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send 経済対話、楽観日本に冷水 TPP11への余波警戒 通商戦略正念場

2017年10月18日 水曜日

日米経済対話で発言する麻生財務相=16日、ワシントン(代表撮影・共同)  

日米両政府は米ワシントンで16日(日本時間17日)、経済対話の第2回会合を開き、米側が2国間の自由貿易協定(FTA)に強い関心を示し、交渉入りを事実上要求した。今回は要求をかわせると楽観した日本側は冷や水を浴びせられた形。FTA交渉を始めれば米国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に復帰する芽を潰しかねず、日本は慎重な構えだ。11月5日から来日するトランプ大統領が安倍晋三首相との首脳会談で再びFTAを持ち出す恐れがあり、日本の通商戦略は正念場を迎える。(ワシントン 西村利也、田辺裕晶)

  対日赤字懸念相次ぐ 会合には麻生太郎副総理兼財務相とペンス米副大統領が出席。麻生氏は会合後、「有意義な議論を行い、両国間の進展と成果を確認できた」とした上で、「アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中、日米経済関係をさらに深化させるため、今後も建設的な議論を進めたい」と述べ、今後の対話継続と北朝鮮問題における連携強化などの成果を強調。日米間の友好ムードを演出した。 だが、会合でペンス氏は「FTAへの強い関心」(日本政府筋)を伝え、米側出席者からは対日貿易赤字への懸念表明が相次いだようだ。 今回、日米両政府は日本側の輸入車認証の手続き合理化や、インフラ整備、米国産天然ガスの輸出に向けて協力することで合意した。 米国が問題視する自動車の非関税障壁では、日本は台数が少ない型式の輸入車について、騒音や排ガス試験で50台ごとに1台を抜き出し検査する現在の認証手続きを緩和することで米側に配慮。また、検疫の問題から輸出できなかった米アイダホ産ジャガイモと日本産の柿について互いに輸入制限を解除することでも合意した。

牛肉制限折り合わず

しかし、日本が8月に発動した牛肉の緊急輸入制限(セーフガード)については、協議されたが制度見直しで折り合わず、合意文書への記載は見送り。貿易分野については、麻生氏が改めて米国が離脱したTPPの重要性を説いたもようだが、米側が貿易赤字に対する懸念を示し、FTA交渉にも言及したことで、日米間の溝も浮き彫りとなった。 トランプ氏が11月の訪日時にどんな発言をするか予測するのは難しいが、日本側は、経済官庁幹部が「少なくとも今、FTA交渉を始める考えはない」と警戒する。懸念するのは、11月10日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて大筋合意を目指すTPP交渉への影響だ。 参加11カ国は離脱した米国の復帰につなげるため、高水準の貿易自由化を維持する方向で協議している。ただ、経済規模が大きい日米が別途FTA交渉を進めれば米国が戻ってくる期待は急速にしぼむ。11カ国の協議は前提が崩れ、妥結が難しくなる可能性がある。 日本政府内では、これまで米国は「日本とのFTAを進める余裕がない」(通商筋)とみる声が強かった。最大の貿易赤字国である中国との交渉に加え、北米自由貿易協定(NAFTA)や米韓FTAの再交渉に注力しているためだ。 来年11月の中間選挙に向けて結果を出したいトランプ政権にとって、長期間の交渉が必要になる日本とのFTA交渉をゼロから始めるより、既存協定の見直しで得点を稼ぐほうが現実的だとの読みもあった。

仮にFTA交渉が始まれば、日本は農業分野などで米国からTPPを上回る譲歩を迫られる恐れがある。北朝鮮問題の深刻化で安全保障の結びつきが一層強まるなか、日本は米国の要求をむげにできない状況だ。

もっとも、2国間交渉を志向するトランプ政権の姿勢は従前通りで、FTAが合意文書に盛り込まれたわけでもない。 焦点はやはりトランプ氏の出方だ。「経済対話は首脳会談でFTAの話を持ち出させないための仕込み」(政府関係者)との指摘もあり、目前に迫ったトランプ氏の来日に向け日本の交渉力が改めて問われることになる。    

フジサンケイビジネスアイ

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