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send 電力切り替え、大都市圏が先行 全面自由化今春で3年 新規事業者に逆風も

2019年2月27日 水曜日

中部電力と大阪ガスが折半出資するCDエナジーダイレクトは、東急パワーサプライなどと組み、首都圏で電気と都市ガスの供給を展開している=2018年5月  

家庭で使う電気をどの会社から買うか。消費者が選べるようになった電力の小売り全面自由化が始まって4月で3年を迎える。大手電力が自社の供給区域外への進出を図る一方、ガス会社など異業種の参入も加速し、販売競争は激化してきた。電気料金やサービスをめぐる工夫が促される中で、新規参入した「新電力」では厳しい経営環境に陥る事業者も出ている。

 沖縄など5%未満 「以前よりも電気代が安くなった。料金の支払いや検針票がガスとひとまとめになり、管理しやすくなった」。東京都台東区の自営業男性(50)は笑顔で語る。友人の勧めもあり、全面自由化の開始と同時に電気の契約を大手電力から東京ガスに切り替えた。 東ガスは全面自由化を受けて「低圧」と呼ばれる家庭向けの電力の小売りに参入。直近の契約件数は約165万件だ。昨年10月には、2020年度末までの契約件数の目標を20万件上積みし240万件とした。 新電力として登録した企業の数は500社を超す。家庭向けでみると、新電力のシェア(販売電力量ベース)は昨年11月分で11.7%。かつては東京電力ホールディングス(HD)や関西電力などの大手電力が地域ごとに販売を独占していた。 新電力を迎え撃つ側の大手電力は一様に「競争は厳しい」と話すが、手をこまねいているわけではない。

東電HDの森下義人常務執行役は「(工場や企業向けを中心とした域外での)全国販売、ガス販売などに全社を挙げて取り組む」と語る。関電の岩根茂樹社長も「電気とガスをセットにしたメニューや、(価格面で強みのある)『オール電化』の魅力をしっかりと訴求していく」と強調する。

切り替えの動きを地域別にみると、大手電力にとって強敵となる大手ガス会社の地盤があり、需要の大きい大都市圏が先行している。 家庭向けで、昨年9月時点の大手電力から新電力への切り替え率は、東電HD管内が17.6%、関電管内が16.3%、中部電力管内が10.0%と、三大都市圏を抱える3社はいずれも2桁に乗せた。 北海道電力管内も12.7%だったが、過去に実施した2度の値上げで顧客が新電力に流れた影響もあったとみられる。これに対し沖縄、北陸、中国の各電力管内は5%未満で、地域差が鮮明になっている。 また、電気は価格以外の要素で他社と差別化を図るのが難しく、値下げ競争に陥りやすい。電気料金が下がれば消費者は恩恵を受けるが、競争が行きすぎれば参入企業は疲弊する。 既に電力の小売りを手がけているエネルギー関連企業の首脳は「今は(顧客を)取られたら取り返すという形になっているが、価格競争が長く続くとは思えない」と話す。「(発電設備や電力網への)投資をしっかりと行い、日本のエネルギーを高度化していく中で(参入企業が)切磋琢磨(せっさたくま)すべきだ」(関電の岩根社長)といった声もある。 「大手と連携カギ」 新電力には逆風にさらされる企業も出ている。大手のF-Power(エフパワー)の18年6月期決算は最終損益が120億円の赤字(前期は7億円の黒字)だった。

新電力の多くは自前の発電設備を持たない。そうした企業が電気を調達するには、大手電力などとの相対契約で購入する▽事業者同士が電気を売り買いする卸電力市場で購入する-などの手段がある。

ただ、卸電力市場に調達を依存することにはリスクもある。需給の変化で価格が変動しやすく、価格高騰局面では調達コストが膨らんで業績悪化を招きかねないためだ。 三菱総合研究所の浅岡裕主任研究員は「資本力が乏しく卸電力市場への依存度が高い新電力は、経営が厳しくなっている」と指摘。その上で、新電力が生き残るための条件として「強固な顧客基盤、電気を安定的に調達する能力、特徴のあるビジネスモデルを生かした大手電力との連携などが鍵になる」としている。(森田晶宏)

フジサンケイビジネスアイ

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