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send 次世代移動サービスに照準

2019年10月28日 月曜日

小田急電鉄のロマンスカー。沿線でMaaSの実証実験を始める

鉄道やバスなどあらゆる交通手段を連携させる次世代移動サービス「MaaS(マース)」をめぐる参入競争が熱を帯びている。マイカー以外の全てのモビリティー(交通手段による移動)を一つのサービスととらえる「100年に1度」の交通革命をビジネスチャンスととらえているからだ。足元で1000億円前後にすぎない市場規模が2030年には6兆円を突破するとの予測もあり、JR東日本や私鉄大手の小田急電鉄など主役となり得る鉄道事業者はこぞって実証実験を開始。航空会社といった異業種と取り組むケースも相次ぐ。   ◆6兆円市場の予測も 「移動に関する情報が集約されている便利なサービスに驚き自社サービスに活用できないか試していた」 小田急が今月7日にスマートフォン向けMaaSアプリ「EMot(エモット)」を使った実証実験を始めると発表した2日後、東京都内で始まった展示会の同社ブースは来場者であふれていた。対応した経営戦略部次世代モビリティチームの田中咲さんはこう語り、手応えを感じた。 エモットを使ったデモンストレーションでは、小田急新宿駅から箱根湯本駅までを検索すると特急券購入サイトに移行し「ロマンスカー」の特急券を買うことができる。スマホで最適な交通手段を検索し予約、決済できるという利便性の高さに、自治体や交通関連のMaaS担当者も興味を示した。 サービス提供は来年3月10日までで観光型MaaSのほか、新百合ケ丘駅(川崎市)の商業施設で商品を購入すると同駅から自宅最寄り駅までのバスの無料乗車券を配布。また同駅と新宿駅構内の飲食店で使える定額制サービスも用意した。 久富雅史経営戦略部長は「小田急のMaaSの強みは生活サービスも提供できること。飲食や購買とセットにすることで移動に価値をもたらすことができる」と話す。沿線人口が増えない中、降車後の移動のしやすさ、暮らしやすさを訴えることで沿線の魅力を発信、小田急グループの顧客を増やす狙いだ。 自動運転やシュアリングを進める自動車メーカーの取り組みも目立つMaaSだが、「主役は鉄道事業者」(東大の須田義大教授)といわれる。広範囲に及ぶ鉄道網で安定した輸送サービスを提供してきたからだ。 この優位性を生かし東急電鉄とJR東は人気の観光地、静岡・伊豆で実証実験に取り組む。専用アプリ「Izuko(イズコ)」を使えば、現地での鉄道やバスを組み合わせた乗り換え提案、観光施設の入場券の事前購入など便利な観光情報を入手できる。   ◆訪日観光に最適対応 訪日観光需要に応える動きも出始めた。全日本空輸(ANA)はJR東と連携して、旅行の計画段階から終了までの各場面に応じたきめ細かなサービスを旅行者に提供する。飛行機から鉄道への“シームレス”な移動を実現するのが狙いだ。ANAは、MaaSについて「地域と海外をつなぐのがわれわれの役割。他の交通機関と連携することで、訪日客が航空券を予約した時点で日本での移動サービスについての情報発信や旅の提案が可能になる」と説明する。 MaaSで先頭を走るのがJR東だ。臨機応変な列車運行や、駅から観光地までを結ぶ二次交通との連携などでスムーズな移動サービスを提供してきた。その動向は他交通事業者や自治体も注目しており、新潟市や仙台市などで観光型MaaSの実証実験に乗り出すほか、東京・竹芝では社会人や観光客の移動の利便性向上を目指し船舶など複数の交通機関と連携して社会実装に向けた実証実験を始める。 MaaSで重要な役割を果たす鉄道事業者だが、利用者から選ばれるには自宅から目的地まで早く、安く、そして何よりも快適に過ごせることが求められる。実用化では、行き届いたサービスで個々の顧客を満足させることができるかが問われる。(松岡健夫) ◇ 災害対策をはじめ多くの経営課題に直面する鉄道産業。サービス拡充や技術革新に向けた取り組みなどを随時取り上げる。 ◇ 【用語解説】MaaS Mobility as a Service(モビリティー・アズ・ア・サービス)の略。出発地から目的地への移動をITで最適化し、サービスとして提供する。既存の交通インフラを変革するものとして、自治体や多くの企業が参入している。矢野経済研究所の調べでは国内市場規模は2030年に6兆3600億円に達する。海外では交通網が効率化したケースもあり、日本でも渋滞緩和や環境負荷の抑制といった社会課題の解決策として注目されている。

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