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send 造船業界、ようやく再編始動 中韓先行に危機感、枠組み超え生き残りを模索

2020年1月22日 水曜日

三菱重工業が売却を検討する長崎造船所香焼工場=長崎市

造船業界で再編の動きが加速している。国内首位の今治造船(愛媛県今治市)と2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市西区)が、昨年11月に資本提携で基本合意。三菱重工業は、主力の長崎造船所香焼工場(長崎市)を3位の大島造船所(長崎県西海市)に売却する方向で検討中だ。過当競争に苦しみ、ライバルの中国や韓国に押される中、業界全体が消滅しかねないとの危機感が再編を後押ししている。 「このままでは(業界全体が)立ちゆかなくなる」 昨年12月19日に行われた日本造船工業会(造工会)の記者会見。斎藤保会長(IHI会長)は、1年最大のトピックスとして再編の動きが始まったことを挙げながら、現状への危機感をあらわにした。 造船業界は2008年のリーマン・ショック以降、慢性的な船余りで受注減に直面してきた。船舶建造量の約9割を占める日中韓の競争は年々激化。価格競争力で優位に立ち、「おきて破り」と批判されるほど手厚い政府支援を受ける中韓が先行してきた。 日本は再編でも中韓のリードを許している。中国では昨年11月、国有2社が統合し、世界シェアの約2割を握る「中国船舶集団」が誕生。韓国でも18年に世界首位だった現代重工業が、大宇造船海洋(3位)との統合を決め、やはりシェア2割を超える巨大企業が生まれようとしている。 これに対し、日本では多くのメーカーが乱立。三菱重工や、IHIとJFEホールディングスが約46%ずつ出資するJMUを含め、総合重工メーカー系の苦戦が特に目立つ。にもかかわらず、大型再編は13年にJMUが誕生して以来、実現してこなかった。 三菱重工が売却を検討する香焼工場は、同じ長崎市にある本工場とともに長崎造船所を構成してきた。造船は同社の祖業だが、近年は大型客船事業から撤退を余儀なくされるなど不振が続く。いかに創業の地とはいえ、長崎造船所をいつまでも聖域扱いするわけにはいかない。同社は「従来の船種でやっていくのは厳しい」(泉沢清次社長)として、フェリーなどの得意分野に絞り込む考えだ。 一方、今治はJMUに最大30%を出資する方向で検討している。 圧倒的なシェアを持つ専業の今治と、技術力に定評がある総合重工系のJMU。強い危機感が企業風土の違いを超えさせた。「激動の中で生き残るには、通常の企業活動の枠組みを超えた取り組みが必要だ」。JMUの千葉光太郎社長は社員向けの年頭あいさつでそう訴えた。 業界には依然、明るい兆しは見えない。各社は収益性が高く、強みの技術力を生かせる液化天然ガス(LNG)運搬船に活路を見いだそうとしているが、ここでも韓国に押されている。1月に始まった新環境規制の影響を見極めようと、顧客が様子見を続けていることも逆風となっている。 「1社だけではなかなか対応できない状況が技術課題を含めてある。何らかの形で協業する、合併するなどの形で起こりうる」。造工会の斎藤会長は、今年以降も合従連衡の動きが続くと予測する。(井田通人)

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