就活お役立ちビジネスニュース

send 赤字解消が進まない地方路線… IT出身の公募社長が攻めの姿勢、企画次々打ち出し盛況

2017年3月27日 月曜日

夜を徹した除雪で、大雪による運休から運行再開を果たした若桜鉄道の列車。隣は山田和昭社長=2月14日、鳥取県若桜町の若桜駅

国鉄が分割・民営化し、JR7社が発足して4月1日で30年となる。各社は多くの事故や災害を経験しながら安全対策を強化する一方、経営多角化やサービス向上による収益改善に取り組んできた。高い技術を背景に海外進出も視野に入れる一方で、地方路線の赤字解消は進まず、利用者が減少する中でどう路線を維持するか厳しい戦いが続いている。

  初の「上下分離方式」 鉄道会社が運行を担い、インフラは自治体が保有する「上下分離方式」が初めて導入された鳥取県の第三セクター若桜鉄道は、度重なる存廃論議を乗り越え、地元の強い願いで存続の道を選んだ。社長公募やイベント開催で注目を集めるが、赤字は解消しない。「対症療法では駄目だ」と、攻めの姿勢で増便を模索し地域再生を目指す。 2月、33年ぶりに鳥取を大雪が襲い、若桜鉄道も11日から運休を余儀なくされた。14日の運行再開まで、若桜(若桜町)-郡家(八頭町)の19.2キロで夜を徹し除雪に当たったのは、山田和昭社長(53)をはじめ同社の18人ら。13日夜に再開のめどが立ち「ああこれで帰れる、とホッとしました」。公募で2014年に就任した山田社長の声には実感がこもる。 IT企業や秋田県の由利高原鉄道での経験を生かし「SL走行社会実験」「お買い物列車」など、次々打ち出した企画は盛況。しかし沿線人口は減り続け、苦しい台所事情は変わっていない。

中学校の統廃合で通学はスクールバスに転換、運賃収入の落ち込みにつながった。小中学校では鉄道定期代への国や県の公的助成はないが、スクールバスを運行する自治体には交付税が出るのが一因となった。

交通ジャーナリストの鈴木文彦さん(60)は他県でも似た例を見てきた。「県立の高校や病院が移転し、県が出資する鉄道の利用者を減らす。ちょっと割り切れない。存続には、行政と住民が本気で取り組む姿勢は最低条件だ」と指摘する。 山田社長は「地域衰退のストッパーにならなければ」と意気込むが、実情は厳しい。仕事には車で向かうのが主流の鳥取県では、通勤客の増加は難しい。運行10往復のうち7往復がJR鳥取駅に乗り入れているが、間隔が3時間あくこともあるダイヤでは「ちょっと買い物に行こうと思っても、使うに使えない」。 現状の人員で対応可能な5往復増便に加え、並行するバスとの時間調整、定期券の共通化も模索。「10往復のままでは何も起きない。輸送機関として残すなら、必要な投資もして使い物になるレベルにもっていく」と活路を探る。 スズキの大型バイクと同名の隼駅。住民らが毎年夏に開く祭りには全国からライダーが集まることで知られる存在だ。駅を守る会の西村昭二会長(72)は「せっかくある鉄道を利用して、沿線が自立できるようになれば」と希望を込めた。 国鉄の分割民営化に際し、政府はJRの負担を軽減するため、全国83線(計約3000キロ)の赤字ローカル線の廃止を決めた。路線を引き継いだ第三セクター鉄道など26社が現在も運行を続けているが、沿線人口の減少やマイカー普及の影響で利用者は先細りとなっており、鉄道会社の経営努力だけでは維持が困難な状況だ。

黒字三セクは3社

廃止対象路線の多くはバスに転換される一方、1990年までに自治体が出資する第三セクターや私鉄計33社に38線が引き継がれた。だが、大半の路線は経営が厳しく、2008年の三木鉄道(兵庫県)と高千穂鉄道(宮崎県)など7社の7線は既に廃止されている。 全国の三セク鉄道が加盟する「第三セクター鉄道等協議会」が毎年公表している各社の経営状況によると、旧国鉄路線を継承する26社のうち15年度に黒字だったのは、愛知環状鉄道(愛知県)、信楽高原鉄道(滋賀県)、平成筑豊鉄道(福岡県)の3社にとどまった。 協議会の吉田捷治事務局長は「沿線人口の減少が大きなダメージとなり、どの会社も人件費を限界まで切り詰めるなど、苦しい状況に置かれている」と指摘する。 政府は経営の厳しい地方の鉄道会社を支援しようと、07年に地域公共交通活性化再生法を施行。自治体が鉄道施設を保有し、民間に運行を委ねる「上下分離方式」を導入するケースなどで財政支援を強化した。 旧国鉄若桜線を引き継ぎ開業した若桜鉄道(鳥取県)は09年、同法に基づき初めて上下分離方式を導入。地元の若桜、八頭両町が施設を保有し維持管理費も負担することで、経営は持ち直した。

フジサンケイビジネスアイ

就職コンサルナビ

イノベーションズアイ