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send ESG投資、社会に役立つ企業へ資金拡大 GPIFが牽引役、収益率に課題も

2018年6月25日 月曜日

年金積立金管理運用独立行政法人=東京都港区虎ノ門

環境破壊など社会問題の解決や経営の規律強化に向けた企業の活動を評価して資金を投じるESG投資が国内で広がりつつある。企業の成長に資するとされるためで、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が牽引(けんいん)役となった。問題への対応力が市場で評価され事業拡大につながる好循環をつくれるかが、投資が根付く鍵となりそうだ。

  1兆円を運用 ESGは環境(ENVIRONMENT)、社会(SOCIAL)、企業統治(GOVERNANCE)の英語の頭文字。投資が広がる背景には、環境汚染や貧富の格差、企業の不祥事を放置すれば経済成長は続かず、健全な社会を築けないとの強い問題意識がある。 企業にとっても環境などに配慮して事業を手掛けることは、社会的な責任を果たす一方、経営改善や新たなビジネスチャンスの獲得につながる。 投資拡大には国連が大きな役割を果たしている。2006年にアナン事務総長(当時)が「責任投資原則(PRI)」を掲げ、機関投資家にESGへの取り組みを考慮するよう求めた。08年のリーマン・ショック後、過度な利益追求への批判が高まり、PRIに賛同する動きが強まった。 国連は15年、格差是正など17分野について30年までの達成を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」も採択。問題解決を担う主体に民間企業を位置付けた。日本政府も昨年末に実現に向けた行動計画を公表した。  

これを受け、ESG投資は欧州と米国を中心に拡大。国際団体の世界持続可能投資連合によると、16年の世界の同投資残高は22兆8900億ドル(約2500兆円)で全体の26%に上る。同年の日本のESG投資額は4740億ドルにとどまるが、14年比で68倍になった。

GPIFは昨年7月、米英の会社が開発したESG関連の3つの株価指数を採用し、指数に連動した運用を始めたと発表。同年6月までに、保有する国内株式約35兆円の3%近くに当たる約1兆円を投じた。製品のリコールなど不祥事を起こした企業は対象外だ。 GPIFの運用額は150兆円と、世界の公的年金の中で最大規模とされる。高橋則広理事長は「運用開始は(市場に大きな)インパクトを与えた。企業がESGを意識するきっかけにもなった」と強調。将来的に投資先企業の経営基盤強化につながり、GPIFの投資収益が上がれば「年金受給者にもメリットが見込める」としている。 「債券にもESGの手法を生かしたい」と、債券購入も視野に投資を拡充していく見通しだ。 他の機関投資家もESG投資に積極的だ。日本生命保険は今後3年間で5000億円を投じ、第一生命保険はアジアの途上国での事業や健康関連などのベンチャー企業に資金を振り向ける。米国系資産運用大手ブラックロック・ジャパンも「日本国内で投資を強化している」と明らかにした。  

日銀も参入か

日銀は4月、大規模な金融緩和の一環で実施中の上場投資信託(ETF)の購入に関連し、女性の登用を重視する企業を組み込んだ株価指数を選定したと発表した。市場は「日銀のESG投資開始」と受け止めている。 企業も対応を急いでいる。味の素は主力の食品事業とアミノ酸の技術による食料分野での国際貢献を、現在進めている中期経営計画に明記。伊藤忠商事は安定した商品の供給体制構築に向けた労働環境の改善を経営課題に掲げた。オムロンは国内での女性管理職の比率を、16年度の3.3%から20年度に8%に高めたいとしている。 ESGに関連した投資信託も相次ぎ登場。野村アセットマネジメントは女性を積極活用する企業で構成する株価指数に連動したETFを設定し、東京証券取引所に5月に上場した。大和住銀投信投資顧問も5月、社会的な課題の解決を目指す世界の企業に投資する投信を設定した。これらは個人も購入できる。 ただ、ESG投資の収益率は従来型の投資と比べて大差がないとの見方は多い。社会問題の解決には時間を要することが一因とされる。高橋GPIF理事長は「ESGへの企業の取り組みが続けば(時間がかかっても)いい社会になる。後の世代に役立つ」と強調。投資にあたっては、長期の視点が欠かせないようだ。

フジサンケイビジネスアイ

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