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send 深海・宇宙ビジネス育成 街挙げてスタートアップ支援 茨城県つくば市

2019年8月26日 月曜日

フルデプスが相模湾で行った水中ドローンの潜航試験 =2018年4月

約150の技術系研究機関、約2万人の研究従事者が集積する茨城県つくば市。最先端の事業シーズを生み出す研究学園都市ならではといえる技術系ベンチャーが続々と誕生している。多くは筑波大発のスタートアップで、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や産業技術総合研究所などとの連携が人材・技術交流を促し、相談に乗ってくれる先輩起業家が後押しする。高いポテンシャルを引き出すため、つくば市は昨年12月、「スタートアップ戦略」を開始。自治体も起業支援を惜しまない。   成長への機能集約 「われわれにとって、ここは(成長に必要な機能が集約する)コンパクトシティーだ」 大学や機関と連携 もう一つの未開の地、宇宙を目指すのが16年8月に始動したワープスペース(同)。11年に筑波大で人工衛星開発プロジェクトをゼロから立ち上げた亀田敏広准教授が創業者(現会長)だ。 一方で「研究者ばかりでビジネスを分かる人材がいない」ことも判明した。当時は社外取締役として関わってきた常間地氏が人材探しに奔走したが、経営人材を見つけられず、自らが引き受けることになった。常間地氏は筑波大在学中に起業したほか、スタートアップの創業メンバー・役員として経営戦略や財務などを担当してきた経験を生かせると判断したからだ。 今後は低軌道を周回する衛星向けに、地上との通信用アンテナ(小型地上局)を世界中に設置、衛星事業者がクラウド経由でオンデマンドに利用できるサービスを立ち上げる。23年度をめどにデータ中継衛星を低軌道に打ち上げ、宇宙空間通信ネットワークの実現を目指す。 筑波大発ベンチャーは147社が設立され、そのうち118社が活動中という。医療・介護用ロボットスーツを開発し14年に東証マザーズ上場を果たしたサイバーダインが刺激になり、創業社数は18年度まで3年連続で東大、京大に次ぐ3位の座を確保した。 それだけ大学も起業教育に熱心で、今年4月に第1回が開催された「次世代起業家養成講座」では、14年にフォトシンス(東京都港区)を立ち上げた河瀬航大社長が失敗したエピソードなどを交えながら講演、起業に興味を持つ1年生が熱心に耳を傾けていた。   課題は経営・営業人材確保 14年に始まった起業家支援プログラム「筑波クリエイティブ・キャンプ(TCC)」でも先輩起業家が現役学生の背中を押す。 つくば市の社会実装トライアル支援事業に採択された医療相談アプリを開発したAGREE(アグリー、つくば市)の伊藤俊一郎社長もその一人。TCCでOBからビジネスプランを評価され、起業に踏み切った。 つくば市は「スタートアップに寄り添うまち」を掲げており、起業に好意的。スタートアップ推進室の高瀬章充推進監は「最先端の事業シーズが蓄積されており、スタートアップが生まれる可能性は高い。第2、第3のサイバーダインを創っていく」と意気込む。 このため、つくば市産業振興センターをリニューアルしスタートアップの活動・交流拠点として生かす。市内に集積する研究機材を使いやすくする環境整備にも乗り出した。製品・サービス化までの期間が長いため資金調達が難しい技術系スタートアップに特化した成長資金も提供している。 高瀬氏も筑波大発ベンチャーを立ち上げた一人。「起業したが、スタートアップに関わりたかった。転職したのも立ち上げ時に経験した不満を解消するためで、使いやすい制度などに修正していく」とスタートアップに寄り添う。 研究学園都市として成長してきたつくば市は、集積した研究人材・設備が有機的につながるスタートアップのエコシステム(生態系)化が進む。 五十嵐立青市長は7月4日に東京・虎ノ門で開催されたイベントで「つくば市の使命は人類への貢献。その課題解決に取り組むスタートアップへの支援を本気で進める」と集まった関係者約500人を前にアピールした。そのためには課題である経営・営業人材を確保し、資金の出し手となるベンチャーキャピタルが集まる東京との距離を縮める必要がある。(松岡健夫)

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