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send 米株価主導は最大のリスク トランプ経済政策の「目玉」、実現可能性薄く

2017年5月29日 月曜日

拡大会合を終え、記念写真に納まる安倍晋三首相(中列中央)とトランプ米大統領(前列左)=27日、イタリア南部シチリア島タオルミナ(共同)

■インフラ投資など実現可能性薄く影響も

 トランプ米大統領の「米国第一主義」に揺さぶられたイタリア南部シチリア島タオルミナでの先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)。宣言では、「保護貿易主義との闘い」の文言が残り、激論の末にG7は結束を保ったが、今後の世界経済が回復基調を保てるかどうかの鍵を握るのはやはり「トランプ政権」である。 かろうじて建前貫く 「自由貿易主義」という理念は国際政治の建前である。それが現実を動かすためには、各国の指導者が同意し、自国の政策に反映させるしかない。G7サミット宣言がもし、トランプ流の保護主義を容認するようだと、各国は理念に背を向け、戦後営々と築き上げられてきた自由貿易体制崩壊ののろしになりかねない。G7サミット自体の存在意義は消滅し、独善的な共産党指令型市場ルールを他国に押し付ける中国を増長させかねない。 今回のサミットはかろうじて従来の建前を貫き、世界の金融市場関係者は胸をなでおろしたのだが、世界経済リスクは去ったわけではない。朝鮮半島情勢、欧州連合(EU)分裂不安など国際政治情勢はもちろん予断を許さないが、最も威力が大きいのは米国要因である。米景気は力強く回復しているようだが、脆(もろ)さを秘めている。米経済は極端なまでに株価主導型に変じているからだ。 米株式市場は昨秋のトランプ氏の大統領選後、トランプ政策期待で上昇気流に乗ったが、大統領就任後の新政策の不発続きを受けて、市場は次第に政策期待からさめている。今週からはメディアや議会による「ロシア・ゲート」疑惑の追及が本格化しそうだが、それにつれてトランプ経済政策の目玉となる大型減税、インフラ投資などの実現可能性が薄れ、株価に影響する恐れがある。  

GDPと高い関連

 グラフは各年までの10年間を計算単位とする米株価と米実質国内総生産(GDP)指標との相関関係を示す。統計学で言う相関係数は、最大値1(完全相関)に近ければ近いほど、関連度が高い。グラフを見ればGDPと個人消費の相関係数は2008年9月のリーマン・ショック後、ゼロ近く落ち込んだあと、株価(S&P工業平均)の上昇とともに改善し、昨年後半から限りなく1に近くなっている。民間住宅と企業設備投資で構成される総民間投資も個人消費より4、5年遅れて回復し、株価との相関係数は昨年6月に相関度が高いと判定される0.7を突破した。戦後の米経済史上まれに見る株価の経済に対する相関度の高さである。ちなみに、日本の株価と個人消費の相関係数はアベノミクス開始時の12年12月から17年3月までをとると均等0.3にも満たず、相関関係はほぼない。 米経済はとどのつまり、株価次第である。そのことを熟知していた米連邦準備制度理事会(FRB)前議長やスタッフたちはリーマン・ショック後、大規模な量的緩和政策に踏み切り、刷った資金を証券市場に流入させて株価を押し上げ、恐慌を回避し、景気を上向かせた。増発される日銀資金が市中銀行の日銀当座預金に滞留する日銀の異次元緩和政策とは大いに異なる。 気掛かりなのは米株価の今後だ。トランプ政権がロシア・ゲートの黒い暗雲を払拭できるかどうかに加え、あるいは議会の多数を占める共和党がトランプ政策推進で結束するかどうかなどを見極める必要がある。FRBはその点を考慮し、さらなる利上げのタイミングを慎重に見計らっているようだ。

フジサンケイビジネスアイ

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