就活お役立ちビジネスニュース

send 日米EPA交渉をためらうな 中独は密月関係、貿易ルールで取り囲み

2017年7月10日 月曜日

G20首脳会議に臨む(左から)ドイツのメルケル首相、中国の習近平国家主席=7日、ドイツ・ハンブルク(代表撮影・共同)  

■中独は密月関係、貿易ルールで取り囲み

 ドイツ・ハンブルクで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は、首脳宣言で「保護貿易主義との闘い」を盛り込んだが、問題はトランプ米大統領の国際経済秩序からの逸脱だけではない。舞台裏で進行した議長国ドイツのメルケル首相と「一帯一路」構想の中国・習近平国家主席の蜜月関係だ。中独という巨大貿易黒字国連合は世界の不均衡、対立と分裂を助長しかねない。アジアを代表する日本は、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の大枠合意に続いて、米国にも締結を働き掛けるべきだ。 EV売り込み躍起 ハンブルク・サミットに合わせて安倍晋三首相はEU首脳とEPA締結で大枠合意したが、ドイツやフランスの首脳が目の色を変えて売り込むのはワインやチーズではなく、電気自動車(EV)であり、提携先は日本ではなく世界最大の市場、中国だ。 メルケル氏と習氏との5日の会談では、ダイムラー社と中国社のEV共同開発、シーメンス社と中国メーカー数社との戦略的連携で合意した。そしてメルケル氏は一帯一路構想への参加を約束した。ハンブルクは一帯一路の欧州側ターミナルであり英国離脱後のEUの盟主同然のドイツと中国の連結は中・欧経済圏の実現を予期させるのに十分だ。

 だが、中独が米国に代わって世界経済の安定をもたらすはずはない。両国は対外貿易黒字で他を圧倒する。輸出の輸入に対する超過額(経済協力開発機構=OECD=統計)は2016年で、中国5472億ドル(62兆3800億円)、ドイツは2820億ドルで、G20総計の貿易黒字700億ドル、日本の367億ドルを圧倒する。中独合わせた貿易黒字は米国の貿易赤字と対称形をなしており、貿易収支を国家の損得と考え、貿易をゼロ・サム・ゲームとみなすトランプ政権の保護貿易衝動を一層駆り立てかねない。

 上記のEVの場合、中国は党・政府総ぐるみで開発と普及を支援しており、EV用を中心に需要が急増するリチウムイオン電池生産の中国の世界シェアは55%で、21年には65%に拡大する(ブルームバーグ調べ)。党の強権をバックにした中国式デファクトスタンダード(事実上の標準)がここでも幅を利かせるだろうか。 もちろん、ドイツは対中協力に手放しではない。一帯一路への参加について、メルケル氏はプロジェクトの応札プロセスの透明化を条件にしている。しかし、ドイツの大手企業が中国国有企業と広範囲の分野でパートナーを組むなら中国のインサイダー同然だ。透明性は国際批判をかわすための言い訳であり、偽善ではないか。 米政権は二の足 トランプ政権は中国に対する強硬策で二の足を踏んでいる。早い話、北朝鮮が米本土狙いの核搭載可能なミサイル実験に成功した今でも、トランプ政権はオバマ前政権と同様、中国側の反発を恐れ、北朝鮮の資金洗浄に協力する銀行制裁は地方の零細銀行止まりで大銀行はおとがめなしだ。

 日本はどうすべきか。中国が既存の貿易体制を踏み台に増長する現実を直視すれば、自由で公正な貿易圏ルールで中国を取り囲むしかない。12日には環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国が、離脱した米国を除く協定について協議を始めるが、この機を逃さず、米国に日米EPA構想をぶつけてはどうか。2国間協定にこだわるトランプ政権を引きつけて交渉に持ち込み、11カ国のTPPルールと調和する日米協定を目指す。米国抜きで中国と欧州に世界の貿易・経済を主導させるのは危険過ぎると、トランプ政権を説き付けるべきだ。

 ドイツ・ハンブルクでのG20首脳会議は8日、首脳宣言を採択して閉幕した。宣言では、焦点となっていた反保護主義の記述について、米国に配慮して両論を併記。地球温暖化対策では「パリ協定」からの離脱を表明した米国と、他の19カ国・地域の事情を列挙し、溝が残った。2019年の議長国を日本が務めることも盛り込んだ。 首脳宣言では、保護主義について自由貿易推進を訴える各国の主張を受け「闘いを続ける」と明記。同時に、保護主義的手法も辞さない米国が受け入れやすいよう不公正な貿易相手国に対し「正当な対抗措置」を容認すると盛り込んだ。 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」については、米国を除く首脳が後戻りできないとし、協定の早期実現に向けた決意を示した。(ハンブルク 西村利也)

フジサンケイビジネスアイ

就職コンサルナビ

イノベーションズアイ