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send G20、盲点は中国リスク放置 「外為操作」不問が危機招く恐れ

2017年4月24日 月曜日

写真撮影に応じるトランプ大統領(左)と習近平国家主席=7日、米フロリダ州(AP)
 

「外為操作」不問が危機招く恐れ

ワシントンでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は「世界経済の先行きは明るい」(議長のドイツ・ショイブレ財務相)との楽観ムードだった。トランプ政権が中国に対する為替操作国指定をやめ、貿易戦争リスクが遠のいたからだろうが、ちょっと待て。そのおかげで、世界を苦しめる中国リスクは不問に付され、高まりかねないのだ。   不動産バブル再燃 中国経済は習近平政権の号令によるインフラや不動産投資というカンフル剤投与で立ち直っているように見えるが、不動産市場ではバブルが再燃、膨大な余剰設備を抱えた国有企業は温存されたままだ。政府が外国為替を含む金融市場をがんじがらめに規制し、中国人民銀行資金を集中投下するからこそ可能なマジックだが、官民債務は既に国内総生産(GDP)の2.7倍以上に膨張している。言わば債務バブルであり、崩壊すれば新たな世界経済危機を引き起こす恐れがあるとは、英フィナンシャル・タイムズのチーフ・エコノミクス・コメンテーター、マーティン・ウルフ氏が5日付同紙で警告している通りだ。 中国リスクをチェックできるだけの政治力を有しているのは、米国のトランプ大統領のはずだった。大統領選挙期間中にまくし立てた対中強硬策は毒をもって毒を制す効能を秘めていた。 人民元の為替操作をやめさせ、切り上げを迫り、応じなければ輸入中国製品に45%の関税を適用する。人民元を切り上げるなら、ゾンビ企業は改革を迫られる。人民銀行や国有商業銀行は市場需給に応じた効率的な資金配分を図る。つまり金融市場自由化が不可避になり、人民元相場の管理・操作制度は自由変動相場制への移行を迫られる。金融自由化すれば、当局による外為管理はますます無力になるからだ。国内外の資金移動を当局が制限していても、海外への資本逃避は昨年7000億ドル(約76兆円)以上に達したほどだから、そもそも現行制度自体、時代遅れになっているのに、その改革機運は消滅した。 トランプ氏を心変わりさせたのは北朝鮮の金正恩労働党総書記である。核とミサイルを振りかざすこのならず者を押さえ込むことができるのは、習近平中国共産党総書記・国家主席しかいないと、トランプ氏は7日のフロリダでの会談を経て信じ込んだようだ。 14日に発表した米財務省の主要貿易相手国・地域を対象にした外国為替報告書では、中国を日本、ドイツ、韓国、スイス、台湾と同列の通貨政策の「監視対象」に指定したのにとどめた。トランプ氏は「北朝鮮問題でわれわれに協力する中国を為替操作国とどうして呼べる?」と16日にツイッターした。ワシントンのG20会合では中国の財務相に全員が握手を求めた。 米国が北朝鮮の泥沼に足をとられるのを嫌い、北京に頼るのは歴代の政権もそうだったから、さほど驚かないが、トランプ氏は中国に対する正論までも封じてしまった。正論とは、「われわれは中国を再建した。中国がわれわれから奪ったカネでだ」との大統領選挙戦中の発言だ。   米から資金奪う グラフは米国のモノの対中貿易赤字と中国からの米国債・政府機関債購入を合算した資金流出入と人民元相場の推移である。世界最大の債務国米国は外部からの資金流入に依存する。貿易赤字は大きくても、相手国がその分を対米証券投資で還流させれば、米経済は安定する。中国は米国に貿易黒字を証券投資で資金還流させるどころか、「奪う」一方で、昨年は年間3500億ドルの黒字に加えて1300億ドルの米国債・機関債を売却、合計で4800億ドル、米国からドル資金を手に入れた。2001年の世界貿易機関(WTO)加盟以来、17年2月までの累計で、米国から34兆ドル以上の資金を「奪い」、経済超大国にのし上がってきた。この間、海外には54兆ドル超が流出しているが、中国分はその63%を占める。しかも、米国からの流出は人民元安と連動している。中国は為替操作で膨張するのと対照的に、米国では大量の雇用が失われたことはまぎれもない事実なのだ。 「北朝鮮問題で協力しなければ、対中通商強硬策をとる」というトランプ・カードを引っ込めた代償は、世界の市場はもちろん、「米国第一主義」のトランプ政策にも及ぶだろう。   ■20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の議長国会見のポイント ・世界経済の見通しは明るいが、懸念は山積している。 ・幅広い人に恩恵が行き渡るような成長の実現を目指すことで一致。 ・国際情勢の緊迫化など将来のリスクに対抗するため、経済をより強固にする必要がある。 ・保護主義は世界経済に打撃を与える。世界全体の経済成長に向けて自由貿易が重要との認識を共有。7月の首脳会合で継続協議。 ・テロ資金源の根絶が極めて重要な問題であると各国が認識。 (ワシントン 共同)

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