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send 鉄鋼に続き…化学業界でも中国リスク 価格競争強いられ採算悪化

2016年3月18日 金曜日

bsc1603180500005-p1   原油安による原料価格の下落で利ざやが拡大し、好業績を謳歌(おうか)する化学メーカーが、一部製品では採算悪化に苦しんでいる。中国の景気悪化や、中国勢の相次ぐ生産増強で、需要が供給を大幅に下回っているためだ。   中国を震源地とする価格競争に巻き込まれ、業績が悪化する鉄鋼業界と同じ構図が化学にも及んでいる。品質面で差別化しにくい製品ほど価格下落は著しく、こうした製品に生産品目を絞り込んできたメーカーは、生産集約などの抜本的な対応を余儀なくされつつある。   市況悪化にさらされている化学品の代表が、ナイロン原料のカプロラクタムだ。   国内最大手の宇部興産によると、ナイロンは衣料や食品パッケージなど幅広い分野で使われるのに対し、カプロラクタムは「製品にグレードが存在せず、差別化が難しい」という。   そのアジア価格は2011年時点で1トン3150ドルと高水準だったが、中国勢が相次ぎ市場参入した翌年から低下。最近の景気悪化でさらに値下がりが進み、直近の今年2月には過去10年で最安となる1175ドルまで下落した。  

差別化しにくく

  鉄と違ってまだ中国国外にはあふれ出ていないが、同社を含む海外メーカーの製品が押し出されているという。   このため同社は、14年に堺工場(堺市西区)での生産を停止し、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)に国内生産を集約したのに続き、今後は工程を簡素化できる製法への転換を図る方針。一方で、自社生産するナイロンへの内部利用も進め、足元で5割の「自消率」を20年以降に8割まで引き上げる考えだ。   カプロラクタムは、住友化学も昨年9月に愛媛工場(愛媛県新居浜市)の生産設備の1ラインを止めた。十倉雅和社長は「(中国の供給は)明らかに過剰。日本への流入は円安もあってほぼないが、社内では安心するなと言っている」と危機感を募らせる。   一方、ポリエステル繊維の原料であるテレフタル酸も採算悪化に歯止めがかかっていない。   三菱ケミカルホールディングスは、16年3月期に中国とインドのテレフタル酸事業に関して628億円の減損損失を計上する。両国の工場については「現在の状況が続けば16年度中に抜本的な対策を断行する」としており、閉鎖に踏み切る可能性も捨てきれない。韓国の関連子会社、三南石油化学でも生産能力の6分の1に当たる設備を休止中で、追加の削減を視野に入れている。   設備休止や削減   このほか、アクリル繊維やABS樹脂の原料で、旭化成などが生産するアクリロニトリルも市況が低迷。大手の旭化成は、14年8月に川崎製造所(川崎市川崎区)での生産を停止したにもかかわらず、「足元の採算は低下している」と話す。   化学品の基礎原料であるエチレンの国内プラントは高稼働を続けており、石油化学工業協会が17日に発表した2月の稼働率は、94.3%と採算ラインとされる9割を上回っている。もっとも、中国の状況や為替動向次第では化学品全般に影響が及ぶ可能性もある。化学各社は以前から競争力のある高付加価値品へのシフトを進めてきたが、「中国リスク」はそうした動きをさらに後押しすることになりそうだ。(井田通人)

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