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send 日本企業、アルゼンチンへ攻勢 債務問題解決で商機、技術力が勝ち残りの鍵

2016年12月19日 月曜日

  mca1612190500003-p1   ブラジルに次ぐ南米第2位の市場と目されるアルゼンチンに日本企業が熱い視線を注いでいる。2001年の事実上の債務不履行(デフォルト)宣言以降、長らく新規投資の対象外だったが、昨年12月に、12年間続いた反米左派政権が中道右派のマクリ政権に交代して投資環境は一変。欧米や中国も商機拡大を虎視眈々(たんたん)と狙っている。果たして日本企業の勝算はいかに-。   今年4月、アルゼンチンはドル建て国債の発行で15年ぶりに国際金融市場に復帰し、「デフォルト国家」の汚名に終止符を打った。   安倍晋三首相は11月下旬、日本の現職首相としては57年ぶりにアルゼンチンを公式訪問。同国のマクリ大統領と会談し、経済協力などを通じた2国間関係の強化を確認した。   日本貿易保険(NEXI)はこれに先立ち、3月に貿易保険の引き受け条件を緩和した。日本貿易振興機構(ジェトロ)は来年早々にもブエノスアイレスの事務所に約6年半ぶりに日本人駐在員の派遣を再開し、日本企業の進出を支援する。   マクリ政権は外資導入や規制緩和策を矢継ぎ早に打ち出しており、ジェトロは「長らく企業からは債務返済の相談ばかりだったが、ビジネス再開や進出相談が増え潮目が変わった」と説明する。   インフラ投資本格化   丸紅は信号機などの製造メーカー、日本信号と組み、アルゼンチン国鉄から首都ブエノスアイレスの近郊線全8路線向けに衝突防止の自動列車停止装置(ATS)などを60億円強で受注した。  

首都近郊の鉄道は経済の低迷でこの30年間ほとんど安全面への投資がなく、列車衝突事故が多発し、政権の悩みの種だった。そんな中で、丸紅と日本信号が1980年代以降に保安装置を納入し、昨年もATSを納めた路線の一部区間は無事故を継続。アルゼンチン国鉄の日本技術への信頼が今回の受注につながったという。

 地下鉄では、東京メトロ「丸ノ内線」の中古車両が走行中だ。塗装は赤に白のストライプから黄色とグレーのストライプにリニューアルしたが、丸紅の仲介によりアルゼンチンで今も現役だ。   道路、貨物鉄道、港湾などアルゼンチンのインフラ投資は2016~19年まで1000億ドル(約11兆8000億円)と試算されており、日本企業にとってもビジネスチャンスが広がっている。   アルゼンチンは米国、ブラジルに次ぐ穀物の輸出国でもある。マクリ政権が穀物輸出税を段階的に引き下げたことで、今後は日本やアジア向け穀物輸出が増える見通しだ。三井物産はこのほどアルゼンチンの穀物大手ビセンチンと年間約40万トンの買い付け契約を結ぶ覚書を結んだ。同国の農業支援を通じ日本向けの穀物の安定調達につなげる考えだ。   人口4000万人強で1人当たり国内総生産(GDP)が1万ドルを超える市場の魅力も大きい。トヨタ自動車やホンダ、ヤマハ発動機などは2000年代も変わらず投資を続け、日産自動車も18年にピックアップトラックの生産を開始する計画だ。  

欧米中も虎視眈々

  この未開拓市場を狙うのは日本だけではない。デフォルト以降、国際金融がそっぽを向く中で、手を差し伸べてきたのは中国だ。首脳同士の往来も活発で、ダムや鉄道、原子力発電所建設など大型案件を手中にした。大手商社は「中国企業のインフラ輸出を支援する中国工商銀行の看板がこの数年で急増した」と官民一体の攻勢に危機感を募らせる。   マクリ政権発足後は欧米も市場の攻略に乗り出している。今年3月にはオバマ米大統領が米国大統領として19年ぶりに訪問し、仏大統領やイタリア首相も続いた。   有望市場をめぐる競争で、日本が勝ち残るには、安全性や長寿命など技術面での優位性をアピールして着実に信頼を獲得していくことが急務となる。(上原すみ子)   【用語解説】アルゼンチンのデフォルト問題   2001年に約1000億ドルの債務が返済できなくなり、デフォルトに陥った。なかでも全額返済を主張する米ファンドとの対立は米裁判所での係争にまで発展し、米政府は国際金融機関によるアルゼンチン向け融資に反対した。マクリ政権発足後の今年4月、同国政府はドル建て国債発行で調達資金の一部を米ファンドなどへ返済、債務問題はほぼ解決した。

フジサンケイビジネスアイ

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