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send 東芝の不適切会計問題「社内カンパニー制」弊害も 本社ガバナンス届かず

2015年5月29日 金曜日

  bsg1505290500002-p2   東芝の不適切会計問題をきっかけに、事業部門ごとに分社化し、独立採算制を採用する「社内カンパニー制」の弊害を指摘する声が上がっている。カンパニー制は、分社化による権限委譲で迅速に事業運営できる一方、本社が各事業部門を管理しにくくなるデメリットがあるからだ。今後、管理体制の見直しも含めた議論が出てきそうだ。   bsg1505290500002-p1   管理体制見直しも   東芝は、過去のインフラ工事で9件の不適切な会計処理が判明した。費用の過少見積もりで利益を多く計上しており、500億円強の営業利益の減額修正を見込んでいる。さらにテレビやパソコン、半導体事業でも不適切な会計処理の疑いがあるとし、現在、外部の弁護士や会計士で構成する第三者委員会が調査を進めている。   一連の不適切会計問題では、工期の長い工事の進み具合に応じて、売上高や費用を各年で計上する「工事進行基準」など、会計処理の方法に焦点が当てられている。   だが、15日に開いた会見で、東芝の田中久雄社長は「予算達成目標が高く、内部統制が十分機能しなかった可能性がある」と述べ、企業統治の在り方に問題があることを示唆した。   東芝は1999年、経営の意思決定を早めるため他社に先駆けてカンパニー制を導入した。現在は5つの事業グループ、7つの社内カンパニーがある。各カンパニーに総務・人事・経理スタッフが在籍し、経営指標や決算書などを作成、本社に報告している。カンパニーのトップは経営の権限が与えられ、専業・独立企業化が図られている。   ただ、東芝の複数の関係者からは「カンパニー制が金属疲労を起こしている」との声も出ている。東芝の元幹部も「カンパニーごとに全く文化や個性が異なる」と明かす。縦割り意識が強くなり、本社も管理しにくくなっているというのだ。   東芝の場合、カンパニー間の連携や人事交流も少ない。さまざまなカンパニーを経験するのは、総務・人事・経理の社員などが中心で技術者が動くことはあまりない。本社も自主責任経営を推奨してきた。このため、「競合他社と比べて、グループの一体感がない」(証券アナリスト)と指摘する声もある。   会社のまとまりのなさは現場だけではない。経営本体にも及んでいる。2年前の田中社長の就任会見で、当時の西田厚聡会長(現相談役)と佐々木則夫社長(現副会長)の対立が表面化し、経営に対する2人の考えの違いが鮮明となった。昨年の会長人事も、副会長の佐々木氏ではなく、社長経験のない室町正志取締役が昇格し、異例ずくめとなった。   両者の対立は、それぞれの個性の強さが原因とされている。西田氏は東芝のパソコン事業の創始者で社長まで上り詰めた。一方の佐々木氏も原子力事業のエキスパートで米ウェスチングハウス買収の立役者だ。両者とも事業グループのトップを務め、会社の成長を牽引(けんいん)してきた功労者だ。だが、ともに個性が強いため、経営に対する考えの違いが生じたとされる。   2年前の田中社長の就任も異例だった。それまでは収益貢献の高い事業グループのトップが社長に就任するケースが多かったが、田中社長は調達畑が長く、特定の事業グループの出身ではない。田中社長の就任はカンパニー間の対立を避ける人事とみる向きもあったほどだ。 強力な個性を持つ西田氏と佐々木氏の対立は、東芝が一枚岩ではないことを示し、今でも尾を引き、影を落としている。長年続いたカンパニー制の負の側面が垣間見える。   日立製作所は成功   一方、カンパニー制を導入し成功している企業もある。ライバルの日立製作所だ。2009年3月期に7873億円の連結最終赤字を計上し、経営危機に陥ったが、子会社に転出していた川村隆氏(現相談役)を執行役会長兼社長に据え、V字回復させた。   川村氏は構造改革を断行し、事業の集中と選択を行った。同年にカンパニー制を導入し、注力事業を本体に取り込んだ。カンパニーと子会社の責任と権限を明確化し、独立採算による迅速運営を徹底させた。   日立復活は、経営トップの強力なリーダーシップに加え、経営陣の数を絞り、改革のスピードを上げたのが大きかった。経営層が危機を共有したチームワークも功を奏した。カンパニー制の導入がうまく機能した好例だ。経営改善を成し遂げた日立は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスなど海外大手に挑む構えだ。   翻って東芝の場合、経営陣が同じ考えを共有し、まとまっている印象が薄い。独立意識が強い企業体質が根付き、それぞれが別の方向を向いているようにみえる。グループの一体感が感じられない。   不適切会計問題は、本社と各カンパニーの意思疎通がうまくできていなかったことを浮き彫りにした。今後、カンパニーのトップに経営のプロとしての自覚を促し、再発防止を目的とした管理体制の見直しを含めた根本的な治療が必要だろう。

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