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send 鉄鋼揺るがす「第2の中国リスク」 石炭価格2倍に…収益を圧迫

2016年10月3日 月曜日

  bsc1610030500002-p1   中国の過剰生産による市況悪化に続く「第2の中国リスク」が鉄鋼業界を揺るがしている。中国が、鉄の原料となる石炭の生産を減らしたことで、価格が急激に上昇。これが鉄鋼各社の製造コストを押し上げ、収益を圧迫しているのだ。円高に苦しむ自動車業界など大口需要家への価格転嫁も難しく、鉄鋼各社は苦悩の色を深めている。   政府が生産抑制   「新日鉄住金としては、製品価格に転嫁させていかないと、事業が継続できなくなる」   日本鉄鋼連盟会長として9月28日の定例会見に臨んだ進藤孝生・新日鉄住金社長は、石炭価格の上昇に危機感をあらわにした。   鉄は鉄鉱石を蒸し焼きにした石炭(コークス)で還元して造る。1トンの鉄を造るのに、0.5トン以上の石炭を使っているといわれる。指標となる豪州炭のスポット(随時契約)価格は、7月下旬まで1トン=100ドル(約1万円)を切る水準で推移していたが、直近では210ドル(約2万1000円)前後と2倍以上に跳ね上がっている。200ドル超えは2012年7月以来だ。  

異常ともいえる高騰に、神戸製鋼所の梅原尚人副社長も「全く予想していなかった」と戸惑いをみせる。

  価格が高騰しているのは、中国政府が鉄と同じく過剰な生産能力を抱える石炭産業の生産調整を進め、炭鉱の稼働を制限しているためだ。本来、石炭の過剰生産抑制自体は健全な動きといえるものの、一方で能力削減が進まない中国の鉄鋼業界からの石炭の引き合いは旺盛なままで、これが石炭不足深刻化の主因となっている。   中国による8月の石炭輸入量は、前年同月比で6割も増え、インドや欧州の鉄鋼メーカーと「奪い合い」を演じつつある。   日本の鉄鋼各社は、原料炭の価格交渉を四半期ごとに行っている。新日鉄住金の場合、今年7~9月期の購入価格は92ドル。現在、10~12月期の交渉を豪州の石炭メーカーなどと進めている最中だが、前四半期に比べ購入価格が大幅に上昇するのは避けられない情勢だ。  

各社は中国勢の過剰生産による市況悪化で、15年度に軒並み業績を悪化させた。今期も円高が加わって苦しい経営が続いており、新日鉄住金は1300億円と前期比35.3%の経常減益を見込む。

  だが、この数字は第1四半期(4~6月期)決算を発表した7月28日時点のものだ。その後の石炭価格上昇は織り込まれておらず、今後の動向次第では利益は一段と減少する。   新日鉄住金は、15年度に2641万トンの石炭を輸入した。今期の輸入量が同程度として、仮に価格が200ドルに倍増し、半年続いたとすると、予想した利益が全て吹き飛びかねない。   新日鉄住金の進藤社長が語るように、上昇分を製品価格に転嫁できれば、収益悪化は避けられる。しかし、今春打ち出した値上げ方針は、販売低迷に直面する自動車メーカーなど大口需要家の反発の中、十分に実現していないのが実情だ。上昇した石炭価格を製品価格に転嫁するのは容易ではない。  

能力削減も足踏み

  一方、中国の過剰生産能力問題をめぐっては、国有大手の宝鋼集団(上海市)と武漢鋼鉄集団(湖北省)が9月22日に経営統合を発表。問題解決を図る場として国際フォーラムも創設され、解決に向けた機運は高まりつつある。   ただ、統合について現時点で決まっているのは、宝鋼傘下の宝山鋼鉄が武漢傘下の武漢鋼鉄を吸収することぐらい。人員削減などの具体論に踏み込むのはこれからだ。国際フォーラムについても、中国が早期開催に難色を示しており、早くも前途に暗雲が漂っている。   能力削減の難しさを見透かすかのように、代表的な鉄鋼製品で建材などに使う熱延広幅帯鋼(ホットコイル)の価格は半年ほど1トン=400ドル程度の横ばい状態が続き、上向く気配がない。   石炭価格高騰の背景には、7月に中国で洪水が起きて輸送に支障を来したことや、豪州の炭鉱で生産トラブルが相次いだこともある。このため進藤社長は「一時的要因が落ち着いてくればパニックは収まる」と期待するが、過剰生産問題と合わせ、中国の動向に振り回される局面が今後も続きそうだ。(井田通人)

フジサンケイビジネスアイ

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