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send 電力とガス、自由化時差で“天国と地獄” 「セット販売」先行に業界猛反発

2015年3月27日 金曜日

bsd1503270500011-p1   家庭向け電力、ガスの小売りが2016年以降、それぞれ自由化される。今国会に関連法の改正案が提出されたことで、ガスの全面自由化も正式に決まる見通しだ。新規参入者が増えて料金の値下がりが期待されるほか、電気やガス、通信といったサービスを組み合わせる「セット販売」も“目玉”となる。だが、自由化は電力は16年、ガスは17年と時間差があるため、ガス会社は自由化された電気とガスのセット販売を16年から始められるのに対し、電力会社は17年のガス自由化までセット販売が始められない。この時間差について、電力業界は「販売が不利になる」と焦燥感を募らせている。 顧客流出加速も   「関東地方ではブランド力が圧倒的だが、今後は守りの立場になる」   東京電力の広瀬直己社長は、ガスより1年早い電力小売りの全面自由化の影響について、警戒をあらわにする。一方、東京ガスの広瀬道明社長は「首都圏の電力需要の1割を狙う」と、気炎を上げる。   エネルギーの自由化は地域独占を認めるこれまでのシステムを改め、新規参入者を増やし競争原理を働かせ、電気やガス料金の引き下げにつなげるのが最大の目的だ。   すでに自由化されている工場など大口向け小売りには異業種が多く参入し、低料金でシェアを伸ばしている。東電など大手電力は、原発停止の影響で電気料金を値上げしたため、14年だけで原発3基分に相当する約300万キロワットの需要を奪われた。家庭向け小売りが全面自由化されれば、顧客流出が加速する恐れもある   競争が激化する中で注目されているのが、電気やガスを一緒に販売するといったセット販売のサービス拡大だ。事業者にとっては「セットで契約すれば、何%割り引きます」といったうたい文句で、顧客を囲い込むことができる。消費者にとっても割引の特典や、電気とガスの料金を一緒に支払えるといった利点がある。   携帯電話大手のソフトバンクは自社でつくった電気と携帯電話のセット割引を検討しているとされる。また、「ENEOS」ブランドで知られるJX日鉱日石エネルギーといった石油元売りは、電気とガソリンを一緒に販売することを検討している。そのほか、ハウスメーカーや保険会社なども自社商品と電気をセットで販売しようと、参入機会を狙っている。   東電も、電気と携帯電話契約のセット販売を目指し、NTTドコモとKDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社と提携する方向で交渉に入る見通しだ。4月中にも提携先を絞り込んで基本合意を目指し、16年度にもサービスを開始する。   東電は電気と携帯電話をセットで契約することで料金を数%割り引くことを検討する。携帯電話会社の窓口で電気の契約を受け付ける、といったサービスも実現する可能性がある。   しかし、セット販売で「大きなウエートを占める」(大手電力関係者)のは、なんといっても電気とガスのセット販売だ。電気とガスはほぼ全ての家庭で使われ、暮らしに欠かせないサービスだからだ。電力とガス会社は検針や料金徴収などでノウハウを持っており、自由化の主戦場は「電力とガス会社」とみる関係者は多い。   ガス業界の動きは迅速だ。東京ガスなど大手ガス会社は、16年に電力が自由化され次第、ガスと電気のセット販売に乗り出す構え。LPガス大手のアストモスエネルギーは2月から、工場など大口向けの電力小売りを開始。全面自由化を見据え、系列の特約店がLPガスと電気をセットで販売できるよう、支援態勢を構築する考えだ。   全面自化をめぐっては、欧米などでも先行して実施されており、国内の電力、ガス会社の多くも自由化そのものには反対していない。ただ、自由化の時期が1年ずれることで、電力会社がガスとのセット販売に乗り出せず、大きなハンディを背負う。大手電力関係者は「(セット販売の遅れは)そのまま顧客の囲い込みの差につながりかねない」と危機感を抱く。 電力業界からは「イコールフッティング(競争条件の同一化)の観点からも、(全面自由化の)時期が1年ずれるのはおかしい」と悲痛な声も漏れる。セット販売の時期だけでも同一条件にするような一定のルールをガイドライン(指針)で示すよう模索する動きもあるようだ。   とはいえ、現段階では実効性のあるガイドライン作成は見通せず、セット販売で電力業界が不利な立場にあるのは否めない。自由化を契機とするエネルギーの「ワンストップサービス」をめぐる電力、ガス業界の攻防はこれからだ。   【用語解説】電力とガスの小売り自由化   電力とガスを自由に販売できるようにする制度改革。大手の電力、ガス会社が独占してきた地域の市場を開放し、異業種からの新規参入を促す。   料金の引き下げやサービスの多様化を図る狙い。工場など企業向けの小売りはすでに自由化されている。   家庭向けの小売り自由化は電力が2016年4月、ガスは17年をめどに実施される見通し。

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