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send 生保銀行窓販に金融庁“介入” 手数料ガラス張り要請に業界困惑

2016年2月22日 月曜日

  bse1602220500001-p1   銀行窓口で販売される保険商品の手数料がガラス張りになるかもしれない。金融庁が生命保険業界に対し、販売が好調な外貨建て保険など貯蓄性の保険商品について、銀行が受け取る高額な手数料の開示を検討するよう求めたからだ。業界は3月中旬頃をめどに方向性を出すよう迫られている。金融庁の狙いは顧客の立場に立った金融商品の販売を徹底させることだが、開示となれば営業戦略の見直しは避けられず、手数料の値下げ競争も誘発しかねない。日銀のマイナス金利政策による運用難に続いて、収益を冷やしそうな季節外れの“北風”に、業界には困惑や先行きへの懸念が広がっている。   「ついに来たか」。その一報を耳にし、生保関係者はこう漏らした。   金融庁が生命保険協会に銀行窓販の手数料開示を検討するよう正式に要請したのは1月下旬。だが、水面下では昨年後半から大手生保側と顔を合わせるたびに“介入”をちらつかせていた。   8~9%の設定も   金融庁が手数料開示の要請に踏み切った背景には、銀行窓口で販売される貯蓄性保険が果たして顧客目線に立っているのか、という問題意識がある。対象となる一時払いの外貨建て保険や変額年金などは「特定保険商品」と呼ばれ、一般的な保障性の保険商品とは異なり、投資信託のような資産運用の投資商品としての色合いが強い。  

保険会社が銀行に販売委託するにあたって、手数料は顧客の支払う保険料に上積みされる。しかし、銀行にいくらの手数料が支払われているか、契約者は知らされていない。貯蓄性商品の中には銀行への手数料が、8~9%の高水準で設定さているものもあるという。

  一方、商品の性格が似ている投信の場合は、販売委託で銀行に支払われる手数料はせいぜい3%程度で、開示もされている。にもかかわらず、投信よりも貯蓄性保険の銀行窓口販売が好調という状況に対しては、顧客のニーズに合った商品ではなく、手数料目当てで商品が勧められているのではないかという懸念が出ていた。
このため金融庁は、投信と同じく、貯蓄性保険についても手数料を開示すれば顧客の商品選びに役立つ上、「高すぎる」(金融庁幹部)手数料の抑制にもつながるとみて、業界に対応を迫ったわけだ。
  これに対し、生保側の表情はさえない。「お客さんのためになることであれば、もちろんやるべきなのですが…」と、手数料開示について、ある大手生保関係者は言葉を濁す。  

貯蓄性保険の手数料が開示されれば、投資判断材料の一つとなるのは必至で、契約獲得のために手数料の値下げ圧力が強まる見込み。そうなれば銀行側では貯蓄性保険の売り込み意欲が低下する恐れがあり、販売額が減る可能性もある。

大手生保4社の2015年4~12月期決算は、4社合計で売上高にあたる保険料収入は前年同期比9%増、基礎利益は8%増と堅調だった。国内で低金利環境が続き、預貯金に替わる運用商品として人気が高まった一時払い保険の販売収益が貢献した。 高金利の豪ドル建て商品の銀行窓口での販売が特に伸びるなど、業績を牽引(けんいん)してきた貯蓄性保険の販売が落ち込めば、厳しい状況になる。   預貯金に替わり人気   影響は生保だけではない。銀行にとっても、日銀のマイナス金利導入による金利の低下で貸し出しなどで利ざやが稼ぎにくくなっており、金融商品の販売による手数料ビジネスは重みを増している。今後さらに力を入れようとした矢先に、高額な貯蓄性保険の手数料が下がるとなると、収益確保の手段がさらに狭められることになる。  

金融庁の要請に対し、生保協会では今後、手数料開示に向けた検討を本格化する。「外資系はどうみているのか」「海外での事例を検証してから決めるべきではないか」などさまざまな意見が出ているようだが、金融庁の強い意向を踏まえ、要請を受け入れる公算が大きい。

  昨年7月に森信親長官が就任して以降、金融庁は顧客の立場に立った商品の販売・提供を意味する「フィデューシャリー・デューティー」の徹底を図ることを強く打ち出している。昨年9月に出した金融行政方針では、保険商品について「顧客のニーズや利益に真にかなう商品の提供」ができているかを点検する方針を示した。
ある幹部は「自主的にやれと言っても他社をみて及び腰になるので、協会に要請して背中を押した」と話す。協会でまとめられないのであれば、金融庁の主導による見直しも辞さないとの考えを示唆する。
  「手数料開示が見境なく拡大したらたまらない」  

大手生保関係者からはこんな声も聞かれる。今回の貯蓄性保険をきっかけに、複数の保険会社の商品を取り扱う「乗り合い代理店」などにまで手数料開示の流れが広がれば収益構造が“丸裸”になってしまうからだ。

  マイナス金利の影響で、一部保険商品が販売停止を余儀なくされるなど、契約者に約束した運用利回りを実現するのが難しい状況となり始めた生保業界にとって、手数料開示問題は戦略の再考を迫る経営への二重の衝撃となりそうだ。(万福博之)

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