就活お役立ちビジネスニュース

send 発送電分離、電力改革仕上げ 競争促進で料金引き下げ 欧米では期待外れ

2015年3月4日 水曜日

  mca1503040500012-p1   政府は3日、大手電力会社の送配電部門を切り離す「発送電分離」を2020年4月に実施する電気事業法改正案を閣議決定した。電力は16年4月に小売りを全面自由化することが既に決まっており、今回の改正が電気料金の引き下げやサービスの多様化を後押しする電力システム改革の総仕上げとなる。   発送電分離により、大手電力が事実上独占してきた送配電網を、新規参入企業が大手と公平な条件で利用しやすくする。宮沢洋一経済産業相は3日の閣議後の会見で「エネルギーをどこから買うか消費者が選べる時代になる」と述べた。その上で「安倍政権の成長戦略の柱として、成長をリードするエネルギー産業をつくり上げる改革を進める」と強調した。   欧米では期待外れ 発送電分離は、持ち株会社に発電、小売り、送配電の3社をぶら下げる方式のほか、発電と小売りの一体会社が送配電の子会社を傘下に置く形態も認める。大手電力に対する家庭向け料金の規制は、発送電分離後、競争が十分に進んでいるかを確認した上で撤廃する。 「(電気料金が下がるため)成長戦略の重要な位置付けになる」 1月20日、自民党本部で開かれた電力システム改革をめぐる会合。ある党幹部は電気代の値下げにつながることなどを念頭に、発送電分離に前向きな意見を述べた。   政府は電力改革について、3段階で進めている。第1段階として、全国規模で電力の需給調整を行う「電力広域的運営推進機関(広域機関)」が今年4月に業務を開始。第2段階として、16年4月には家庭向けも含めた小売りが全面自由化される。3日、発送電分離を実施する電気事業法改正案が閣議決定されたことで、電力改革は最終段階に入る。   電力改革の最大の焦点は、大手電力と新規参入企業との競争を促進し、電気料金を引き下げられるかだ。すでに自由化されている工場などの大口では、東京電力が昨年10月、家電量販大手のヤマダ電機やケーズホールディングス(HD)の関西地区の店舗に電力供給を開始するなど地域独占は崩れた。関係者は「契約上の問題」として言葉を濁すが、これまでより数%程度、料金が下がったもようだ。   競争はさらに進むのか。経産省幹部は「発電と送配電部門を別会社化して自由化を促せば、料金が引き下げやすくする」と解説する。   だが、発送電分離や自由化で先行する欧米では、「ただちに電気料金が下がったという傾向は認められない」(電力中央研究所の服部徹上席研究員)という。電力中央研究所によれば、2013年の電気料金(税込み)は、ドイツが自由化前(1998年)と比べて約2倍に上昇。米国も自由化前に比べ44%上昇している。   電気料金が下がらなかったのは、「期待されたような競争が起きなかった」(服部氏)からだ。発送電部門が同一会社であれば、自前の発電所を中心に送電網を整備すればよい。しかし、自由化されて新規発電所が各地に建設されれば、その分、送電網も広げねばならない。多額の設備投資が必要となるため、送電網の整備が不十分となった。供給量が増えても、消費者に十分届かず、結果的に料金引き下げにつながらなかった。   また、再生可能エネルギーを普及するため「固定価格買い取り制度」(FIT)を導入したり、火力発電向け燃料が値上がりしたりしたことも、電気料金の値下げを阻んだ。   「卸電力市場がおかしくなったことも、電気料金が下がらない理由の一つ」。大手電力会社の幹部はこう解説する。   きっかけは2000年のカリフォルニア州の電力危機だ。同州は米国における電力自由化の先進地域だったが、新規参入業者は激しい価格競争を背景に発電設備への投資に及び腰となり、供給不足が表面化。これに乗じて、卸売り電力価格は通常時の10倍以上に跳ね上がった。市場取引で電力を調達していた小売業者が軒並み連鎖倒産に追い込まれ、結果的に自由な競争が阻害された。  

安定供給ありき

電気料金が引き下げられても、安定供給ができなければ本末転倒だ。電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は1月23日の会見で、「発送電分離の前に、安定供給を損なわないルール作りを確認・検証してほしい」と訴えた。電力会社の発電と送配電部門が分けられたとき、電力供給の最終責任をどちらが担うのか。新規事業者の参入で、供給責任が曖昧になりかねない。   こうした懸念に対し、1月20日、自民党本部で開かれた電力システム改革をめぐる会合で、経産省の山際大志郎副大臣は「(発送電分離は)安定供給が前提だ」と強調した。   電力自由化のメリットを損なうことなく、どうしたら電気料金を引き下げ、安定供給につなげることができるのか。最終段階を迎える日本の電力改革を検証する。   ■電力改革のスケジュール 2015年 全国規模で電力の需給調整を行う「電力広域的運営推進機関(広域機関)」が4月に業務開始 16年 家庭向けなどを含む電力小売りの全面自由化 20年 大手電力会社の発電と送配電部門を切り離す「発送電分離」を実施

フジサンケイビジネスアイ

就職コンサルナビ

イノベーションズアイ