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send 町工場「脱下請け化」 下町ボブスレーの経営者ら「エヌバイク」開発

2014年3月26日 水曜日

bsc1403252321005-p1    中小企業の街、東京都大田区の町工場の経営者がスクラムを組んで開発した「下町ボブスレー」。残念ながらソチ五輪での採用には至らなかったが、その中核企業が、新たなプロジェクトに乗り出した。開発するのは自転車とキックスケーターの中間のような新種の乗り物「nbike(エヌバイク)」。インターネットで広く資金を募るクラウドファンディングを活用し、試験走行などを予定する。将来的に市販化し、町工場の“脱下請け化”を目指す。  

未来の乗り物

 プロジェクトの先導役は、自動車などのカスタム部品を手がける「ナイトペイジャー」の横田信一郎社長。羽田空港の近くにある工場団地に本社を構え、下町ボブスレー開発でも重要な役割を果たした。    エヌバイクは、後輪に付いているペダルを交互に踏んで走る乗り物。立ちこぎで、「ママチャリをゆっくりこぐスピード」(横田氏)で走り、折りたたんで持ち運びできる。    歩くには遠い場所に行く短距離移動用だが、自転車のように駐輪場は不要。キックスケーターと異なり前後にブレーキがあって公道を走ることができる。負荷に応じて自動的に変速比が変わる無段階変速を採用するという、まさに新種の乗り物として考案した。    横田社長は父が半世紀前に大田区で創業した京浜精密製作所の2代目だ。半導体製造装置用の部品を生産していた同社は、2008年秋のリーマン・ショック後、それまで月に3000万~4000万円だった売上高が3万円に落ち込み、会社を閉じた。    ただ、同社の一部門だったナイトペイジャーは評価が高く、同ブランド名で再出発した。その際出資したのが精密部品加工「マテリアル」の細貝淳一社長。下町ボブスレープロジェクトのリーダーだ。    大田区の工場は従業員1~9人の工場が全体の約8割を占める。ピークの1983年には工場の数が9000を超えていたが、その後は取引先の大手メーカーの業績悪化に伴い廃業が相次ぎ、現在は3000台に落ち込んだ。苦境の中で100を超える中小企業が参画した下町ボブスレーは、脱下請けに向け勇気を与えた。    細貝氏を支えてきた横田社長も刺激を受け、今回のエヌバイクプロジェクト実施に踏み切った。開発には溶接や表面処理メーカーなど10社がかかわる。  

出資者を募る

 横田社長は、事業化に向けた資金集めの手段としてenmono(エンモノ、東京都渋谷区)が提供するクラウドファンディングサービスを活用した。目標金額は80万円。すでに60万円超集まり、ゴールが見えてきた。出資者には金額に応じてTシャツや試乗会を提供する。    ただ、クラウドファンディングを活用した理由は単なる資金集めだけではない。大手では商品化できなくても「自分のアイデアを具現化したいと切望するエンジニアは多いはず」と横田社長。そうしたエンジニアがアイデアを形にする手段としてクラウドファンディングが広まれば、実際の製作で町工場が受け皿になると期待する。    中小の苦境は大田区だけではない。経済産業省によると従業員規模が4~9人の製造業事業所数は2010年で9万9883。2000年に比べほぼ半減した。だが、なお中小企業が日本経済の大部分を占める構造に変わりない。本格的な景気回復には中小企業の経営体質強化、とりわけ下請け体質からの脱却が鍵を握る。    下町ボブスレーを経て大田区で始まった新プロジェクトはその試金石となる。(伊藤俊祐)  

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