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send “酔うに酔えぬ”酒の激安販売規制 消費者猛反発、自民の真意伝わらず

2015年5月22日 金曜日

mca1505220500012-p1   ディスカウント店などによる酒の激安販売に待ったをかける法案を自民党などが準備している。仕入れ価格を下回るような安売り販売を禁止する取引基準を定め、従わない小売業者には是正命令や酒類販売の免許を取り消す処分をできるようにする内容だ。ただ、酒を安く買う機会が減るととらえた消費者から猛反発を受けている。果たして、自民党の思惑通りに今国会で議員立法を通すことはできるのか-。   来年の施行目指す   「ビールの安売りが少なくなるのは正直、困る」と川崎市在住の30代男性はつぶやく。   「まったく乱暴な話だ。対応はこれから考えたい」と小売店幹部はいらだちを隠さない。   4月14日の自民党財務金融部会などによる合同会議で法案の中身が明らかになってから、消費者や小売業者からこうした声ばかりが聞こえてくる。具体的な中身が決まっていないにもかかわらず、すでに四面楚歌(そか)のような状態だ。   mca1505220500012-p2   自民党が了承した酒税法などの改正案は、酒類の公正な取引基準を財務相が定め、違反すれば50万円以下の罰金や免許取り消しなどの厳しい処分ができる。野党にも賛成を働きかけ、衆院財務金融委員長案の議員立法として今国会に提出する。中身は法案提出後に整えて、来年の施行を目指す。   背景には、ディスカウント店やスーパーマーケットなど大規模店の度を超えた安売りによって「町の酒屋や卸売業者が被害を受けている」(衆院議員)ことがあるという。   酒類販売をめぐっては、2003年の出店規制の緩和でディスカウント店や大手スーパーなどが相次いで参入し、販売競争が激しくなった。規模に劣る一般の酒販店は太刀打ちできず、酒販売店に占める割合が1995年度の79%から2012年度には33%にまで減少した。   国税庁は06年に酒類に関する取引指針を定めたが、法的拘束力はない。また、採算を無視した不当な安売りは、公正取引委員会の独占禁止法で禁止されているものの、可能な処分は注意喚起、警告、排除措置命令までで「別の法律の免許を取り消すような罰則もなかった」(公取委担当者)といい、効果は疑問視されていた。   実際、公取委が13年度に不当廉売として注意喚起した1366件のうち酒類は847件と62%を占め群を抜いて多い。放置すれば、町の酒屋や卸売業者の経営が圧迫され、「酒税の税収確保が阻害される恐れがある」というのが、安売り競争に規制をかける自民党の大義名分だ。   実際、公取委が13年度に不当廉売として注意喚起した1366件のうち酒類は847件と62%を占め群を抜いて多い。放置すれば、町の酒屋や卸売業者の経営が圧迫され、「酒税の税収確保が阻害される恐れがある」というのが、安売り競争に規制をかける自民党の大義名分だ。   不適切な行為対象   だが、法案は免許取り消しをちらつかせて、大型店の販売価格に口を出し、小規模な酒販店を保護するようなものなのか。   自民党の答えは「ノー」だ。ある自民党議員は「勘違いされている。原価割れのような違法行為を取り締まるのであって、安い原価で仕入れて安く売ること自体は問題ない」と猛反発の火消しに躍起だ。   例えば、客寄せパンダといわれる商品がある。消費者の関心が高いビールなどを原価よりも安い販売価格に設定して客引きに使う。ビールでは損が出ても他の商品を買ってもらえれば、全体の利益自体は確保できるという慣行だ。これでは一般の酒販店と公正な競争環境にはならない。   また、大型店が特売のために原価をできるだけ抑えようと、中小の卸売業者に取引維持をちらつかせることで、「卸売業者が原価割れで大型店に酒を卸す事例もある」(国税庁)という。   自民党が法案で取り締まろうとしているのは、こうした明らかに不適切な行為だ。言い換えると、大型店が大量仕入れでコストを抑え、低価格で酒を販売する手法には何ら問題がないのだ。   4月14日に行われた自民党の合同会議では、大手スーパーの業界団体である日本チェーンストア協会をはじめ酒小売り関係団体の幹部が一堂に会し、ヒアリングが行われた。しかし、そこでは法案に対する反対意見は一切出なかった。   参加したある団体幹部は「規制が強化されるのは気持ち良いものではなく、今ある独禁法では駄目なのかという思いもあった。しかし反対するほどではなかった」と胸の内を明かす。競合相手をつぶすような違法行為が問題なのは間違いなく、事前に団体の中で意見を取りまとめる際も異論はなかったという。 ただ、取引基準の具体的な中身が決まるのはこれからだ。「中身が出たらよく見て、消費者の利益が損なわれるような内容であれば、また別の話になる」と続ける。   そこで課題になるのは、酒を目玉商品にするための「原価割れの安売り」と、大量仕入れによる「経営努力の低価格設定」の線引きを取引基準としてどう明確に定めるかだ。厳し過ぎれば健全な競争を阻害し、甘ければ法改正の意味がない。   消費者の関心が強い商品であるだけに、立法の趣旨をしっかりと説明し、「これからはビールが安く買えなくなる」という消費者の不安心配を解消することも欠かせない。誤解の多い滑り出しとなっただけに、丁寧な制度づくりが求められる。

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