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send 漢方薬の原料、ツムラら国内栽培拡大 中国依存から脱却へ

2014年7月28日 月曜日

bsc1407280500002-p1    中国からの輸入に8割を依存している生薬を国内で栽培し、漢方薬の原料を安定的に調達しようという取り組みが加速している。トレーサビリティー(履歴管理)の強化を実現するのも狙いの一つだ。漢方薬の需要は年々拡大しており、農林水産省も成長分野として生薬の国産化を重視。コスト面などの課題を抱える中、2016年度の国内生産量を10年度比で1.5倍にする目標を掲げ、自前調達の動きを後押ししている。    研究進み効能証明  医療用漢方薬の国内最大手、ツムラは09年に設立した子会社の夕張ツムラ(北海道夕張市)や契約農家を含め、道内での生薬の栽培面積を20年に現在の3~4倍となる約1000万平方メートルに拡大する計画を進めている。    ツムラも原料の約8割を中国からの輸入に頼る。ただ、神経過敏や認知症による興奮などの症状に用いられる「抑肝散(よくかんさん)」の原料の一つ、センキュウは国内栽培品だけを利用している。13年度に同社の医療用漢方薬の中で売上高が3番目に多い66億円になるなど、抑肝散は需要が急伸。同社は「漢方薬の伸びに合わせ、生薬の国内栽培も拡大していく」(コーポレート・コミュニケーション室)とする。    国内の漢方薬市場は拡大を続けている。厚生労働省の統計や日本漢方生薬製剤協会によると、漢方医学の考え方に基づかない「生薬製剤」も含む「漢方製剤など」の12年の国内生産額は前年比6.8%増の1519億円。5年前より約2割増えた。    かつては効能に科学的根拠が薄いとみられていたが「研究が進むにつれて効能が証明され、大学医学部の教育課程に組み込まれるなど医療用を中心に普及した」(ツムラ)という。    このため専業メーカー以外にも、異業種が生薬の栽培に乗り出すケースも出てきている。王子製紙を傘下に持つ王子ホールディングスは「医療植物研究室」を昨年9月に新設。北海道下川町に研究員3人が常駐し、紙の原料となる植林地などで長年培ってきた育種技術の生薬への応用を、約9000平方メートルの栽培地を使って模索している。    コストの壁  ただ、価格面などで国産生薬の普及へのハードルは高い。一般的な流通市場がない生薬は漢方薬メーカーが農家らと「全量(買い取り)契約」を結ぶケースが多い。経済発展で国内などの需要が膨らんだ中国産は価格が上昇傾向にあるものの、日本国内産の買い取り価格は依然、「中国産の2~3倍」(農水省)の水準。また、品種によって栽培に適した気候や土壌の違いもあり、「中国産の重要性は変わらない」(業界関係者)。    その一方、国産は国内漢方薬メーカーにとって安全を保障するトレーサビリティーの確保が比較的容易というメリットがある。また「攻めの農業」を推進する安倍晋三政権にとって「生薬は需要拡大が見込まれる数少ない作物。農家の所得向上や経営安定に役立つ」(農水省生産局)という意味合いもある。    このため農水省は14年度予算に4億円を計上し、薬用植物の栽培技術確立や農業機械の改良で低コスト化を図る農家らへの補助金を、新規事業として創設。耕作放棄地の活用も後押しし、薬用植物の国内生産量を16年度には10年度比で1.5倍の約1400トンに増やす方針だ。    漢方薬が医療用薬品全体に占める割合は2%程度にすぎず、今後の成長余地は大きいとの見方は強い。植物工場やバイオ技術の活用なども含め、鍵を握る生薬の安定調達に向け、官民一体となった挑戦が続きそうだ。(会田聡)

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