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send 自動運転、商用車で覇権争い 新技術と物流サービス一体の提案鍵

2018年6月18日 月曜日

 

路線バスが自動運転で停留所に寄せるデモ=5月、東京都羽村市の日野自動車羽村工場

商用車で自動運転技術をめぐる開発競争が熱を帯びてきた。日野自動車が2025年以降にエリア限定で全ての操作を自動化する商用車を実用化する方針を表明。スウェーデンの商用車大手ボルボ傘下のUDトラックスは30年までに完全自動運転車を量産する計画だ。物流業界では運転手の人材と高齢化が深刻な局面を迎えており、新技術を物流の効率化につなげるサービス面の競争も激化しそうだ。

「交通事故死傷者ゼロを目指し、完全自動運転に向けた技術開発を段階的に進めたい」   25年に無人隊列走行 日野は、5月に東京都羽村市の羽村工場で開いた自動運転技術に関する説明会で、遠藤真副社長が力強くこう宣言。技術開発ロードマップも打ち出した。 それによると、22年をめどに一定の条件下で自動走行し緊急時に運転手が操作する「レベル3」の自動運転技術を搭載した商用車を開発。25年以降には、エリア限定で全ての操作が自動化される「レベル4」以上の車両を実用化する。 複数のトラックが加速・減速を自動制御して隊列走行する技術の開発も急ぐ。23年をめどに、有人の前走車を有人の後続車が自動追従する高度な「有人隊列走行」を実用化。25年以降には、有人の前走車を無人の後続車が自動追従する「無人隊列走行」を実現する。 説明会では、先頭のトラックを後続車が自動追従する隊列走行のデモンストレーションを披露。後続車はGPS(衛星利用測位システム)で自動運転の車両を誘導する技術で、テストコース内の本線に合流。車載カメラなどで白線や前走車を認識し、追従走行に入った。

後続車は車間距離を安定的に保ちながら走り、前走車が車線を移動する場面でも隊列は乱れない。報道陣が乗車した並走する大型観光バスの車内モニターには、ハンドルやペダルを操作しないで前走車を追従する様子が映し出された。

路線バスが路面の誘導線を走り、自動運転で減速し停留所に寄せるデモも実施。自動運転の基礎技術分野で連携するいすゞ自動車との共同開発の成果を生かした。日野は車椅子の人が乗り降りしやすいようバスの中扉と停留所の隙間を45ミリとする目標を設定。隙間の誤差をプラスマイナス15ミリ以内にとどめた。   AIでトヨタと連携も 乗用車に比べて全長や車幅などが大きい商用車は検知しなければならない範囲が広いため、多くのセンサーやカメラが必要となる。商用車特有の課題をクリアするため、日野はトヨタ自動車グループの一員としての強みも発揮。自動運転や事故回避の精度を引き上げる取り組みで鍵を握る人工知能(AI)の研究開発で、トヨタとの連携を強める可能性もありそうだ。 こうした中、日野と独フォルクスワーゲン(VW)の商用車部門は4月、提携交渉に入ると発表した。自動運転のほか、電動化や物流など幅広い分野で協業することを視野に入れる。 日野が乗用車でトヨタ最大のライバルであるVWと組む背景には、新技術への対応で出遅れると物流業界に提案するサービスで競合他社の後塵(こうじん)を拝してしまうという危機感がある。 自動運転を導入する効果は、運転手の負担を減らすだけではない。日野の北沢啓一常務役員は「商用車は乗用車と違い、顧客企業の事業性も一緒に考えないといけない」と指摘。こうした狙いで日野は今月1日、効率的な物流システムを開発する新会社を全額出資で設立した。

ただ、トヨタなどの経営コンサルティングを受け持つドリームインキュベータ(東京都千代田区)の竹内孝明執行役員は「技術だけでは勝ち残れない。サービスまで含めると日本勢は周回遅れだ」と厳しく評価。運輸事業者が保有する車両の運行管理や故障予知などを支援し稼働率向上につなげる力量が各社に試されると指摘する。

  先行は欧州勢 新技術を生かしたサービスで先行するのが欧州勢だ。大型商用車の世界市場でトップシェアを握る独ダイムラーは、車載センサーから得た大量の走行データを顧客への運転指導や燃費改善などに反映することにとどまらない。現在、20年末に「レベル3」相当の自動運転トラックの市販化に向けて実証実験を進めているほか、物流の入り口から出口まで一貫して自動化することももくろむ。 一方、30年を見据えた自動運転技術などのロードマップを表明したUDトラックスもサービスを重視。同社のヨアキム・ローゼンバーグ会長は「技術を活用し顧客の要望に応える『輸送ソリューション』のリーダーを目指す」と意気込む。 自動運転分野に投資した多額の開発費を回収するためにも、顧客との接点を強めて継続的に利益を生むサービスが重要だ。竹内氏は「商用車メーカー同士で組むだけでなく、物流事業者や商社などの異業種とも協力し新サービスを開発する必要がある」との課題も投げかける。 電気自動車(EV)メーカーのテスラやグーグル系企業などの米国勢が自動運転トラックの走行実験などを加速。中国勢も巻き込み次世代市場の覇権争いが過熱する中、自動運転技術で稼げるサービスを提案する力が勝負の分かれ目となる。(臼井慎太郎)

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