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send 自動運転、日米欧で主導権争い火花 結束か競争か…国際ルールの整備難航

2016年10月28日 金曜日

  bsa1610280500002-p1   世界の自動車メーカーなどが開発にしのぎを削る車の自動運転技術をめぐり、各国の主導権争いが水面下で火花を散らしている。9月に長野県軽井沢町で開かれた先進7カ国(G7)交通相会合では「相互に協力し、リーダーシップを発揮する」とする共同宣言を採択し、早期実用化に向けて国際的な協調態勢を演出したが、宣言をつぶさにみると足並みの乱れも浮き彫りとなっており、自動運転をめぐる今後の激しいつばぜり合いを予感させる。   国際ルール未整備 G7会合のうち、本会合が開かれた9月24日。各閣僚は午前中のセッション終了後、日本メーカーの自動運転車などに乗って、昼食会場に移動した。トヨタ自動車「レクサス」の助手席には、報道陣に笑顔を見せる米国のフォックス運輸長官。国土交通省の担当者は「直前までどうなるかと思ったが、無事に乗ってくれ何より」と胸をなで下ろした。国交省の担当者が気をもんだのは、最近の自動運転技術をめぐる“不穏”な情勢があるためだ。   メーカーを中心に開発が進められていた従来の自動車と違い、自動運転車は人工知能(AI)やビッグデータとの通信連携などが実用化の鍵を握り、米グーグルなどIT企業による開発も進む。IT企業が目指すのは、全てをAIで制御する完全自動運転化で、アクセルやハンドル、ブレーキなど複数の操作を段階的に自動化しようとしている日欧メーカーの開発方針とは一線を画する。  

こうした背景から、自動運転の実用化には研究開発を加速させ、コストを減らす国際ルールの共通化が不可欠にもかかわらず、日欧が国連の専門家会議で進める車両規格の標準化議論に米国は不参加。ドイツで開かれた昨年の国交相会合も、「米国の徹底抗戦で協調が見送られた」(外交筋)経緯がある。

 加えて米運輸省が会合直前の9月19日、自動運転の開発指針を発表したことも、日本にとっては「寝耳に水」(国交省)。日欧に対抗しての動きではないかと疑心暗鬼を生んだ。 それだけに、国交省は閣僚全員が日本の自動運転車などに乗り、共同宣言に「協力」の一言を盛り込めた成果に満足げ。同行した幹部は「日本の自動運転技術について、担当者は質問攻めにあったようだ」と胸を張った。   議論評価に温度差   ただ、採択された共同宣言をみると、今会合で国際協調への道筋が固まったとはいえない。   宣言では自動運転技術について、交通事故の削減や交通渋滞の減少、交通アクセス改善などに寄与する可能性に期待した上で、各国政府が産学官とも連携し、自動運転技術の研究・開発において協力するとの方向性で一致した。議長として参加した石井啓一国土交通相は「各国が課題意識を共有できた」と自賛する。  

一方、懸案だった国際ルールの標準化をめぐる項目では、本当に協調で合意なのか、首をかしげる表現も散見される。

  声明では、日欧が主導する国連での議論については「進捗(しんちょく)を確認」とした。一見して普通の表現のようだが、G7全体で設置したワーキンググループの議論については「進捗を歓迎」となっており、明らかに評価に差がついている。国際ルールの方向性も「イノベーションを促進するものでなければならない」とし、国内の認証制度に合わせて段階的に自動運転技術のルール作りを目指す日欧にクギを刺した格好だ。   「今回は大局的な議論だった」。政府関係者も個別課題については、設置が決まった作業部会での議論次第との見方を示す。   「道のりまだ遠い」   作業部会での議論は曲折が予想されるが、日進月歩の自動運転技術に関する国際ルールの策定は待ったなしだ。日米欧のメーカー各社などはアクセル、ブレーキ、ハンドルの複数の操作を自動化する技術を開発している。日産自動車が開発したミニバンは単一車線での自動運転を盛り込む。国際協調が遅れれば、自動運転技術の普及に水を差す可能性がある。  

議論進展の鍵となりそうなのは「米国の国内情勢」(政府関係者)だ。米国では5月に自動運転機能を有するテスラ・モーターズの車で死亡事故が起きてから、安全性に対する信頼が揺らいでいる。G7会合直前に出された指針も、米政府が企業の規制に乗り出したサインともとれ、日本政府は「米政府は規制を嫌う企業側と、安全性の担保を求める国民との板挟みになっている」とみる。

  一方で、日本政府は「米国は最終的に自国企業の意向を無視できないだろう」(同行筋)との警戒感を崩さない。G7会合で開かれた民間企業や有識者などの意見をヒアリングする官民セッションでは、「米国側のヒアリング参加者が直前まで固まらなかった」(業界関係者)経緯もあり、米政府の調整力を疑問視する意見も根強い。   日本にとっても自動車産業は出荷額で主要な国内製造業の約2割を占めるだけに、競争環境に影響を与える国際ルール作りの主導権争いで後れをとることは許されない。   会合後、国交省幹部から「まだ道のりは遠い」との声が漏れた。結束か競争か。近未来の技術をめぐる議論の行方は見通せない。(佐久間修志)

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