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send 東日本大震災4年 BCP、中小早期復旧の鍵

2015年3月9日 月曜日

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供給網寸断命とり 策定企業広がる

  東日本大震災から11日で4年。阪神・淡路大震災からも20年が過ぎ、大規模災害発生時の事業継続計画(BCP)策定の動きが中小企業にも広がり始めている。取引先のサプライチェーン(供給網)に組み込まれている中小企業は、災害や事故などが発生した場合でも安定供給の要請に応えなければならず、従業員の雇用を守るうえでも早期の復旧、操業再開は欠かせない。BCPはその手がかりとなるだけにおろそかにできない。   精密ばね製造の小松ばね工業(東京都大田区)は、2014年2月にBCPを策定した。   東京湾北部を震源とする震度6強の地震が起こり、生産設備が損傷。従業員の中には帰宅困難者が発生、電気や電話などのライフラインが途絶した-。こうした想定で、災害発生から7日以内に操業率を60%にまで回復、出荷を再開させることを目指す。   bsl1503090500006-p2  

挫折経験し再挑戦

  同社がBCP策定に乗り出したのは07年。取引先の大手メーカーから大規模災害発生後の生産対応に関する調査書が届いたのがきっかけだった。サプライチェーンの寸断を自ら招くことはできないと考えた小松万希子社長は「顧客との関係継続の観点からもBCPは必要」と策定を指示した。   当時、火災発生後の消火や避難に関するマニュアルは作っていたものの、地震を想定したものはなかった。そこで08年に東商が主催したBCPに関するセミナーに参加。策定作業に乗り出したが、「考えれば考えるほど、どこまでの被害を想定したらよいのか分からなくなった」(小松社長)ため、いったんは挫折した。   ところが11年3月11日、東日本大震災に見舞われ、宮城県大河原町にある工場が被災した。たまたま休業日だったため、全従業員が無事。内陸の工場なので津波による被害はなく、震災から11日後には操業を再開、取引先に迷惑をかけることはなかった。   胸をなで下ろした小松社長だが、一方で「もし再開に時間がかかれば、取引先を失う結果になったかもしれない」との危機感を抱くとともに、BCP策定に再度チャレンジすることを決めた。  

震災の経験を基に、宮城での操業が困難になれば、大田区や秋田県内の工場での代替生産に切り替えるなど、専門家の助言を受けながら約半年かけて完成させた。小松社長は「従業員の安全とともに、会社を守ることが大切」と話す。

  めっきを手掛けるヒキフネ(東京都葛飾区)は12年8月にBCPを策定。「大地震発生から3週間以内に、50%程度の工場操業率を目指す」(鈴木昌史取締役)とした。   BCPでは、災害発生直後に社長や工場長など幹部社員を招集し災害対策本部を立ち上げ、従業員の安否、区内4工場の被災状況、道路や電気といったインフラ状況などの情報を収集。帰宅できない社員は可能な限り生産設備の復旧などに当たることになっている。   全従業員に対し、防災意識を高める目的から大規模災害発生後すぐに取るべき行動などを記した名刺大のカードを配布。年に1回、火災を想定した避難訓練を実施するほか、電子メールなどを使った安否確認の訓練も随時行う。BCPは企業の存続に不可欠という意識を従業員がもたないと、いざというとき機能しないからだ。  

加えて、2カ月に1度は幹部社員が集まり、BCPの内容を点検し必要に応じて作り直している。鈴木取締役は「今後は水害や新型インフルエンザなどにも対応したBCPもつくっていきたい」と話す。

  行政も支援事業   BCPを策定する中小企業が増えているとはいえ、まだ少数派だ。東商が昨年、東京都内の会員企業を対象に実施したアンケートによると、BCPを策定した企業の割合はわずか19.1%。従業員300人以上では46.3%に達するが、10~29人では5.6%にとどまる。策定しても直接、利益に結びつくものではないため、経営課題の優先順位では後回しにせざるを得ないと考える中小企業経営者が多いことがうかがえる。   東京都は、中小企業を対象にしたBCP策定支援事業を10年度から実施。専門家によるアドバイスが3回まで無料で受けられる。15年度からは4、5回目も相談費の半分を都が補助するなど支援策を充実させる。都産業労働局の片山和也経営支援課長は「しっかりと策定できるよう中小企業を支えたい」と支援を惜しまない。  

「行政もやれる限りの努力をするが、企業の皆さまも何をすればよいかを考えてほしい」。東商が2月9日に開いた防災に関するセミナーで、都総務局総合防災部の森永健二・事業調整担当課長は、集まった約200人の企業担当者に、防災への関心を高めるよう呼びかけた。

  内閣府が13年末に出した首都直下型地震の発生確率はマグニチュード(M)7クラスで30年以内に70%で、経済被害額は95兆円に達すると試算した。この金額は日本の国家予算1年分に匹敵する。その被害を最小化するには、企業数で99.7%、従業員数で約70%を占める中小企業の取り組みにかかっているといえそうだ。(松村信仁)

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