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send “究極の金融緩和”「ヘリコプターマネー」に危惧 日銀「出口」のハードル高く

2016年6月3日 金曜日

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政府・日銀が共同声明を出した2013年、経団連のイベントに同席した安倍首相と黒田総裁。増税延期で2人の距離は…(ブルームバーグ)
 

【再延期の波紋】

 「事実上のヘリコプター・マネー(ヘリマネ)政策じゃないのか?」。安倍晋三首相が消費税増税の再延期を表明した1日夕、大手証券会社には海外の投資家からこんな問い合わせの電話がかかってきたという。    ヘリマネは、裏付けの資産なしに大量の紙幣を中央銀行が刷って、空からお金をばらまくように国民に直接お金を配る「究極の金融緩和」。経済学者のミルトン・フリードマンが使った言葉だが、近年は米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長が理事時代の講演でデフレ克服策として持ち出し、有名になった。   金利急騰リスク  実際には、政府が償還期限のない永久国債を発行し日銀に直接売る。日銀から調達したお金を減税や公共投資などの財政拡張に充てるという手法だ。政府はお金を返す必要がなくなり、利子も払わなくていい。    ただ、国の借金を日銀が肩代わりする「財政ファイナンス」と見なされ、国債や円の信認が損なわれる危険も大きい。

 日銀の黒田東彦総裁は4月の記者会見で「現行の法制度の下では(国債の直接購入は)できない」と明確に否定したが、日銀は既に大規模金融緩和で大量の国債を買い続けており、市場では「事実上の財政ファイナンス」と不安視する声もある。

   安倍首相は5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、金融政策、財政出動、構造改革の先進7カ国(G7)版「三本の矢」を総動員する構えを見せた。増税の再延期で国の財政健全化が遠のく中、財政出動と日銀の追加緩和が矢継ぎ早に打ち出されれば、財政ファイナンスの色は一段と濃くなる。    「今後の追加緩和がヘリマネと見られないだろうか」。ある日銀幹部はこう危惧する。    現段階では日銀による大量の国債購入とマイナス金利政策で金利は低く抑えられているが、皮肉なのは政府・日銀の目指す「脱デフレ」が近づくにつれ、金利の急騰(国債価格の急落)リスクが意識されてしまうことだ。金融緩和を縮小しようと国債購入を減らすとき、日本の財政が改善していなければ、国債の買い手がつかなくなる。

 日銀は、長期金利が1%上昇すると国債を保有する邦銀全体で7.5兆円の損失が発生すると試算する。これは2014年度の邦銀全体の最終利益(約3.3兆円)の倍を上回る。日銀関係者は「再延期で、大規模緩和の『出口』のハードルがますます高くなった」と懸念する。

  内部結束にも影  日銀は14年10月末に国債購入量を年50兆円から80兆円に増やす追加の金融緩和に踏み切ったが、直後の11月に安倍政権が増税を先送りしたのは“誤算”だった。政府と日銀が13年1月に結んだアコード(共同声明)で、日銀は物価目標の早期達成を、政府は財政健全化の推進をそれぞれ約束したからだ。    今回の延期で2度も財政再建の約束が破られたことになり、政府と日銀の間に“すきま風”が吹く恐れもある。    もっとも、消費税増税をめぐっては日銀内も「一枚岩」ではない。    14年4月に税率が5%から8%に引き上げられた影響は今も家計に重くのしかかる。財布のひもは固く絞められたままで消費回復のめども立たない。

 日銀は2%の物価目標の達成時期を「17年度中」としている。ある幹部は再延期について「駆け込み需要の反動がなくなるのはありがたい。17年度の消費者物価は押し上げられそうだ」と期待感を示した。

   2度目の増税延期は、「日銀内の結束」にも暗い影を落としつつある。黒田総裁の金融政策のかじ取りはさらに厳しさを増している。(藤原章裕)     ■安倍政権の消費税への対応と金融政策の動き (政府)/(日銀) 2012年12月 第2次安倍内閣発足(政府) 13年 1月 2%の物価上昇率目標を明記した共同声明発表(政府・日銀) 3月 黒田総裁就任(日銀) 4月 大規模金融緩和開始(日銀) 14年 4月 税率を8%に引き上げ(政府) 10月 追加緩和(日銀) 11月 税率10%への増税延期決定(政府) 16年 2月 マイナス金利政策開始(日銀) 6月 増税の再延期決定(政府)

フジサンケイビジネスアイ

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