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send 社員の副業、認めて企業成長を 自立心育成に期待

2016年4月4日 月曜日

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ロート製薬は1500人対象新制度

  人材業界に、副業を行っている人を指す「ムーンライター」という言葉がある。本業の終了後、月明かりの下で働く姿をイメージした言葉だが、そこには「会社に内緒でコソコソやる」といった後ろ向きなニュアンスがにじむ。だが最近は、2つの仕事を掛け持ちする「複業」が増えるなど内容が多様化。禁止することが多かった企業側も、優秀な人材の獲得などに役立つとして、積極的に受け入れる方向へかじを切り始めた。   週2日は会社経営   女性向けに転職サービスを提供するベンチャー企業のLiB(リブ、東京都渋谷区)で、サービスの企画やウェブサイトのデザインを担当するチーフデザイナー、井村圭介さん(29)は、週4日しか働いていない。残り3日のうち1日は休みで、2日は別の仕事に充てている。   別の仕事とは会社経営のことだ。井村さんは2014年7月、それまでの仕事で培った技術を生かして、ウェブ制作会社ファンタラクティブ(東京都渋谷区)を立ち上げた。リブに入社したのはその3カ月後だ。   「むしろ会社経営が本業だと思っている」。井村さんはそう公言してはばからない。  

4日しか働かない分、給料は少ないが、2つの仕事を合わせると同世代のサラリーマンを上回る。だが、入社したのは収入のためではないという。

  当時、リブは設立から半年しかたっていないホヤホヤのベンチャーで、優秀な人材を喉から手が出るほど欲していた。井村さんの入社は、フェイスブック上で松本洋介社長から誘われたのがきっかけだった。   井村さんは「会社経営だけでもやっていけたが、実際に社員たちと会い、一緒に働きたいと思った」と振り返る。   リブは、井村さんの入社を機に“複業”制度「メンバーシップオプション」を正式に導入。現在は社員35人のうち、井村さんを含む5人が制度を利用している。同社は「転職サービスを手がける手前、優秀な人材を確保できる例を示そうとしたが、狙い通りの効果が出ている」と喜ぶ。   こうした副業を認める企業は他にも出てきている。   今年2月、ロート製薬が国内で働く勤続3年以上の正社員1500人を対象に、社外で働くことを認める「社外チャレンジワーク制度」の導入を発表した。東証1部の上場企業が副業を大々的に認めるのは珍しく、話題になったのは記憶に新しい。  

新規事業の芽にも

  3月11日に開かれた政府の経済財政諮問会議では、国内総生産(GDP)を600兆円に引き上げ、人手不足の解消に役立つ方策として民間議員から副業や兼業を促すよう提言がなされた。   副業の事情に詳しいリクルートワークス研究所の藤井薫さんは「人材確保以外にも、社員の自立心やリーダーシップを育てられるメリットがある。新規事業の育成にも役立つ」と強調する。   これまで日本企業の多くは、就業規則で実質的に副業や兼業を禁じてきた。そうした規則がなくて副業が可能だということを社員が知らないことが多い。「本業がおろそかになる」「副業で問題を起こすと会社の評判を落としかねない」といった心配が、消極的な姿勢をとらせてきた。   確かに、そういうリスクがないわけではない。  

個人の力取り込み 発想転換必要に

  サイバーエージェントは昨年2月、会社に事前申請すれば副業できることを社員に改めて告知した。しかし、直後に問題が起きた。ある社員が副業で手がけるネットサービスで「炎上」が起こり、ユーザーの怒りの矛先が同社にも向けられたのだ。   それでも同社は副業を禁止しなかった。「会社に迷惑をかけない」という条件こそ設けたが「オフのことは本人の自主性に任せるべきだ」との考えを徹底させる意味で「本業の邪魔をしない」というそれまでの条件を外しかえって自由度を高めた。   リクルートワークス研究所の藤井薫さんによると、副業が認められるようになった背景には個人と企業の力関係の変化があるという。「今や3Dプリンターを使ってモノを作ったりと、ITや人脈を有効活用すれば個人でも大企業並みの働きができる」(藤井さん)からだ。一方で「大量生産・大量販売時代の終わりとともに企業の稼ぐ力が衰え、(副業で得た知識や技術を含めて)個の力を最大限に取り込まないと成長できなくなっている」と指摘する。   そこでは副業の事実を隠すどころか、むしろ公にして、各自の知識や経験を会社全体で共有することが大事だという。経営者は、大胆に発想を転換しなければならない時代に来ているようだ。(井田通人)

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