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send 日欧合意でメガFTA追い風 通商交渉“秋の陣”進展なら米TPP復帰も

2017年7月31日 月曜日

米国抜きでの早期発効を目指して行われたTPP首席交渉官会合=12日、神奈川県箱根町

日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)が大枠合意に達したことを受け、多国間の巨大な自由貿易協定(メガFTA)交渉の風向きが様変わりしようとしている。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など他の枠組みも議論が活発化し、交渉が進展すれば、秋には“大型契約”が相次ぎ、世界の自由貿易が一気に加速する可能性が出てきた。

早期妥結に手応え 閉ざされた会議室の奥から大きな拍手が上がると、各国の交渉官が満足げな笑みを浮かべ歩み出てきた。 13日までの2日間、神奈川県箱根町で開かれたTPPの首席交渉官会合。離脱した米国を除く11カ国は、早期発効に向けて交渉を加速する方針で一致した。11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での大筋合意を目指す。焦点となる協定文の修正は「最小限」にとどめ、12カ国で合意した高いレベルの貿易自由化を維持する作業指針もまとめた。 最小限の定義をめぐり思惑に隔たりはあるが、各国は早期妥結に手応えを得たようだ。11月までに発効に向けた道筋を描くべく事務レベルで協議を進める。 公約通りにトランプ大統領が決めた米国の離脱で一度は崩壊の危機に瀕(ひん)したTPP。だが、米欧で急速に広がる保護主義の動きに危機感を覚えた日本や、事務局のニュージーランド、オーストラリアなどが議論を主導し、米国が将来復帰するのを期待しつつ、まずは11カ国で発効させる方針を固めた。

交渉を後押しするのが、日欧EPAの大枠合意だ。世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める巨大経済圏の誕生により、「米国第一主義」を掲げるトランプ政権の下、メガFTAの恩恵を受けられない米国内では動揺が広がっている。

日本だけでなく、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に巻き込まれたメキシコやカナダなど、TPP参加国の多くも米国から通商交渉で圧力を受ける立場だ。新生TPPの合意が“ダメ押し”となり米国内で政権批判が強まれば、米国をTPPに復帰させる道筋が描ける可能性もある。 10月には日米経済対話の2回目の会合が開かれる見通しだ。トランプ政権が重視する日米FTAの交渉入りを求められる懸念もある中、秋までにメガFTA交渉が進むほど、米国への牽制(けんせい)効果は高まる。 今月7日付で日本のTPP交渉の事務方トップに就任した梅本和義首席交渉官は、日欧EPAが「TPPの議論にも追い風だ。ぜひ、うまく活用して前に進めたい」と期待を語る。  

対中折衝にも効果

追い風を受けるのはTPPだけではない。同じく11月のAPEC首脳会議で大筋合意を目指す東アジア地域包括的経済連携(RCEP)にも相乗効果がある。 中国やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国などが参加するRCEPは、ASEAN創立50周年の節目の年である2017年中の妥結を目指す。ただ、国有企業などの利権を守るため緩やかな自由化にとどめたい中国と、TPPを下敷きにレベルの高い協定を目指す日本との間で綱引きが続く。アジア地域の貿易秩序の主導権をめぐる争いだ。 協定の中核となるASEAN各国が合意を急ぐ中、質の高い合意にこだわる日本が孤立する懸念が指摘されていた。 ただ、経済官庁幹部は「もともと質が高いTPPの発効が再び現実味を帯び、日欧は大枠合意した。RCEPも“安上がり”したら格好悪いという雰囲気が出てきている」と風向きの変化を指摘する。 日欧EPAも、投資をめぐる企業と進出先国との紛争処理手続きなどの懸案を解消した最終合意を年内に行うべく調整している。日本の通商政策にとって、秋は国益を左右する“重量級”の交渉が相次ぐ正念場だ。うまく乗り切ることができれば、本格的なメガFTA時代が幕を開ける。(田辺裕晶)  

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【用語解説】日欧EPA(経済連携協定) 貿易や投資を活発にするため日本と欧州連合(EU)が締結を目指している協定。2013年に交渉を始めた。物品の関税の撤廃・引き下げに加え、知的財産権を保護するルールなどを定める。日欧は7月6日、交渉の大枠合意を宣言した。 発効すれば世界の国内総生産(GDP)の約3割、貿易額の約4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生する。 ◇ 【用語解説】TPP(環太平洋戦略的経済連携協定) アジア太平洋地域にあるシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア、カナダ、メキシコ、日本の計12カ国が交渉した経済連携協定(EPA)。関税や知的財産などのルールを含む幅広い分野を扱う。2015年10月に大筋合意し16年2月に署名したが、17年1月にトランプ政権が誕生した米国が離脱し発効が見通せなくなった。 ◇ 【用語解説】RCEP(東アジア地域包括的経済連携) 東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する10カ国と、日本や中国、インドやオーストラリアなど計16カ国で交渉を進める経済連携協定(EPA)。関税の引き下げや投資、知的財産保護など全15分野で自由化のルール作りを協議している。実現すれば、世界の半分に相当する約35億人の人口を抱え、国内総生産(GDP)や貿易で世界の3割を占める広域経済圏が誕生する。

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