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send 誤算続きの英投資ファンドがわずか2週間で白旗 東芝買収、国・銀行拒絶で頓挫

2021年4月23日 金曜日

CVCが東芝に買収検討の中断を通知した文書。わずか2枚だった

英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズの東芝への買収提案には東芝社内に加え、資金繰りを支える取引銀行や外資規制の権限を持つ国がそろって拒否反応を示し、経営上の主要な「プレーヤー」から総スカンを食らって、わずか2週間で頓挫した。車谷暢昭前社長(63)の急転直下の辞任劇など一連の動きは、日本企業の統治の在り方にも一石を投じた。

  資金調達算段に狂い

「取締役会の同意なしに株式公開買い付け(TOB)を始めるつもりはない」。CVCが買収検討の中断を東芝に通知した書面は、わずか2枚。「(株式上場を取りやめる)非公開化を引き続き強く支持する」とも記したが、東芝の取締役会メンバーの多くはCVCが掲げた「白旗」と受け止めた。

通知を受けて19、20日に連日開かれた取締役会では「誠意を欠く」「上場維持の方針を強く打ちだすべきだ」との声が噴出。提案の全否定と受け止められるのを避けるため、東芝が20日に公表した声明文は「上場会社としてのメリットを生かすことが企業価値の向上につながる」と訴えるにとどめた。しかし「たたき台には当初、CVCを非難する言葉が並んでいた」(幹部)という。

大株主の「物言う株主」との対立に頭を抱えていた車谷氏にとって「助け舟」になるはずだった買収提案は、表面化した直後から誤算が続いた。CVCは買収資金のうち1兆円程度を大手銀行から調達する算段だったが、東芝は取引銀行に、株式非公開化への反対と上場維持の方針を早々に伝達。銀行幹部は「東芝が同意しないと資金を貸すのは難しい」と腰が引けた。

共同買収への参加を見込んだ官民ファンドの産業革新投資機構と、政府系の日本政策投資銀行も提案には冷ややか。関係者は「そもそも買収の大義がない」と切って捨てた。

原発や防衛関連など「国策事業」を手掛ける東芝の買収では、国による外為法の審査が難関とみられていたが、「それ以前に東芝のお家騒動で終わってしまった」(所管官庁幹部)。一連の動きに表向き平静を装った国だが、経済安全保障が国際関係の重要テーマに浮上する中で事態を注視。ある政府関係者は「革新機構や政投銀など『オールジャパン』で対抗する展開もあり得る」と、CVCの思惑とは正反対の構想を漏らしていた。

  「企業統治働いた」

古巣でもあるCVCの提案が自らの保身と受け取られ、辞任に追い込まれた車谷氏だが、人員削減などのリストラで目先の利益確保を優先する経営手法に、提案以前から既に社内の支持を失っていた。「辞任は東芝の企業統治が働いた結果」(メガバンク首脳)との声もある。

CVCの撤退を受け、「東芝の買収がどれだけ難しいか、もう十分に分かっただろう」とある幹部は語った。だが、手ごわい物言う株主らに対して、騒動後の新たな成長戦略を示す責任は、東芝自身に投げ返された形だ。

フジサンケイビジネスアイ

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