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send 都心で「シェアサイクル」拡大 第三の公共交通へインフラ整備着々

2014年9月29日 月曜日

【東京2020 国際都市への挑戦】第三の公共交通へ 3区で実証実験   東京都千代田区と港区が10月1日からシェアサイクル(コミュニティーサイクル)システムの実証実験を開始する。自転車専用道が整備された環状2号線の上に開業した虎ノ門ヒルズや東京駅前の丸ビルにもサイクルポートを設置。2年前に実験を始めた江東区を加えて3区で利用可能になり、今後は中央区、大田区でも導入を計画中だ。2012年の五輪開催に合わせて導入したロンドン市のように、シェアサイクルは鉄道・地下鉄、バス・タクシーに続く第三の公共交通システムとして定着できるのか。   mca1409290500003-p2 千代田区役所前で行っていたシェアサイクルプレサービスの自転車。全て電動アシスト付きで快適だ   電動アシスト付き 東京の中心、千代田区に24時間利用可能なサイクルポートが30カ所設置される。九段下にある千代田区役所前で9月から始まったプレサービスを利用して靖国通りを市谷方面へと走ってみると、電動アシスト付きで坂道を上るのも楽だ。   「千代田区の人口は約4万人だが、昼間人口は85万人、交流人口は300万人を超える。ビジネスや観光にかなりの需要が見込めるだろう」と千代田区環境技術・エネルギー対策担当の関成雄課長は期待する。   以前から丸の内・大手町の金融機関や霞が関の官公庁では、近隣への移動手段として自転車が利用されてきた。マラソンコースとしても人気の高い皇居周辺の観光も自転車があると便利。「来年度の実験は規模を3倍以上に規模を拡大し、本格導入に向けた準備を進める」と意欲的だ。   港区は、虎ノ門近辺と品川駅港南口側の2地区にポートを設置する。完成したばかりの環状2号線の沿道地域は、都心部ながら公共交通の空白地帯で、最寄り駅から徒歩では遠い。区役所のある御成門、新橋、虎ノ門、神谷町の4駅に囲まれた地域を中心に観光やビジネスなどの自転車需要を検証する。   「もう一つの狙いは放置自転車対策だ。品川駅港南口の広場地下に約1000台の駐輪場を整備して放置自転車はほぼ解消したが、シェアサイクル導入で生活の利便性も高めたい」(街づくり支援部交通対策担当・西川克介課長)   品川駅から徒歩15分ほどの港南4丁目地区は03年から約5年間で超高層マンションが5棟、約4500戸が新規供給され、自転車利用も一気に増えた。駅まで自転車通勤すると駐輪場代で月1800円かかる。シェアサイクルは月額1000円で、最初30分は無料。延長は30分ごとに100円かかるが、30分かからない通勤だけの利用ならば得で、しかも電動アシスト付きだ。   「平日は豊洲駅を中心に通勤・通学の利用が多い。休日は国際展示場の周辺が増える。今後は五輪競技施設ができる辰巳、夢の島、若洲にもサイクルポートを広げたい」と、先行する江東区の天野清和まちづくり推進課長は20年に向けてそんな青写真を描く。   超高層マンションが林立する湾岸エリアの豊洲・東雲地区も人口が急増し、通勤・通学は地下鉄豊洲駅に集中。シェアサイクルで豊洲駅に出る利用者が多く、月額会員は実験開始から約1年で600人を超えた。   辰巳、夢の島、若洲地区の五輪競技場予定地は、地下鉄の辰巳駅、新木場駅から距離がある。五輪期間中の移動手段はバスが中心となるが、湾岸エリアは歩道を含め道路が広く整備されている。ロンドンでは五輪期間中にシェアサイクルが1日4万回以上も利用されただけに、東京五輪でも有効な移動手段になる可能性が高い。   広域連携へ協議 mca1409290500003-p1 東京3区のシェアサイクルシステムを運営するのはNTTドコモだ。「08年にNTTドコモとして新規事業開拓に乗り出した時にシェアサイクルに注目。3年がかりでシステムを開発し、11年に横浜市に導入した」(スマートライフビジネス本部環境事業推進担当・坪谷寿一部長)。