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send 自国企業逃げ出す? 中国事業岐路、退避か推進か… 伊藤忠は投資回収に自信

2015年2月4日 水曜日

mcb1502040500027-p1 香港にある長江センタービル。長江実業は拠点をケイマン諸島に移す(ブルームバーグ)   mcb1502040500027-p2 CITICに巨額出資した伊藤忠の本社=東京都港区(ブルームバーグ)   mcb1502040500027-p3 広州市にあるCITICが本拠を構える超高層ビル(ブルームバーグ)     成長鈍化が明確な中国経済とどう向き合っていくべきか、アジアを代表する企業の間に悲観論と楽観論が交錯している。悲観論の代表格は、タックスヘイブン(租税回避地)の英領ケイマン諸島に香港から拠点を移す長江実業グループだ。アジアきっての富豪で華僑社会のトップ経済人の李嘉誠氏(86)が率いている。一方、楽観論の代表格は巨大国有企業の中国中信集団(CITIC)に総額1兆2000億円の資本参加を決めた伊藤忠商事とタイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループだ。20年以上続いた高度成長の終焉(しゅうえん)を迎えた中国経済に対する認識の差はどこにあるのか。   無視できぬ政治の力 市場に衝撃が走ったのは1月9日。長江実業が傘下のハチソン・ワンポア(和記黄埔)を合併した上で、不動産とそれ以外の事業の新会社2社に改組、同時に事業統括の拠点となる新会社をケイマン諸島に登記すると発表したからだ。香港の上場は維持する。   長江実業などのグループは、習近平指導部が発足してから2年あまりの間に、中国本土で不動産の資産売却や投資先の整理を徐々に進める一方で、英国の通信会社への出資など欧米での投資を拡大する動きを強めていた。市場は、中国経済や習指導部の方向性に対する李氏のリスク感覚が働いたと受け止めている。   李氏にとって、最重要指標は不動産市況の動向だ。都市部の不動産価格が下降に転じた一昨年以来、中国本土への依存度を引き下げる決断を行ったもようだ。中国の政治的な影響力が一段と増す香港からも、じりじり退く動きまで見せ始めた。   他方で、長江実業の発表から11日後、伊藤忠とCPが行った発表に今度は逆の意味で市場は驚かされた。CITIC関連の株式の約20%を両社で取得するというのだ。その半分の約6000億円を出資する伊藤忠は、最終利益で年700億円程度を見込むという。   伊藤忠の岡藤正広社長は会見で、「(CITICの)企業価値はもっと上がる。5年で売っても十分に回収できる」と巨額投資の効果に自信を示した。   ただCITICに対する国際社会の評判はあまりよくない。1979年に本格稼働した中国の改革開放路線で、当時、最高実力者だったトウ小平氏が深刻な外貨不足に対処するために認めた国有企業。初代理事長で、後に国家副主席まで上り詰めた栄毅仁氏とその一族が君臨した。コーポレートガバナンス(企業統治)や経営の透明性などの面からみて、CITICがどこまで国際標準を満たしているかは疑わしい。   金融や不動産、資源開発など幅広い事業を手掛ける“赤い財閥”と、伊藤忠は2011年に包括提携し、傘下の金融会社に出資している。今回は香港市場に上場する持ち株会社に資本参画。切っても切れない関係となり、命運を共にする賭けに踏みこむことになる。   伊藤忠は、共産党の既得権益層と深く結びつく本丸のCITICの懐にCPとともに食い込むことで、中国の市場を内部からこじ開ける“見えざる鍵”を得られると判断したのだろう。   CPが得意とする食糧関連のビジネスもなお市場性は大きそうだ。CITICがもつ投資機能を磨き上げることで、中国以外の第三国投資で伊藤忠の出番もある。伊藤忠は1972年の日中国交正常化以前から、当時社長だった越後正一氏(01~91年)の強い意志で、ダミー会社を使わずに対中ビジネスに直接取り組んできた数少ない商社。日本企業として常に、中国市場を先駆けて開拓してきたとの自負と自信が読み取れる。   共産党が牛耳る独占的な「国家経済」に食らいついて、中国市場の成長性を自社の成長にどう取り込むのか。あるいはCITICを手始めとした国有企業改革に、伊藤忠とCPが新たな血を注ぎ込むことで中国の経済構造そのものを将来的に大きく変革させることも夢ではない。   変化の中に商機 いわば悲観論の李氏と長江実業など香港財閥にせよ、越後氏らの意志を引き継ぐ楽観論の伊藤忠にせよ、十分に認識しているであろうことは、巨大な市場を抱える中国経済の行方はゼロサムではないということだ。成長が減速しても、不動産市況が悪化しても、その半面で経済構造改革が進むにしても、変化の中にこそビジネスチャンスがあると考えているに違いない。   李氏の中国離れの動きには対中依存度を引き下げ、リスク分散を図る狙いが透けてみえる。中国市場からの撤退を意味するものではないと考えるべきだ。伊藤忠にしても、CPを巻き込むことで保険を十分にかけている。   そこには悲観も楽観もないはずだ。冷徹なる経営者の智力と胆力、参謀を務める業務部スタッフの情報収集と分析力、そして中国の現場で戦う社員の忍耐と行動力が試されている。(上海 河崎真澄)

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