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send 日本の鉄道部品、問われる海外戦略 新規参入“妨げる”コストや規制の壁

2015年5月13日 水曜日

bsc1505130500003-p1 【世界へ 日本テクノロジー】高速鉄道を支えるものづくり(下) 旅客向け設備に新規参入活路   鉄道市場は成熟期を迎えている国内では大きな伸びは期待できないものの、世界的には新興国を中心に高い成長が見込まれ、日本の関連メーカーは大企業だけでなく中小企業も国際的な展開を迫られている。ただ、海外では鉄道システム全体を対象としたプロジェクトも多く、単独で食い込もうとしても欧州では現地の大手などに太刀打ちできず、新興国ではコスト面で競争力に劣る。受注できれば長期の取引となる可能性が大きいだけに、新幹線向けに培った高い技術力を生かし、新規参入を実現する戦略が問われている。   鉄道部品の国内市場は5000億円程度とされ、造船や自動車部品と比べて1桁から2桁も小さい。もっとも、鉄道は車両だけでなく、線路や信号、トンネル、橋梁(きょうりょう)のほか駅の改札システムに至るまで関連する事業領域が広い。欧州鉄道産業連盟によると2015~17年の年平均で世界の鉄道関連の市場規模は約23兆円に上る。開業後の点検や補修などのアフターサービスでも息の長いビジネスが見込める。   輸送分野規制の壁
  JR東海などに鉄道各社に特殊ねじ「絶対に緩まないナット」を納めているハードロック工業の若林克彦社長は「いったん受注すれば取引は長期にわたり、経営的なメリットは大きい」と話す。新幹線の先頭車両の形状をハンマーでたたいて整える「打ち出し板金」で知られる山下工業所(山口県下松市)も他の追随を許さない技術を持つだけに、受注分の製造作業は「19年まで見通しがついている」(山下竜登社長)という。   一方で、他産業の技術も応用しやすい分野もある。北陸新幹線用の車両向けに最上級席「グランクラス」を開発したトヨタ紡織は「本業である自動車用シートで培った技術やノウハウを生かせる」(傍嶋政道ACT推進部長)と、水平展開のしやすさを強調する。   ただ、日本鉄道車輌工業会の佐伯洋専務理事は「鉄道関連は新規参入がしやすい分野ではない」と指摘する。特に車両や線路、信号など輸送の根幹に関わる分野では、安全に関する厳しい規制をクリアしないといけないからだ。特に鉄道会社や鉄道車両メーカーは安全性を確保するため経験や実績を重視する傾向が強く、実績のない企業にとって新規参入のハードルは高い。例えば鉄道信号機メーカーは国内に10社ほどあるとされるものの、日本信号と京三製作所、大同信号の3社で国内シェアのほとんどを握っている。   海外市場の壁も分厚い。車両だけでなく関連機器や鉄道システムを手掛ける独シーメンスと仏アルストム、カナダのボンバルディアの「3強」が圧倒的に強く、特に欧州では食い込む余地が少ないのが現状だ。   また、海外での受注には鉄道業界の国際的な品質マネジメントシステム規格「IRIS」(国際鉄道産業標準規格)の取得が条件とされる。ここ数年は日本でも認証取得の動きが見られるが、三菱電機や東洋電機製造、軸受けのNTNなど大手企業に限られている。   世界では新興国を中心に鉄道の新線計画が相次いでおり、3強に加えて、低価格を売り物にする中国勢が受注を競う。日本メーカーも日立製作所が英国の都市間高速鉄道プロジェクトで866両の車両製造と27年半にわたる保守を一括受注するなど攻勢をかけ、官民一体で鉄道のインフラ輸出を目指している。   日本国内なら鉄道会社のファミリー企業として受注できたとしても、海外で通用するとは限らない。このため、単独での参入を狙う部品メーカーもある。鉄道車両機器大手のナブテスコは2年前、シーメンス向けなどの鉄道車両ドアシステムを手掛けるイタリア企業を買収し、欧州での取引拡大を図っている。   付加価値アピール
  一方、輸送に直接関わらない分野はハードルが低いといえそうだ。佐伯氏は「表示装置など旅客サービスに関わる領域の規制は厳しくなく、鉄道分野の中でも新規参入がしやすい」と話す。2000年以降、鉄道各社が導入したICカード乗車券の大半は、ソニーが開発した非接触IC技術「フェリカ」を搭載している。三菱電機やパナソニックなどはデジタルサイネージと呼ばれる駅構内の大型表示装置の受注を重ねている。   正確な運行ノウハウや安全性の高さで日本の鉄道は世界のトップクラスを誇る半面、海外では「日本の鉄道インフラはコストが高い」というイメージが強く、独自の進化を遂げた「ガラパゴス」と揶揄(やゆ)されることも少なくない。日本の鉄道部品メーカーが付加価値の高さをアピールし海外メーカーとの差別化を図るには、国民性に裏打ちされた「緻密なものづくり」が切り札となる可能性はありそうだ。(松村信仁)   ■新幹線で使われている主な部材品と納入企業
◆ねじ ハードロック工業 ◆軸受け 日本精工、ジェイテクト、NTN、不二越、近江鍛工 ◆車体制御 岩井製作所、ブリヂストン、KYB、日立オートモティブシステムズ、三正工業、丸上製作所、東洋ゴム化工品 ◆駆動関連 東芝、富士電機、三菱電機 ◆ブレーキ 曙ブレーキ工業、三益工業 ◆パンタグラフ 東洋電機製造、ファインシンター、帝国カーボン工業 ◆運転席 コイト電工 ◆座席 シロキ工業、天龍工業、東洋紡、トヨタ紡織 ◆窓 AGCファブリテック、日本伸管 ◆内装・照明 TBカワシマ、レシップ、住江織物 ◆トイレ 五光製作所 ◆ドア ナブテスコ、扶桑電機工業、横浜製機 ◆連結部分 成田製作所、ジャバラ、日本航空電子工業 ◆車輪 新日鉄住金 ◆レール 大同キャスティングス、関東分岐器、大和軌道製造、スミハツ ◆信号 日本信号、大同信号、京三製作所 ◆ケーブル 日立金属、古河電気工業、フジクラ、昭和電線ケーブルシステム、住友電気工業 ◆電気関連 三菱電機、東光高岳、日本ガイシ、明電舎 ◆防音壁 積水化学工業

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