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send 日本の農業 AI・ICTで再生

2019年8月16日 金曜日

■自動運転トラクター・水遠隔管理・ドローン生育把握… 農業にロボットや人工知能(AI)、情報通信技術(ICT)といった最新技術を活用する「スマート農業」が加速している。日本の農業は高齢化や人手不足にあえいでおり、国は体質強化の切り札として実証事業を推進。2025年には水田稲作の労働時間を半減させるなど、飛躍的な効率化を目指す。 農林水産省によると、15年の日本の農業就業人口は210万人で、1995年の414万人に比べるとほぼ半減。担い手が減っているだけでなく、平均年齢も66.4歳と高齢化が進み、労働力不足が深刻な課題だ。その一方で、農家などの平均経営耕地面積は、この20年で約1.6倍に拡大。1人当たりの作業面積には限界があり、これらの状況を打開する技術革新が必要となっている。 ◆効率化で課題解決 山積みの課題を解決するとされているのがスマート農業だ。既に実用化している取り組みも多く、農機大手のクボタは2017年、人間の監視下で自動運転により田畑を耕すトラクターの試験販売を開始した。 衛星利用測位システム(GPS)を使う自動車のカーナビゲーションは数メートルの誤差があるが、自動運転のトラクターは位置情報を補正する専用の無線基地局も併用し、誤差はわずか数センチにとどまる。 また通常のトラクターの運転は経験と習熟が必要だが、田畑の形状に合ったきめ細かい耕作を簡単に実現できる。今後、準天頂衛星「みちびき」の位置情報も利用するサービスが本格化すれば、さらに精度が向上する見通しだという。 自動運転の田植え機も登場している。田植え作業はぬかるみの中で行うため、田植え機をまっすぐ進ませるだけでも大変だ。だが最新技術で位置情報を確認しながら無人で進む自動運転田植え機は、最先端のロボット技術で田植え作業と苗の補給をこなしながら、熟練者並みの精度で直進できる。農業・食品産業技術総合研究機構などが開発しており、実用段階に入ってきている。 一方、センサー技術を活用するのが水田の水管理システムだ。水田はこまめに水を出し入れして水位を管理する必要があるが、広大な農地を歩いて確認して回る作業は重労働で、農家の大きな負担となっている。 だが、このシステムでは水田に設置した水位や水温などを測るセンサーの情報をネットワーク上で管理。気象情報などを参考にしながら、スマートフォンなどの端末で、水田の給水バルブや落水口の開閉を遠隔操作できる。これにより、水管理の労力が80%も削減されるという。 近年流行のドローンもスマート農業の要素だ。水田地帯の上空を飛行させ、稲の葉の色から生育状態を把握。これに応じて水田ごとに肥料の量を変え、必要最小限の肥料で収量と品質の向上を実現するシステムが、既に実用化している。 これらの取り組みを含め2025年までに市販化が見込まれるスマート農業の技術を活用すると、農業は飛躍的に効率化すると国は試算している。例えば300ヘクタールの水田に自動運転のトラクターや田植え機などを導入した場合、面積当たりの労働時間は約50%短縮し、収穫量は約15%向上。米60キロ当たりの経営コストも約20%削減できるという。   ◆全国で実証実験 ただ、生産現場に広く導入されるのはこれからで、実際にどれだけの経営効果があるかは証明されていない。また、既に発売されているスマート農業に使う機器は、普通の農機に比べて割高になっていることも課題だ。 そのため、国はスマート農業の理解と普及を促進することを目的に、今年度から2年間かけて全国69カ所で実証実験を展開する。初年度の予算は47億円。これにより導入が加速すれば、日本の農村の風景は一変するかもしれない。 調査会社の矢野経済研究所も、スマート農業は従来の農業にイノベーションを起こすとみており、2017年度に128億9000万円だった国内の市場規模は、24年度には約3倍の387億円に拡大すると試算している。(伊藤壽一郎)

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