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VR端末、世界で開発競争加速 圧倒的な没入感、イベント活用増加
2016年2月19日 金曜日

女性5人組のアイドルグループ「ももいろクローバーZ」のスタジアムコンサートでは、ステージ上から観客席を眺めたり、ステージ上にいる(感覚の)筆者にメンバーが歌いかけたりといった臨場感を味わえる。また、ドローンに乗ったかのように上空から風景を眺める映像では思わず足がすくんだ。
これまでにも段ボールやプラスチック製の簡易型HMDはあった。スマートフォンを差し込んで使うゴーグルタイプで数千円のものも多数ある。だが、ギアVRの圧倒的な没入感とは比較しようもない。 映像ソフトなど充実 ギアVRの価格は1万5000円程度、既に映像ソフトやゲームアプリなどが「150程度ある」(同社マーケティングコミュニケーショングループの後藤友宣氏)など充実している。ただ、ギアVRは、それ単体では動かない。簡易型と同じようにやはりスマホをセットしなければならず、サムスン製の最高機種「S6」または「S6エッジ」が必要だ。使用できるのが両機種のユーザーに限られるため、現時点では「売れ行きというより、認知度の向上が優先」(同)という。だが、各種のイベントなどでの活用が増加。三菱地所が住宅展示場内でインテリア付きの部屋を仮想体験できる営業ツールとして利用するなど、ビジネス利用の問い合わせも増えている。また、今後も新たに発売されるサムスンの最高級モデルのスマホはギアVR対応となる見通しで、ギアVR欲しさにスマホを選ぶというユーザーも出てきそうだ。
■「PS4」活用 ソニー上期にも投入 HMDの本命とされているのが、オキュラス「Rift(リフト)」。以前から開発者向けの試作品は限定で販売していたが、先月から日本を含む20カ国で予約販売の受け付けを開始した。 リフトの性能はギアVRを大幅に上回り、視野角が広く、没入感が高いという。既に100以上の対応ゲームソフトの開発が進んでいるとされる。価格が日本では8万3800円と送料。使用にはハイスペックなパソコンが必要と購入のハードルは高いが、予約が殺到しているもようで、17日現在、予約しても出荷は7月の見通しだ。オキュラスの将来性に期待したフェイスブックが、2014年に20億ドル(約2500億円)を投じて同社を買収。実はサムスンのギアVRもオキュラスとの共同開発。アプリなどはオキュラスの専用ストアで購入する。リフトの簡易版がギアVRという位置付けとなる。
リフトのライバルと目されているのが、ソニーの「プレイステーションVR」。今年上期に市場投入する予定で、プレイステーション4(PS4)につないで使用する。 欧米の報道によると、ソニーの平井一夫社長は1月、プレイステーションVRの専用ソフトを「100タイトル以上投入する」と、大規模な開発態勢をとられていることを明らかにしている。価格は未定だが、既に普及したPS4を活用できるという点で、リフトをリードしているともいえそうだ。このほか、台湾HTCも高性能のHMD「Vive」を4月に発売する予定。また、米フィナンシャル・タイムズは先月、アップルがHMDについて開発部門を立ち上げ、既にプロトタイプを完成させていると報道。同紙や米ウォールストリート・ジャーナルによると、グーグルもスマホをセットするタイプのほか、スマホやパソコンを必要とせず単体で利用可能なHMDの開発に乗り出していると報じた。
米マイクロソフトも、「HoloLens(ホロレンズ)」という、透過型のゴーグルで、風景に3D映像を重ねることができるタイプのHMDを年内にも発売するとみられている。 スマートフォンの普及速度にも頭打ち感が出ている中、新たな大型商品としてIT業界の期待を一手に集めている格好。ただ、価格が高いことや、スマホやパソコン、ゲーム機が必要なことから、まずはイベントやビジネスなどで利用が先行しそうだ。ソフトが充実し、使い方の幅が広がれば、一気に普及する可能性もある。(池誠二郎)