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send 統合型リゾート、日本の賭け シンガポール・カジノに見る将来像

2014年3月31日 月曜日

bsd1403302247003-p1    カジノやホテル、ビジネスイベント(MICE)など、統合型リゾート(IR)を日本にも誘致しようとの機運が官民で高まっている。その成功例とされるのが、日本からも多くの視察団が訪れているシンガポールの「マリーナ・ベイサンズ」だ。安倍晋三政権の成長戦略の目玉「国家戦略特区」が動き出し、誘致の期待が高まるが、果たして日本でも根付くのか。その将来像を現地で追った。    3月中旬の平日の午後10時過ぎ、マリーナ・ベイサンズのカジノは大勢の観光客で賑わっていた。施設の一画にある4階建て構造で1~2階が一般客向け。広大なフロアはアジア系の観光客で占められ、ディーラーを相手に、バカラやブラックジャックなどの勝負に挑む。雰囲気は明るく、ゲームセンターとも共通している。1人で楽しめるスロットマシンや電子ゲーム機の一画もある。来場者は外国人ばかりではなく、地元シンガポールの住民も相当数を占めるという。3階は得意客向け、4階はVIPフロアとなっており一般客は立ち入り禁止だ。  

収益の中核担う

 マリーナ・ベイサンズは、米カジノリゾート運営大手ラスベガス・サンズ(ネバダ州)が2010年に開業した。約5000億円を投じた施設は、地上57階建てのビル3棟の上に大型の船が乗る構造で、延べ床面積15.5ヘクタール。    高級ブランド店が並ぶ大型ショッピングモールと国際会議場施設、約2600室のホテルを併設する。カジノはこの複合施設の一画を占めているに過ぎないが、収益の中核を担っている。    マリーナ・ベイサンズのジョージ・タナシェビッチ社長は「週末に観光客、平日にMICEの参加者が訪れることで集客のバランスを取っている。日本でも通じるビジネスモデルだと思う」と強調する。    親会社ラスベガス・サンズのシェルドン・アデルソン会長は「日本は1億2000万人もの人口があり、政府がIRの誘致と外国人観光客の集客に熱心であることなど、実現の可能性が高い。候補地は何といっても交通の便がいい東京で、1兆円を投資する用意がある。20年の東京五輪までに計画を急ぎたい」と日本進出に強い意欲を見せる。    シンガポールを訪問した外国人客数は昨年、約1550万人と前年比で6.9%増えた。00年代初頭は700万~800万人前後で足踏みしていた。    しかし、マリーナ・ベイサンズ、そしてファミリー向けとして、テーマパークのユニバーサル・スタジオを誘致したリゾート・ワールド・セントーサ(セントーサ島)がそれぞれ開業した10年以降に大きな伸びを見せ始めた。日本人客数も右肩上がりで増加している。    観光客増加の転機となったのは、05年4月に政府が正式決定したIR開発だった。背景には近隣のアジア新興国が経済成長を続ける中、旅行者数の市場シェアが減少することへの強い危機感があった。    リー・シェンロン首相は当時「観光業界は多数のシンガポール人が働く重要な国内産業で、他国との競争に敗北するわけにはいかない。航空ハブ(拠点)としての地位を失うことも許されない。IR開発は不可欠」と話している。    2つの新たなリゾート施設は子供から大人まで、国内外の幅広い層を集客。いまや「マーライオンに代わるシンガポールのシンボル」ともいわれている。  

MICEとセットで

 日本でもカジノを併設したIRは成り立つのか。カジノに詳しい大阪商業大学の美原融教授は「日本人は中間所得層が多く、カジノは新しいレジャーとして親しまれるはず。    ただギャンブル依存症を防ぐ抑止力とバランスを取る政策も必要になる。MICEとセットなら外国人観光客誘致の効果は大きく、ひいては日本経済の活性化に貢献できる」と話す。    ただ外国企業がアジアで拠点を設ける「アジアヘッドクオーター構想」で日本は、シンガポールや香港などに圧倒的な後れを取っている。    その日本で国際会議を開くメリットをどう見いだしてもらうのか。またカジノは「和」の魅力を生かすなど、先行するラスベガスやシンガポールなどと差別化しなければ、外国人の集客はおぼつかない。    政府は29日、国家戦略特区に6地域を指定した。うち「東京圏」は20年の東京五輪も視野に入れた「国際ビジネス圏」がコンセプトで、東京はIRの最有力候補地とされる。すでに大手不動産や建設、観光など関連業界は実現に向け、強い意欲を示している。  だが、まずは世界から人・モノ・金の集まるよう、日本での事業環境を改善することが先決だ。そのためには法人税の実効税率引き下げや規制緩和などを急ぐ必要がある。(藤沢志穂子)   【用語解説】統合型リゾート(IR=Integrated Resort)  カジノだけでなく、ホテルやビジネス施設、カジノ以外の娯楽施設、ショッピングモールなどを併設する複合的なリゾート開発形態。このうちビジネス向けは会議(Meeting)、奨励ツアー(Incentive Tour)コンベンション(Convention)、展示会(Exhibition)の頭文字を取って「MICE」と呼ばれる。こうした大規模な施設建設には巨額の資金が必要となるため、海外では大企業や市中銀行などによる投融資の仕組みが確立している。日本では現在、超党派の議員で構成する「国際観光産業振興議員連盟」がIRの実現に向けた法整備を急いでいる。

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