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send 有機ELで異色の「日韓タッグ」 出光とLGディスプレー、需要伸び悩み打開

2015年5月20日 水曜日

  bsc1505200500003-p1   テレビ向けのディスプレーで「ポスト液晶」の最有力候補と期待されてきた有機EL(エレクトロルミネッセンス)に、新しい動きが出てきた。石油元売り大手の出光興産が韓国のLGディスプレーとの間で、有機ELをめぐる提携関係を強化したのだ。出光が持つパネル製造関連の特許をLGに供与し、LGがテレビ向けの大型パネル生産などに活用するという内容。有機ELパネルは液晶パネルと比べ、より薄くて画質が鮮明といった特徴を持つが、コスト高などから需要は伸び悩んでいる。異色の「日韓タッグ」は市場を切り開くことができるのか-。   「液晶の次は有機ELの時代がくる」。出光の首脳は有機ELへの期待をこう強調する。
  有機ELは、電圧をかけると発光する有機物でできた電子材料。材料そのものが発光するため、液晶には欠かせない背後の光源が不要で、液晶パネルよりも薄く、折り曲げたりもできる。明暗が鮮明で画質が高い上、消費電力も少なくて済むことから、スマートフォン向けといった中小型パネルだけでなく、テレビ向けの大型パネルの材料などとして電機各社が研究・開発を競っている。   出光は多角化の一環として、本業の石油事業以外の分野についても1970年代から基礎研究を進めてきた。「その中でも有望だった」(出光幹部)のが有機ELだ。85年には有機EL用の発光材料の開発をスタートさせた。国内だけでなく、2012年には韓国にも工場を設けて有機EL材料の安定的な供給体制を整え、販売も手掛けている。   出光が本業以外にも力を入れる背景には、石油需要の減少がある。省エネや低燃費車の普及などで、ガソリンを含めた石油製品の国内需要は1999年度の2億4597万キロリットルをピークに減少傾向をたどり、2012年度には2割少ない1億9752万キロリットルにまで減少した。政府の試算によれば、18年度にはさらに12年度比で1割程度減る見込みだ。   こうした現状を見据え、業界では再編の機運も高まっている。石油元売り2位の出光は、5位の昭和シェル石油を買収する方向で交渉を進めている。業界再編の動きの中で優位に立つ上でも、収益力の底上げは欠かせない。   出光は有機EL材料をディスプレー製造会社に供給し、あくまでも素材メーカーとして事業を強化する考えのため、ディスプレーの生産を手掛ける電機メーカーとの提携は欠かせない。   出光は有機EL材料をディスプレー製造会社に供給し、あくまでも素材メーカーとして事業を強化する考えのため、ディスプレーの生産を手掛ける電機メーカーとの提携は欠かせない。   これに対し、日本の電機メーカーは有機ELテレビに一定の距離を置く。07年にソニーが有機ELテレビを世界で初めて市場に投入したものの、11型と小型の割には約20万円という価格の高さなどがネックとなり、10年に国内販売を中止。現在は業務用モニターに限って事業を継続している。   また、12年にはソニーとパナソニックがテレビ用の有機ELパネルの共同開発で合意した。しかし、13年末には提携を解消している。「価格面で液晶に太刀打ちできない」(大手電機幹部)との判断から、これ以後、テレビ用の有機ELをめぐる日本メーカーの表立った動きはなくなった。   bsc1505200500003-p2   液晶の牙城崩せず
  フルハイビジョンの約4倍の解像度を持つ「4K」に対応した液晶テレビが販売台数を伸ばすなど、画質と価格面で成熟度を高める液晶テレビの牙城を崩すのは容易でない。言い換えれば、国内メーカーが有機ELパネルに及び腰の中、出光にすればLG以外の提携先が見つからなかったといってもいい。   米ディスプレイサーチによれば、14年の液晶テレビの出荷台数は2億2486万7000台に対し、有機ELテレビはわずか7万7000台でテレビ全体の0.03%にすぎない。今後は一定の伸びが見込めるとはいえ、19年の出荷台数は全体の2.7%に当たる700万台にとどまると予想されている。
有機ELはテレビ向けパネルだけでなく、照明用の材料としても期待されていた。実際、出光はパナソニックと照明用有機ELパネルの製造などを手掛ける共同出資会社を11年に設立した。しかし、LED(発光ダイオード)照明の普及で、将来的に需要拡大が見込めないと判断し、昨年3月末に清算した。   有機EL材料が今後、収益力のある事業に育つかどうかは楽観はできない。有機ELテレビ用パネルなどデバイス(部品)の普及に大きく左右されるからだ。
  出光は有機ELパネルに力を入れるLGとのタッグを強化して普及を後押しする考えだが、有機ELテレビが消費者に受け入れられなければ、照明用での失敗のように、提携解消を再び余儀なくされる恐れもはらんでいる。
 

フジサンケイビジネスアイ

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