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日本の航空部品メーカー、設備投資ラッシュ 欧米の新型旅客機量産に対応
2015年11月20日 金曜日

国内の航空機部品メーカーが米ボーイングや欧州エアバスの新型旅客機の量産に向け、設備投資を相次いで実施している。ボーイングが開発中の次世代大型旅客機「777X」では主要部位のほか、機体を軽量化できる炭素繊維で、日本製品の存在感が増している。来春には小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の量産も本格的に始まり、日本の航空機産業の拡大が期待される。
後部と尾部胴体を担当する三菱重工業も、日本政策投資銀行の資金を活用し、広島製作所江波工場(広島市中区)に製造ラインを新設する。鯨井洋一副社長は「自動搬送装置やロボットを使って、組み立ての自動化を進めたい」と語る。
一方、東レも米サウスカロライナ州スパータンバーグ郡に新工場を建設する。777Xの主翼材料に同社の炭素繊維が使用されることが決まっており、20年までに1000億円の設備投資を実施する。 また、主翼や尾翼に取り付ける飛行姿勢制御システムを製造するナブテスコも、100億円を投じ、岐阜工場(岐阜県垂井町)に新棟を建設する。同社はMRJにも部品供給する。 エアバス向けでは、IHIが次世代小型旅客機「A320neo」に使われるエンジンの空気取り入れ口にある「ファンブレード」を製造する工場を長野県辰野町に新設する。国内の航空機部品メーカーの設備投資が相次いでいるが、実は日本の航空機産業の世界市場に占める割合は4%にすぎない。現在、世界の航空機市場は約25兆円で今後20年で倍増する見込み。政府は設計や型式証明の取得、販売、アフターサポートまで取りまとめるMRJを通じ、日本の航空機産業の裾野を広げたい考え。20年後に世界シェアを20%まで引き上げようとしている。
ただ、MRJに関しては約95万点の部品のうち、海外勢が7割で日本製は3割しかない。MRJの降着システムを担当する住友精密工業の辻田光大支配人は「日本メーカーは翼や胴体、素材は強いが、装備品が弱い」と指摘する。今後の日本の航空機産業を拡大するには、装備品メーカーの育成が課題だ。 また、産業の裾野を広げるには「2次や3次下請けとなる中小サプライヤーの育成も重要」(中部経済産業局の吉兼智人航空宇宙室長)。安全性が問われる航空機の製造は、国際認証の取得が必要で、人手が足りない中小サプライヤーにとってハードルは高い。航空機産業の発展には、中小サプライヤーのサポートも重要になる。(黄金崎元)