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send 電子マネー、アフリカに商機 高いスマホ普及率、投資回収可能に

2019年1月7日 月曜日

日本植物燃料はモザンビークのキオスクでの電子マネー普及に取り組む。日本人スタッフが現地の人に電子マネーの使い方を研修する様子

電子マネー決済の普及でアフリカビジネスが変貌している。銀行口座を持っていないことがビジネス展開のネックになっていたためだ。SOMPOホールディングス(HD)は昨年11月、仮想通貨を使ってケニアを拠点に海外送金を展開するBTCアフリカ(通称ビットペサ)に出資した。決済機能の浸透を背景に大手商社などが新たな事業展開に踏み出したほか、現地でベンチャーも続々と誕生している。

  世界の巨大市場 アフリカの最大の魅力は、人口増大による市場の拡大だ。国連によると、世界人口が2050年に約97億人と予想される中でアフリカの人口は約25億人と約4分の1を占める計算だ。ナイジェリアは米国を抜き、インド、中国に次ぐ3位に浮上し、コンゴやエチオピアもトップ10入りする。 これまでは大手商社による資源獲得やインフラビジネス、味の素やヤマハ発動機などが貧困層の生活向上を対象に展開するBOP(ベース・オブ・ピラミッド=貧困層)ビジネスが主流だった。だが、最近は、日本のベンチャー企業が新たな事業モデルでアフリカに進出したり、日本企業が現地ベンチャーへの出資を通じて新たな事業に挑戦する動きも目立つ。 アフリカの低所得層は銀行口座を持たない人がほとんどで、資金回収が最大のリスクだった。だが、ケニアではスマートフォンの普及率が人口の約85%に達し、人口の約70%が電子マネーを利用しているという。このため、最新のデジタル技術で電気を使った分だけスマホ決済するなどの環境が整い、「取りはぐれがなく、投資回収が可能になった」ことが新たな事業参画を後押ししている。 ビットペサは先端技術を使って、13年から仮想通貨ビットコインを使った企業間の国際送金サービスを提供、時間とコストを大幅に削減し、急成長している。資本参加したSOMPOHDは、ビットペサの電子マネー決済のノウハウを使って将来の海外送金・決済ビジネスにつなげる。 大手商社では、アフリカの無電化地域に電気をともす社会課題解決事業の動きが広がっている。  

商社が次々出資

住友商事は、ケニアで太陽光発電システムのリース事業を行う「M-KOPA」に出資。丸紅は、東大発ベンチャーでアフリカで太陽光発電のリース事業を手掛けるワッシャ(東京都台東区)に出資し、タンザニアの事業に参画した。三菱商事は欧州企業と組み、西アフリカのコートジボワールで太陽光と蓄電池を貸し出す事業に、三井物産もインドのベンチャーと組みアフリカで太陽光を使った地産地消の事業に乗り出す。 LPガスなどを販売するサイサン(さいたま市)も昨年、タンザニアのコパガスに資本参加した。LPガスボンベに搭載するスマートメーターを自社開発し、「ガスを利用した分だけ、電子決済で支払う」仕組みで、リスクを減らす考えだ。 日本植物燃料(神奈川県小田原市)もモザンビークの無電化地域に電気を届ける事業から今後は、農業資材のプラットフォーム作りに乗り出す計画だ。 こうした新潮流を踏まえ、日本貿易振興機構(ジェトロ)は今年2月にもアフリカベンチャーの中から100社を選定し、日本企業と現地のニーズをつなぐ、ビジネスマッチングの事業を強化する。さらに、8月には横浜市で開かれる第7回アフリカ開発会議(TICAD7)にもこれらの企業を招き橋渡しする。 日本企業はBOP層の市場で苦戦していたが「アフリカのベンチャーが手掛ける新サービス(による電子マネー決済履歴など)を通じて(生活スタイルや好みなど)顧客情報を可視化し、新たな顧客層の開拓につなげられる」とみている。 一方、あるベンチャー企業の経営者は、電子決済などデジタル技術を使ったインフラへの日本の政府開発援助(ODA)の活用を提案する。 お手本は英国だ。英国はアフリカへの累積投資の最大国で、最近の経済援助の最大の成功事例はケニアの携帯電話大手、サファリコムが運営するモバイル送金サービスの「M-PESA」だという。ケニアでの同サービスの利用者は2300万人に達し、今では一大生活インフラにまで成長した。 サファリコムには英通信大手のボーダフォンも出資するが、そもそもこのネットワーク構築の資金は英国の開発援助機関の国際開発省(DFID)が拠出。それを民間通信会社のボーダフォンが受け継ぎ、送金サービスの生活インフラとして定着させた経緯がある。「その先見性と民間企業活用型の好例には舌を巻く」と分析する。 発展途上国のインフラ支援の定義も従来の道路や鉄道だけではなく、デジタル技術を使った生活インフラへと変わりつつある。日本のODAの仕組みも今後、時代に合わせて再考を迫られそうだ。(上原すみ子)

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