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send 羽田「ドル箱路線」実現の内幕 潮目変えた航空トップ交渉

2016年3月14日 月曜日

  bsd1603140500003-p1   日米両国間で“喉に刺さる骨”となっていた羽田空港の昼間発着枠の割り当てをめぐり、航空当局の交渉が先月、妥結にこぎつけた。羽田から深夜早朝以外にも米国路線が就航できるようになり、ドル箱路線であるニューヨークなど東海岸への直行便が10月下旬にも実現する見込みとなった。交渉は成田を拠点とする米デルタ航空の横やりもあって長引いていたが、昨年11月の米国のフォックス運輸長官の来日を機に流れが変わった。   デルタの強い抵抗   羽田の昼時間帯(午前6時台~午後10時台)の発着枠は2014年春に1日40枠追加され、うち31枠が欧州やアジア方面へ配分された。その後、日米の交渉で足踏みが続いた背景には、米政界へのロビー活動に熱心なデルタ航空の強い抵抗があった。   デルタにとって、成田はアジア地域の拠点。米国から乗せた客が成田でアジア各国への便に乗り継げるネットワークを有しており、海外航空会社として唯一、成田に格納庫から機内食部門までそろえている。東京都心に近く利便性の高い羽田から米東海岸への便が飛べば、拠点の成田から客が流れてしまう。   「成田の地盤沈下につながる日米交渉は妥結しない方がいい」(航空業界関係者)というのがデルタの本音だった。「成田路線がある米国主要都市の政界関係者やメディアに、このままでは成田便が廃止を迫られかねないと訴え、世論形成してきた」(同)という。  

一方、アメリカン航空は日本航空と、ユナイテッド航空は全日本空輸と同じ航空連合(ワンワールド、スターアライアンス)に加盟しているため、互いにコードシェア(共同運航)や乗り継ぎの便を図りやすい。

  それだけに、デルタの横やりが日米協議を長引かせていることに関して、各社の間には「羽田の貴重な発着枠が無駄になっている」と不満が渦巻いていた。   「潮目が変わったのは、昨年11月」だと国土交通省幹部は打ち明ける。フォックス運輸長官が来日した際、「羽田から東海岸便が飛んでいないのはどう考えてもおかしい。日米関係の重要性と利用者の便に鑑み、ぜひ解決したい」との認識で石井啓一国交相と一致したという。   これを受けて12月に米国で行った航空交渉は一旦、物別れに終わり、年が明けて2月16日に再開した協議も、「米政府内の調整」を理由に、当初の予定から1週間延期された。さらに協議日程も1日延長。熾烈(しれつ)な議論の末、合意に至ったという形を取ることで米政府がデルタへの配慮を示したもようだ。  

同18日の日米合意後、アメリカンは「日米の航空関係を強化する重要な一歩だ」との声明を出し、ユナイテッドも「東京都心への日中の発着便就航で、新たなビジネスや観光の旅行機会が生まれる」と評価した。

  これに対しデルタは、成田を拠点とするアジア戦略を「できるだけ維持する」としつつも、羽田路線との競争が激化することで「商業的に切迫した影響を受ける」といらだちを示した。   対立より補完関係に   今回の合意に伴い、羽田と米国の間には昼10便(1便=1往復)、深夜早朝2便の発着枠が設けられ、日米で均等に配分される。これまでハワイや西海岸への路線しかなかったのは、羽田を深夜に離陸する場合、米東海岸への到着も深夜となり不便なためだ。その障害が取り除かれたことで、各社は今年の冬ダイヤから羽田-東海岸便を就航させる構えだ。  

日米両国のユーザーにとって利便性が高まるのは間違いないが、一方で、成田の地盤沈下が進む恐れは残る。羽田が10年の再国際化から利用者数を伸ばし続けているのに対し、成田は頭打ちの状態だ。

  成田国際空港会社の夏目誠社長は同日の記者会見で、「(羽田と)重複する北米路線の運休や減便など一時的な影響を受ける」と懸念を述べた。14年に羽田の国際線が増枠された際に週63便減り、国際線利用者も71万人減少したことを念頭に置いた発言だ。   とはいえ、国際線の乗り継ぎに関しては、多くの便が発着する成田の方が圧倒的に利便性が高い。国内線に乗り継ぎやすい羽田にしても、1つしかない国際線ターミナルの混雑慢性化が重い課題となっている。   国交省幹部は「『成田VS羽田』の勝負ではない。両者の強みを生かし、成長著しいアジア市場の乗り継ぎ客を日本へと取り込むことが重要」と指摘する。  

アジア各国へと目を移せば、韓国の仁川空港や中国の北京空港は、敷地の広大さを生かして滑走路を着々と増やしている。香港空港やシンガポールのチャンギ空港の国際線利用者数は、羽田と成田の合計を軽く上回る。国際的な拠点空港を目指す争いは激しさを増す一方だ。

  国交省は、20年東京五輪・パラリンピックまでに成田、羽田の発着枠をそれぞれ1日50便余り増やす計画で地元自治体などへの説明を進めている。成田と羽田が首都圏の玄関口としてうまく補完し合い、アジア諸国との航空競争に勝ち抜けるかどうかが肝心だ。(山沢義徳)

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