募集を主に担当していました。
仕事にも比較的早い段階で慣れたからなのか、入社3年目の時点で営業職でトップの成績を収めることができるようになりました。そして、営業マンとしてのキャリアを積み重ねていくうちに「どうせなら全国No.1の営業マンになりたい!」という気持ちが次第に強くなり、思い切って東京への転勤希望を願い出ました。幸いにも認めてもらうことができ、入社して4年半後、ついに念願の東京勤務を果たすことになりました。
東京では一転して外食産業やアミューズメント系企業の新規開拓営業に従事していました。名古屋で培った経験を活かすことができ、ここでもトップの営業成績を収めることができました。
そして、社内のトップ営業マンとして業務に邁進していくうちに、次第に『社会貢献』を強く意識するようになったのです。振り返ってみると、私が主として担当していた顧客はいわゆる大手企業。資金も潤沢ですから、営業の成果が直接結果に結びつきやすかったのです。
しかし、『社会貢献』という観点に立てば、そのままでいいのかという考えが頭をもたげてきました。会社のブランドや知識・ノウハウ等がまだ定着していないものの、これから伸びていくであろう優良成長企業やベンチャー企業の採用活動をサポートしていくことこそが『社会貢献』ではないかと思うようになったのです。
そして、29歳の時に意を決して、採用コンサルティング会社、株式会社アイ・パッションを立ち上げることにしました。
弊社では、就職サイトの運営や就職イベントの開催を通じて、やる気に満ちあふれた多くの若者と今後伸びていくであろう優良成長企業やベンチャー企業をマッチングさせることを目標に事業を展開しています。ミシュランガイドが隠れた名店を紹介するように、私たちもまだ日の目を見ない優良成長企業を熱意のある若者たちに数多く知ってもらうべく、日々の業務に邁進しています。
また、学生が経営者にプレゼンテーションを行い、自分自身を売り込む就職イベント「情熱フェスタ」も定期的に開催し、毎回大きな反響を呼んでいます。単なる説明会ではなく、本気で「ヒト」と「ヒト」がぶつかる機会をプロデュースすることが私たちの使命だと思っています。
一般的に、大学新卒者の約3割が3年以内に離職すると言われています。こうした早期離職は「思っていた業務内容と違った」などというミスマッチによる部分が大きいと言われています。
私はミスマッチのリスクを減らすには、長期のインターンシップに参加して、実際に働くことはどういうことなのかを肌で体感するのが有効なのではないかと思っています。
現在の就職活動は大手就職サイトによるインターネットでの採用活動が中心になっていますが、実際にパソコンの前だけでは情報量にも限界がありますし、その企業を肌で体感することはできません。ですから、2〜3カ月程度の長期のインターンシップに参加して、自分なりに働くということの価値観を身につけておくのが大切だと考えています。
また、これから就職活動を迎える学生たちには、『ヒト軸』を就職先選びの基準の一つに加えて欲しいとアドバイスしたい。特に弊社が紹介しているような企業には顕著に当てはまることですが、仕事は誰とするかによって楽しくもなり、その逆にもなり得ると思うからです。
例えば、学生たちに「どうして大変と言われる居酒屋でずっとアルバイトをしているの?」と聞いてみると「店長に恵まれて」や「バイトのメンバーたちが良くて」など、働くヒトが良かったから楽しく続けられてきたと語る学生が非常に多いのです。そうだとすれば、一緒に働くヒトが良ければ、早期離職を防ぐことにもつながるはずです。大手企業では誰と働くかは配属されてからでないと分からない部分がありますが、中小企業やベンチャー企業であれば規模が小さい分、どんな人たちと働くことになるかは、ある程度説明会や面接などでも分かると思います。ぜひ参考にして、就職活動を乗り越えて欲しいですね。