12年に江東区、13年に仙台市と実績を重ね、システムも進化している。   横浜、江東区では、自転車の貸出返却機能を自転車を止める駐輪機器側に持たせていたが、仙台市では自転車本体に搭載。サイクルポートに設置した電波検知器で、自転車の有無を感知する仕組みとした。これによってポート設置費用などの初期導入コストを30%以上削減。電波検知器を設置すればラックなしでも臨時ポートにでき、五輪など利用者が一時的に急増する場合も対応しやすくなった。   千代田区、港区、江東区では、導入検討中の中央区も含めてシェアサイクルの広域連携に向けた話し合いを進めている。現在は、千代田区で自転車を借りたら、千代田区のポートに返却しなければならないが、将来的には虎ノ門ヒルズで借りて、銀座や有楽町で乗り捨てることも可能になる見通しだ。「NTTドコモのシステムならプラットホームは同じなので連携しやすい。他の運営事業者にも広域連携に向けた協議を呼び掛けている」(坪谷氏)   ■ポート 駅前設置へ課題 mca1409290500003-p3 ロンドンの「サイクルハイアー」。五輪期間中は1日4万回利用されたという(ブルームバーグ)   シェアサイクルは、2009年の札幌市を最初に13年度末ですでに54市町村で導入されている。しかし、事業規模はポート数35カ所、自転車台数400台の横浜市が最大で、パリ市やロンドン市に比べて大きく見劣りする。現状では導入・運営の採算が合わず、自治体などが一部費用を負担しているからだ。NTTドコモでも「かなりコストは下がったが、あと一息」という状況だ。   今年4月にはJTBグループが「ジャパンシティバイク」の名称でシェアサイクル事業に再参入した。「旅チャリ」の名称で電動アシスト付き自転車のリース事業を展開し、09年から東京、名古屋、神戸などでシェアサイクルの実証実験を行ったが、採算の見通しが立たずに12年度に一度は断念。しかし「各方面から撤退を惜しむ声をいただき再挑戦を決めた。ランニングでは自治体負担が生じないまでにコストを削減。来年3月から鹿児島市で本格運用を開始する予定だ」と、JTBコーポレートセールス霞が関第一事業部の高知尾昌行マネージャーは意気込む。   今後の課題は、サイクルポートの設置をどう進めていくか。パリのヴェリブのように300メートル四方に1カ所ずつポートを設置できれば利便性は高まるが、現状では自治体施設用地、ビルの公開空地、民有地ぐらいしかポートを設置できない。駅前広場や路上などにポートを設置したくても、バスなどと同じ公共交通システムという位置付けではないため「東京駅や新橋駅の駅前広場にポートを設置したかったが、実現できなかった」と各区担当者は残念がる。   国土交通省は今月5日に公表した交通政策基本計画の原案で、コミュニティーサイクルの導入数を20年度までに100市町村を目指す目標を打ち出した。「国の公文書にコミュニティーサイクルが位置付けられるのは今回が初めて。12年末に公表した自転車利用環境創出と自転車等駐車場整備のガイドラインと合わせて国の取り組みが進むだろう」(都市局街路交通施設課・東智徳企画専門官)と期待が高まる。   自転車政策の第一人者、三井住友トラスト基礎研究所の古倉宗治研究理事は、今後の課題をこう話す。   「日本は欧米に比べて自転車の保有台数が圧倒的に多いだけに、広域連携を含めて需要を綿密に調査したうえで導入を進めていく必要があるだろう。公共交通と位置付けた場合でも、駅からポートが150メートル離れると利用されないとの調査結果もあるので、駅との連携も重要だ」   このほかにも、自転車やポートへの広告掲載などによる収益強化、クレジットカード以外の料金決済方法の拡充、英語以外の外国語対応など対応すべき課題は少なくないが、東京オリンピックに向けてシェアサイクルが本格普及する環境は整いつつあるのは間違いない。

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