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send 日銀、「2%目標」1年先送り 上がらぬ物価に手詰まり感

2017年7月21日 金曜日

金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁=20日、東京都中央区

日銀は20日の金融政策決定会合で、物価上昇率2%の目標を達成する時期を「2019年度ごろ」に1年延期することを決めた。黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、家計や企業に「物価は上がりにくい」とのデフレ心理は根強いが、物価上昇の基調は維持しているとして追加金融緩和は見送ったと説明した。黒田総裁の下、13年4月に2年程度での目標達成を掲げて大規模な金融緩和に踏み切って以来、延期は6回目。黒田氏は来年4月までの総裁任期中の目標実現を断念したことになり、市場では2%目標への懐疑的な見方も強まりそうだ。

 金融緩和策は継続 「何回も先送りになるのは残念だ」 黒田氏は記者会見で、目標達成時期の延期についてこう述べた一方、景気や雇用情勢の改善傾向を踏まえれば「(伸び悩みが)ずっと続くことはあり得ない」と指摘し、今後は物価や賃金の上昇が進むとの見方を強調。2%目標の実現に向けて「強力な金融緩和を粘り強く推進していく」と、現行の緩和策を続ける方針を示した。 しかし、市場では「どれだけ粘っても2%にはいかないだろう」(明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト)と、日銀の見立てに否定的な意見が目立ってきた。小玉氏は日本の成長力が低下し、企業が賃上げに前向きになりにくい社会構造になっていると分析する。 厚生労働省の毎月勤労統計によると、4月の賃金上昇率は前年同月比0.5%。ここ数年は上昇傾向だが、1%を大きく割り込む低水準となっている。

 景気回復と雇用環境の改善を背景に、人手不足に悩む企業は多いものの、パートなどを除く正社員の賃金を引き上げるという流れには結びついていない。終身雇用や年功序列が根強い日本では一度賃金を上げると下げるのは難しく、企業にとっては長期的なコスト増となるため、賃上げに慎重にならざるを得ない。

 その結果、賃上げよりも24時間営業をやめたり、無人レジを導入するなど、業務の効率化や省力化投資の動きが目立つ。 物価がなかなか上がらない理由はそれだけではない。高齢化の進展に伴う社会保障負担の増大、米トランプ政権の保護主義的な経済政策や北朝鮮問題など内外の先行き不安が、消費者の根強い節約志向と企業の保守的な経営につながっている。 SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは「デフレが長すぎた。多くの人が物価が上昇し賃金も増え続けるというプラスのイメージが描けなくなっている」とした上で、「これから先は金融政策で事態を打開するのは困難」と分析する。 日銀も会合後に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、物価の見通しを引き下げたが、追加緩和は見送り、物価引き上げのための“次の一手”を出せずにいるのが実情だ。 「円安誘導」と批判も 今回、景気判断については、輸出や生産が改善して個人消費も持ち直しつつあると分析し「緩やかに拡大している」に上方修正しており、景気改善が物価上昇に点火するのを辛抱強く待つ構えの日銀だが、それにもリスクは伴う。欧米で金融緩和の出口を模索する動きが出ている中、日本だけが緩和を続ければ国際社会から「円安誘導」と批判される可能性がある。 追加の緩和策の手詰まり感も漂う中、2%目標実現の道筋は険しく、黒田日銀の苦悩の色は深まっている。(飯田耕司、蕎麦谷里志)  

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