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send ATM競うセブン銀とゆうちょ銀 訪日客向けを充実、「地方創生」援護も

2015年4月20日 月曜日

  bse1504200500002-p2   2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて訪日外国人の急増が見込まれる中、訪日客向けのATM(現金自動預払機)サービスをセブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン銀行と、ゆうちょ銀行が競っている。

海外で発行されたカードを使って日本円をATMで引き出すサービスの手数料収入は魅力的で、メガバンクもサービスの強化に乗りだすなど争奪戦は今後過熱しそうだ。同時に海外対応ATMの普及は、訪日客マネーで地方を潤すことで、安倍晋三政権が力を入れる「地方創生」を援護するインフラとしても期待が高まりつつある。

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「通貨の通訳者」担う

  「海外からの観光客が日本中にあふれるようにお役に立ちたい」。セブン銀行の二子石謙輔社長は、訪日客向けにATMの使い勝手を良くすれば、銀行にできる日本らしい「おもてなし」につながると強調する。   雑貨などの買い物にコンビニエンスストアなどで現金を使うことは、旅行中でも多い。訪日客が手軽に日本円を引き出せるようにと、セブン銀は2007年7月からATMで海外発行カードを使えるようにした。   中国の代表的なクレジットカード「銀聯(ぎんれん)カード」の発行会社から打診を受けたことをきっかけに、訪日中国人の消費の伸びを見込んで当時の安斎隆社長(現会長)が即断即決したという   グループ各社の顧客の利便性を考慮し、対応するカードを米国のビザやマスターカード、アメリカン・エキスプレスに加え、JCBなどにも拡大。セブン-イレブン店内のATMを海外カード対応に順次切り替え、空港や観光案内所にも対応ATMを設置した。今では全国2万1000台のセブン銀のATMで海外カードが使える。   利用拡大の原動力となったのはATM画面や音声案内、明細表などの多言語対応。現在は英語と中国語、韓国語、ポルトガル語での利用が可能で、年内にはタイ語やマレーシア語などを追加して12言語に増やし、訪日客全体の約9割をカバーする計画だ。訪日客の取り込みではライバル関係にあるカード大手の幹部も「セブン銀行のATMは『通貨の通訳者』の役割を果たしている」と評価する。   現金の引き出しに伴う手数料収入は小さくない。カードの発行会社によって異なるが、セブン銀側は1回当たりの引き出しで100~200円程度が得られるという。   根強い「現金」需要
  一方、ゆうちょ銀はセブン銀に先駆け、2000年6月からATMの海外カードへの対応を始めた。翌7月に九州・沖縄サミットを控え、海外に日本の金融インフラをアピールする狙いがあった。   ゆうちょ銀は、約2万4000カ所ある全国の郵便局やゆうちょ銀の店舗以外にもATMのネットワークを広げようと、セブン-イレブンと競合するファミリーマートに目を付けた。コンビニの立地の良さを生かせるのに加え、顧客層に占めるウエートがこれまで低かった若い世代を取り込むためだ。   昨年11月から首都圏や関西圏のファミリーマートの店内にATMを順次導入し、3月末までに約500台を設置した。さらに大型ショッピングセンターなどへの展開も進めている。   海外カードの利用実績は13年度が約185万件、約901億円で、その後も「順調に増えている」(ゆうちょ銀)という。
  空港や駅のほか、海外でも派手なPR活動を繰り広げるセブン銀と比べると、ゆうちょ銀は宣伝不足の面も指摘されるが、東証上場が今秋実現すれば経営の自由度が高まり、訪日客のATM利用拡大に本腰を入れる可能性は小さくない。   観光立国を成長戦略に掲げる政府の意向を踏まえ、メガバンクも対応を急ぐ。三井住友銀行、みずほ銀行は15年度から、三菱東京UFJ銀行は16年春をめどに海外カードに対応するATMの導入を始め、3メガともそれぞれ1000台規模を設置する計画だ。   米ビザ・ワールドワイドの日本法人の調査(14年9月時点)では、訪日客の買い物の主な決済方法は「カード」の53%に対し「現金」は47%と拮抗(きっこう)した。観光庁の調べでも、オーストラリアや米国、フランスなど日本に長期滞在する旅行者が多い国・地域を中心にATM関連の情報を求める声が大きいという。
  観光庁によると、14年に日本を訪れた外国人旅行者の数は前年比29.4%増の1341万4000人で過去最高を記録。14年に訪日客が日本で消費したお金は2兆278億円とみられ、前年より4割強も伸びた。政府は20年に2000万人の訪日客の受け入れを目標に掲げる。   地方創生を後押しするため、観光庁は訪日客の経済効果の地方への波及を狙っており、訪日客に地方を楽しんでもらうための施策や地方での免税店展開を急いでいる。金融機関が全国に持つATM網が果たす役割も小さくなく、観光庁関係者は「訪日客の財布のひもを緩ませるには、いつでもどこでも現金を引き出せるATMを増やすことが欠かせない」と指摘している。(米沢文)

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